文在寅政権が重ねた「ウソと欺瞞と隠蔽」、いよいよ暴き始めた尹錫悦政権
文在寅政権が重ねた「ウソと欺瞞と隠蔽」、いよいよ暴き始めた尹錫悦政権
政治的報復か積弊清算か、いずれにせよ文在寅氏にとって「悪夢の始まり」
韓国の文在寅前(ムン・ジェイン)政権は、自分たちに都合の悪い事実は、ウソと欺瞞、そして隠蔽で繕い、これを暴こうとする勢力には執拗な攻撃を加えてきた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、そうしたウソと欺瞞を暴き、真実を国民の前に明らかにし始めた。それは主に北朝鮮に関すること、慰安婦問題に関すること、不正の事実に関することである。
さらに日本の福島原発の処理水の問題でも、文政権は事実を隠蔽し、都合のいいように説明してきた。
尹政権は、こうした事実一つ一つに焦点を当てていこうとしている。それが進めば文政権を支えた進歩陣営への信頼と支持を失わせることになるだろう。そのことが、より客観的な韓国社会の実現に寄与することを期待したい。
北朝鮮の脅威について国民に真実を隠蔽してきた文在寅政権
文在寅政権が隠してきたことの筆頭として挙げなければならないのは、「北朝鮮の脅威」だろう。「北朝鮮には非核化の意志がある」と吹聴し、米韓首脳会談を仲介、さらに西側主要国に対し、北朝鮮の核ミサイル開発に対する制裁を解除ないし緩和するよう要請してきた。そして各国との首脳会談の席では、必ず「北朝鮮への歩み寄り」を求めた。
北朝鮮がミサイル発射を行った時に出す声明も、できる限りトーンダウンしたものにし、そして弾道ミサイルであることをなかなか認めたがらなかった。ミサイル発射に関して、「挑発」という言葉の使用を控えるという態度も一貫してきた。
こうして、自らの政権を終えるまで、北朝鮮との終戦宣言を模索し続けてきた。
だが文政権がこだわり続けた北朝鮮追従政策は、尹政権になって完全に白紙化された。尹政権は北朝鮮の非核化意思を否定し、「もしも核実験を行えば、制裁の強化などで対応する」としている。また、度重なるミサイル発射に対しては、北朝鮮のミサイルと同数の地対地ミサイルを発射し迎撃態勢を誇示することもためらわない。日米韓防衛相会談では北朝鮮のミサイル探知・追跡合同訓練の実施に合意もした。
尹政権は北朝鮮の挑発行動には実力を持って対抗できることを示そうとしているのだ。
北朝鮮による韓国公務員殺害の事実をわい曲、北朝鮮の残虐性隠蔽
先ごろ、文在寅政権が北朝鮮追従のためについた「ウソ」も露見した。
2020年9月、韓国水産部の公務員A氏が北朝鮮軍に殺害されるという事件が起こったが、この事件の捜査を担当していた仁川海洋警察は、事件から2年7カ月ぶりに、A氏の遺族に対し「北朝鮮軍に対する殺人罪容疑捜査を中止する」という「捜査結果通知書」を伝えた。「被疑者が北朝鮮の軍人で人的事項が特定されず、北朝鮮の協力等を期待することができないため」という。
事件発生当時、文在寅政権の大統領府と民主党は「A氏が自発的に越北を試みた状況がある」と説明していた。しかし尹政権になって韓国政府は「自主的に越北を試みたとは見ることができない」と正反対の結論を下したのだ。
2020年9月21日、海洋水産部の公務員A氏は、黄海北端の小延坪島海上で行方不明になった。その後、海上で北朝鮮軍の銃撃を受けて死亡、遺体は北朝鮮軍によって焼却されたという事件だ。
当時、朝鮮戦争の「終戦宣言」実現に意欲を燃やしていた文在寅大統領にとって、北朝鮮との関係を悪化させかねない事件と映った可能性もある。そのためか、文政権は北朝鮮が遺体を焼却したという事実を「焼却したと推定されることから共同調査が必要」などとし、捜査は一向に進展しないままだった。
殺された公務員を「越北者」と説明
また事件発生直後から、韓国の海洋警察や国防部は、A氏には3億ウォン(約3000万円)を超えるギャンブルの借金があり、現実逃避目的で越北した、などと繰り返し説明していた。韓国国民にとって「越北」は、国家を裏切る行為で、批判の対象となる。
ところが今回、A氏が自発的に「越北した」と断定する証拠はないことが明らかにされた。
A氏の遺族は、「文在寅政権は北朝鮮の残虐性を隠蔽するため、金銭問題まで持ち出し、越北者と罵倒したものであり、これは個人の人権を蹂躙する犯罪だ」と、文政権への怒りをあらわにしている。
