美國, 韓美關係

オバマ政権の「アジア重視」は もはや「中国重視」

이강기 2015. 10. 18. 11:49

オバマ政権の「アジア重視」は もはや「中国重視」

 

 

 

 


 

 

 

Diplomat誌のティエッツィが、同誌11月6日付ウェブサイトで、米国のアジア回帰に関するケリー国務長官の最近の発言を取り上げ、アジア回帰は、クリントン前長官が提唱した当時とは性格が変わり軍事的側面が大きく後退している、と述べています。

 

 すなわち、ケリー国務長官の米中関係に関する11月5日の演説は、米国のアジア回帰が、2011年に発表された当初とは性格が異なってきていることを示している。

 

 ケリーは、「リバランスを定義づける4つの柱」として、(1)持続的な経済成長、(2)クリーンエネルギー革命を通じた気候変動対策、(3)ルールに基づいた安定した地域に貢献する、規範と機構の強化による緊張緩和、(4)アジア太平洋の人々が、尊厳、安全、機会を与えられた生活を送れるよう保証することを挙げた。

 

 3年前、ヒラリー・クリントン前長官は、「アジア回帰」のオリジナル版を発表した。Foreign Policy誌の記事で、クリントンは米国の新しいアジア戦略の6つの行動基本を挙げた。二国間同盟の強化、中国を含む新興勢力との実務的協力の深化、地域の多国間機構への関与、広範な軍事的プレゼンスの強化、民主主義と人権の促進である。

 

 ケリーの再定義は、クリントンのものと、いくつかの重要な点で異なっている。特に、リバランスの経済的側面(特にTPP)が前面に出されている。これは、単に政治的ジェスチャーである可能性はある。TPP交渉は行き詰まっており、オバマ政権が更に強調することで、交渉に新しい機運が加えられるかもしれない。しかし、再定義は、「アジア回帰」に対して中国から頻繁に向けられる、「同盟・軍事偏重」との批判に対応している。

 

 ケリーの新しい定義では、クリントンが重視していたアジア回帰の軍事面は、見当たらない。ここ1、2年、オバマ政権は、アジア政策において、軍事から経済・外交問題に、徐々に焦点を移している。これは、一つには、ISISとの戦いやウクライナ危機に対応しなければならないという必要性から来るものである。

 

 しかし、リバランスの軍事面の重要性を引き下げる決定は、意図的な選択でもあろう。リバランスにおいて、経済面に焦点を当てることは、「対中封じ込めである」との中国の不満の根拠を小さくする。気候変動対策をリバランスの課題に加えることは、米中が「アジア回帰」の枠組みの中で協力する余地を与える。それは元来の定義からは抜けていたことである。

 

クリントンの6つの目標のうち、3つが中国に関することである。ケリーの再定義では、4つの目標全てが、中国との共通の土俵を提供し得る。もちろん、これらの目標を追求するために米国の戦略を実行する際は、中国の国益と衝突が生じるであろう。必要性からであれ、外交的配慮からであれ、オバマ政権は、「アジア・リバランス」の論争的な側面を目立たなくさせた、と指摘しています。

 

出典:Shannon Tiezzi,“So Long Deployment, Hello Employment: Redefining the Rebalance to Asia”(The Diplomat, November 6,2014)
http://thediplomat.com/2014/11/so-long-deployment-hello-employment-redefining-the-rebalance-to-asia/

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 ケリー国務長官は、ジョンズホプキンス大学のSAISで行った米中関係に関する演説において、米中関係の強化がリバランス戦略の鍵になる要素であることに疑いの余地は無いとして、「今日の世界において、最も重要なのは米中関係であるということだ。米中関係が21世紀の姿を決める大きな要因になる」と述べています。

 クリントン国務長官の退任以降、米国のアジア回帰が変質していることがしばしば指摘されていますが、ケリーが演説で提示した4つの柱は、改めてそのことを示しています。オバマ政権が、中国を刺激しないよう、事実上の「中国封じ込め」としてクリントンが提示したアジア回帰を変容させた、という分析は、その通りでしょう。現在のオバマ政権が言う「アジア重視」は、もはや「中国重視」であると言っても過言ではないように思います。ケリーが4つの柱の一つとして挙げている気候変動対策については、早速、11月の米中首脳会談で、両国の削減目標で合意に達し、世界の耳目を集めました。

 

 ケリーの新定義は、TPPをアジア回帰の中心に位置付けています。TPPがアジア回帰の中心というのは言い過ぎですが、重要な構成要素であることには違いありませんから、TPPが無事に締結されるに越したことはありません。この点は、共和党が両院で多数を占めた議会とオバマ政権との数少ない一致点であり、進展が期待できるかもしれません。

 

 また、ケリーの再定義にも、「ルールに基づいた安定した地域に貢献する規範の強化」が含まれおり、中国が期待を裏切ることとなれば、オバマ政権としても対中政策の見直しを迫られることになるでしょう。中国のルールに基づかない振る舞いには、議会からの圧力もあると思います。しかし、ヘーゲル国防長官の辞任劇が象徴的に示している通り、オバマ政権の政策遂行能力自体に、例を見ないような大きな疑問符がついています。そして、そういうオバマ政権が、あと2年続きます。

 

 もちろん、オバマ政権がアジア回帰を再々定義してクリントンのオリジナル版に戻することはないでしょう。航行の自由、人権、サイバーなど個別分野で、出来ることだけでも手を付けてくれるよう、主に実務者同士の協議を通じて働きかけていくしかありません。米国のアジア回帰の空洞化を可能な限り防ぐためにも、日米ガイドライン改定のための作業が極めて重要となります。