北韓, 南北關係

「従北主義」に振り回される韓国

이강기 2015. 10. 10. 09:25

ソウル・黒田勝弘 「従北主義」に振り回される韓国

 

2012.6.9 07:43 (1/2ページ)緯度経度

産經新聞

 

 韓国最大野党・民主統合党の新しい女性国会議員、林秀卿(イム・スギョン)氏(43)の「従北発言」が韓国社会をにぎわしている。「従北」とは北朝鮮に従う、北朝鮮に服従するという意味で、最近、流行語になっている。

 野党議員の親・北朝鮮的な言動が相次ぎ、与党や保守派との間で非難合戦になっているが、この「従北」の是非は年末の大統領選に向け政局の大きな争点になりつつある。

 林秀卿議員の場合、脱北者や対北人権活動家を相手に「(北に対する)裏切り者!」と罵倒したことが問題になっている。彼女は学生時代の1989年、北朝鮮への“密航事件”で話題になった人物だ。世論は今回の「従北事件」の彼女に、日本の歌の文句にある「昔の名前で出ています…」を感じている。

 北朝鮮は1989年夏、韓国でのソウル五輪(88年)に対抗し平壌で「世界青年学生祭典」を開催した。彼女は韓国の学生運動代表者としてこれに参加。南北軍事境界線の板門店から“帰国”し韓国当局に直ちに逮捕され、獄中生活を送った。

 北では金日成主席とも会い、大々的な歓迎が行われた。南北双方で「統一の花」ともてはやされ時代のヒロインになった。

 当時、白いスラックスに白い半袖シャツ、白のスニーカーという「カッコいい南の女子学生」に北の青年学生たちは興奮し人気沸騰だったと、後に脱北者が伝えている。

 しかも彼女は北朝鮮当局の指示にしばしば抵抗し「板門店経由が認められないならハンストをする」と駄々までこねて北当局を戸惑わせた。自由奔放、開放的な南の左翼学生に北は衝撃を受けたのだ。

筆者は当時、「林秀卿嬢の平壌密航記」を日本の雑誌に寄稿した際、彼女を日本の“新左翼”イメージで書いたところ、新聞記者出身でソウル地下鉄公社広報室長だった父親から電話があり「雑誌を見た」といって感謝された。

 しかしその後、彼女は北の体制を支持、崇拝するいわゆる「主体思想派」であり続けた。

 新左翼は個人崇拝や独裁、官僚主義、人民抑圧、偏狭な民族主義…など旧ソ連のスターリン主義に対する批判から生まれた。

 しかし彼女は新左翼になるどころか、最悪のスターリン主義といわれ権力世襲で“封建王朝”にまで後退した北朝鮮の体制を終始、擁護してきた。

 1970年代以降、韓国の左翼学生活動家たちはある時期、日本の左翼文献でマルクス主義や共産主義を勉強したが、ついに日本での新左翼思想は受け入れず北の「主体思想」になだれ込んでしまった。

 理由は反米・反日あるいは場合によっては反中をはじめ、外国勢力に反対するという北朝鮮の「反外勢思想」-つまり民族主義に抵抗できなかったからだ。

 韓国の左翼ないし反体制運動は1945年の解放以降、「北の影」から抜け出せないでいる。神話化された金日成の抗日闘争歴や反米をはじめ、韓国は民族主義競争で北に後れをとってきたかの錯覚(?)にとらわれてきたからだ。

 しかし韓国は「南の隆盛と北の没落」という現実を見れば民族主義競争でも北に勝っているのだ。今さら時代遅れの「従北主義」に振り回されることなどないはずだが。