遺族はA氏の死亡が認められたので、海洋警察と軍、文在寅前大統領と当時の国防部長官などに対し、殺人ほう助と職務放棄の責任を問う刑事訴訟を起こす準備をしているという。
ただ、そこで真実が明らかになるかどうかは未知数だ。事件の真相を究明する中心的な資料はすべて、一定期間、非公開とされる「大統領記録物」として文大統領が封印してしまったからだ。これを開封するには国会の同意、高等裁判所の令状が必要であるが、いずれもハードルが高い。見方によっては、ここではまだ文在寅大統領の「隠蔽」が効力を発揮しているとすることもでいる。
歴史問題について日韓交渉の経緯を隠蔽
日韓間の重大懸案事項となった慰安婦合意問題についても、文在寅政権は重大な事実を「隠蔽」してきた。
6月26日、外交文書4件が公開された。その文書とは、当時の李相徳(イ・サンドク)外交部北東アジア局長が挺対協(現・正義連)の尹美香(ユン・ミヒャン)代表(当時。現在は国会議員)に日韓交渉の過程と合意の主な内容を事前に通知していたことを記録したものである。
この文書は、「朝鮮半島の人権と統一のための弁護士会」が公開を求め提訴していたもので、今回、ソウル高裁が判決で公開を命じたという経緯がある。文書によれば、李相徳局長は慰安婦合意の理解を得るため2015年3月から12月までの間に4回尹美香氏と面会していたという。
公開された文書の内容はこうだ。
2015年3月、李相徳前北東アジア局長は尹美香代表に面会。協議動向を説明。2カ月後には、日本の責任認定問題、被害者への補償問題、謝罪表現の問題、慰安婦少女像の撤去問題などを説明、10月には合意の妥結可能性と進捗状況を説明している。
さらに合意発表の前日の12月27日にも、北東アジア協調は尹美香氏と面会のうえ協議している。合意に盛り込まれる主な内容として、日本の責任痛感、安倍晋三首相の直接的な謝罪及び反省の表現、日本政府の予算10億円拠出などが含まれることを説明していた。
要するに、慰安婦合意に至る事前の協議段階から、外交部の北東アジア局長が、元慰安婦支援団体代表の尹美香氏と複数回にわたって協議を重ねてきたということだ。
ところが、慰安婦合意が発表された当日、挺対協は「被害者と国民の望みを徹底的に裏切った外交的談合」と非難の声明を発表した。北東アジア局長と協議を重ねてきたはずの尹美香代表も、朴槿恵政権が慰安婦被害者や被害者支援団体の意見を聞くこともせずに日本と合意したと非難した。朴槿恵政権に対する「ハシゴ外し」的なこの言動は、政治的な意図があってのことと受け止められても致し方あるまい。
挺対協の日韓合意を批判に背景に、文在寅政権は合意を事実上反故に
今回、公開された外交文書の内容に関し、弁護士会のキム・テフン名誉会長も尹美香氏を批判している。
「合意の前日、尹議員に会って合意内容の詳細について話したと文書に記されている」
「尹議員が慰安婦被害者に十分共有することができたのに、(合意の内容を共有せず)不要な誤解を招いた」
当然の反応だろう。
これに関しては文在寅政権も同罪だ。文政権の下では、こうした文書の公開をためらい、正確な事実関係を隠蔽していた。2015年の慰安婦合意については3分2の元慰安婦が納得したが、「国民情緒として受け入れられない」として合意を事実上反故にしてしまったのは周知のとおりだ。ここから日韓関係は加速度的に悪化していった。
それでも尹錫悦政権にかわった韓国政府が、今回、李相徳局長と尹美香議員とのやり取りを公開した。この決断は、国民に正しい事実を知ってもらい、文字通り不可逆的解決に導こうとの試みであると考えたい。
停止状態にあった元産業通商資源部長官のブラックリスト事件捜査、本格的にスタート
文在寅政権の隠蔽体質が暴かれ始めている例はほかにもある。
ソウル東部地検は、告発から3年が経過する、いわゆる「産業通商資源部ブラックリスト事件」について捜査に本格的に着手した。
この事件は、産業通商資源部のP局長が、2017年9月、ソウル市内のホテルに韓国電力公社傘下の発電4社の社長を呼び出し、4人全員に辞表提出を強要したほか、18年5月までに韓国貿易保険公社など9機関のトップに辞任を促したとされている。人事権乱用の極みのような内容だが、P局長の行動の裏には、産業通商資源部の白雲揆長官の指示があったとされる。目的は、2017年5月に発足した文在寅政権に近い人物を、発電会社などのトップに据えようとしたためである。これにより、まだ任期が残っているトップが辞任に追い込まれた。
