中國, 韓.中關係

南シナ海人工島 中国の代償を高めよ

이강기 2015. 9. 29. 10:44

南シナ海人工島
中国の代償を高めよ


 

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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新アメリカ安全保障センター(CNAS)のコルビー上席研究員と米戦略予算評価センターのモンゴメリー上席研究員が、8月25日付ウォールストリート・ジャーナル紙に連名で寄稿し、中国の南シナ海での人工島建設などは米国の軍事的優位に影響しないとの見解は楽観的に過ぎ、中国に対して外交圧力を高めるなど同国にとってのコストとリスクを高めるべきだ、と主張しています。

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 すなわち、人工島の建設など南シナ海での中国の素早い動きは外交問題を越えて、周辺国や米国にとって早晩深刻な軍事問題になりうる。ハリス米太平洋軍司令官は、これらの島は戦闘機、偵察システムや電子戦争能力の支援になると述べている。他方、多くの分析家は中国の施設建設は米の軍事的優位を大きく変えるものではないと信じているようだ。中国の人工島は有事の際には容易な攻撃目標になるという意見もしばしば聞く。

 

 しかし、この様な見解は余りに楽観的だ。適切な軍事力であれば少量でも当該地域の軍事バランスを変えるし、中国はこれらの地域での軍事力増強により重要な強制的優位を得ることができる。大規模な港湾施設や長い滑走路によって、人工島は海洋部隊や前方展開する航空機の兵站ハブになりうる。それにより海軍の作戦持続能力を増大させることができる。また偵察機などを一層遠くに恒常的に飛ばすことができるようになる。当該地域の戦闘航空パトロールが可能となる。将来の防空識別圏の設定にも資するだろう。

 

 滑走路などのインフラがなくても、人工島は対船ミサイルや防空システムの保管所になるし、それは船舶や航空機に対するリスクを高めることになる。中国がこのような武器を南シナ海の随所に置き、武器が相応の射程を持っていれば、小規模の拒否ゾーンを作ることができる。南シナ海の島に設置されたレーダーのネットワークを通じて、平時には良い状況情報を、戦時には良い攻撃関連情報を得ることができる。

 

 更に大きな意味合いがある。中国の軍事プレゼンスの拡大は「忍び寄る拡大戦略」に貢献し、中国の影響力を徐々に拡大する。多くの周辺国は小規模の戦力展開能力しか持っていないので、中国によるこれらの島への軍事力の展開は見てくれ以上の大きな影響を持つ。周辺国の対中バンドワゴン化(対中均衡よりも対中接近)を高める可能性もあるだろう。前方に展開された軍事力のため、周辺国は、米中の間で一層中立的な立場をとるようになるかもしれない。米国の周辺国施設へのアクセスも影響されるかもしれない。

 

 これらの島の中国軍は、対米戦闘に当たっては、長い間もたないであろうが、米軍アセットの動きに関する重要情報を報告できるし、米軍はそのために軍事力の運用方法を変えねばならなくなることもあり得る(突然の遭遇で軍事力を行使せざるを得なくなったり、中国が主張する島への対処をためらうなど)。

 

米国と関係国は、中国の更なる拡大を止めるために、出来る限りのことをすべきだ。物理的に阻止することは不可能だとしても、外交圧力を高め、中国の力に均衡するように関係国との関係を強め、現在の秩序を守るために軍事、非軍事の部隊を構築し、必要な時にはこれを使用する意図を示すことによって、中国にとってのコストとリスクを高めることはできる。もし中国が小さなコストで軍事的影響力を拡大できることになれば、中国は拡大行為を決して止めないだろう、と警告しています。

 

出典:Elbridge Colby & Evan Braden Montgomery,‘Changing Tides in South China Sea’(Wall Street Journal, August 25, 2015)
http://www.wsj.com/articles/changing-tides-in-south-china-sea-1440523898

 

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 最近、米国では南シナ海に関連する警戒論が強まっているようです。この記事は、何が軍事的に問題なのか、具体的に有益な議論をしています。人工島に置かれる軍事力は重要な多くの軍事的利点を中国に与えると指摘しています。米国と関係国は協力を強化して中国にとってのコストとリスクを高めるべきである、との結論を含め、いずれも妥当な議論です。

 

 8月21日、米国防省は「アジア太平洋海洋安全保障戦略」報告書を公表しました。南シナ海での中国の埋め立て活動につき、比や越なども同様の活動をしているが、中国の活動は「規模と効果」において他国の活動とは基本的に性格を異にするものだとしています。また、8月25日にはワシントン・ポスト紙が「中国は南シナ海で注意してかかるべき」と題する社説を掲載し、8月28日には、共和党大統領候補ルビオ上院議員が、中国は東シナ海、南シナ海での挑発的行為を停止すべきだ、と訴えました。

 

 中国は、その振る舞いを再考せねばなりません。そのことを関係国は辛抱強く伝えていく必要があります。中国の今までの行動を見る限り、独善的な安全保障観とそれに基づく振る舞いには相当問題があります。

 

 この問題については、日本も、関係国と連携して抑止力向上を含む適切な対応をとるとともに、同時に、中国との対話などを進めエンゲージしていかねばなりません。