【参考】人事権乱用の文在寅政権、4年半前の「産業部ブラックリスト事件」にも捜査が(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69572)
この一件に関しては、2019年1月、自由韓国党(国民の力の前身)が告発している。さらにその年の5月ごろには、発電会社社長らが検察に出頭し、「産業通商資源部の局長からホテルで辞表を強要された」などと、当時の状況を具体的に伝えている。
だが捜査は進まなかった。どうやらその背景には、一部の検察幹部からのある力があったようだ。
「朝鮮日報」によれば、圧力の存在を認める証言が検察関係者から飛び出しているという。
〈この事件について、「一部の検事長らがこれまで捜査チームに対し、『容疑が成立しない事件をなぜまだ嫌疑なしとして処分をしないのか』と何度も語った」と証言した。大検察庁も間接的に同様の立場を示したという。これまで捜査が遅れた背景には、そうした圧力があったことになる〉
政権交代後、本格的に捜査に乗り出した検察の調べが進めば、文在寅政権の「人事権乱用」の事実を隠蔽するために捜査機関へ圧力をかけていたという実態が浮上してくる可能性もある。
大庄洞疑惑捜査は「政治報復」なのか
文政権時代に隠蔽されていた事実が捜査機関によって明らかにされつつあることに、野党となった「共に民主党」側からは猛烈な反発が出ている。
大統領選挙で尹錫悦氏に敗れた李在明(イ・ジェミョン)氏は、自身のfacebookに、ソウル中央地検の捜査チームが大庄洞事件に関して李氏を「被疑者」扱いし背任疑惑を立証するための捜査を進める、との記事を掲載した上で、「検察を利用した政治報復、政治弾圧が始まったようだ」と主張した。李在明氏が今月1日の国会議員補欠選挙で、もともとの自身の選挙区ではなく、「共に民主党」が強い選挙区から強引に立候補した背景には、大庄洞事件の捜査があるとの見方がある。
大庄洞事件は数千億ウォン規模の優遇、数百憶ウォンに及ぶ賄賂が飛び交った超大型腐敗事件だ。李在明議員は城南市長時代に許認可から主な段階ごとに直接印鑑を押して事業を進めた最高責任者だった。
それなのに文在寅政権時代の検察は、城南市傘下機関の幹部らによる犯罪だとする、いい加減な捜査で不法行為の“本丸”を覆い隠してきた。李議員と側近については、まともに調べもしなかったのだ。政権交代でその風向きが変わったことで、李在明氏も安穏としていられなくなっているのかも知れない。
政治報復論争はどちらに軍配上がるかは明白
政権交代をきっかけに、文在寅政権時代に隠蔽されていた事実が次々と明らかになりそうな気配だが、これについて共に民主党側からは「政治報復ではないか」との声が上がっている。
民主党のウ・サンホ非常対策委員長は「尹錫悦大統領は『絶対報復しない』と宣言したにも関わらず、結局最側近の韓東勲(ハン・ドンフン)検事を法務部長官に据え、ことを進めている」「捜査が続けば、野党レベルで対策機構を設置し、強硬に対応して行く」「捜査で政治報復する政権は没落する」と反発している。
こうした批判の声に対し、尹大統領は記者団のぶら下がりにおいて、こう切り捨てた。
「民主党政府の時はそのように捜査をしなかったのか。正常な司法システムを政治論争化するのは望ましくない」
「重大な犯罪捜査を報復と言えば常識的に国民が同意しないだろう」
さらに与党「国民の力」は、文在寅政権が前々政権である李明博(イ・ミョンバク)政権、前政権である朴槿恵政権への捜査をしたことをあげ、「自分がやれば積弊清算、他人がやれば政治報復なのか」とダブルスタンダードであると皮肉った。
国民の力は捜査が中断された文在寅政権の原発関連疑惑、蔚山市長選挙介入疑惑についても捜査を促している。
また、文在寅政権は日本の福島の処理水の問題でも、IAEAや韓国の原子力専門家の評価を無視し、健康への被害などを誇張してきた。それは原発の廃棄を進めるための口実でもある。これに対し尹錫悦氏は韓国で原発が問題になる可能性は低いとしており、原発政策を継続していく考えを述べている。
事実を事実と認めない文在寅政権を日本は相手にしなかった。尹錫悦氏はあらゆる問題についてより客観的に取り組む姿勢を示している。そのためにも文政権の旧悪は暴き、文政権に対する国民の信頼を崩すことが肝要であろう。
文在寅政権のウソと隠蔽の政治が暴かれる時が来たようである。