アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで韓国のテレビ番組が放映され人気を博している。アブダビでは韓国放送公社(KBS)の国際放送を通じてショー番組やドラマ、ニュースなどを見ることができるのだ。
数年前、韓国企業がUAEから原子力発電所の建設事業を受注したが、韓流ドラマを先行輸出した効果ということが当時噂されていた。まずテレビ番組というソフト産業で入り込み国民に親近感を抱かせ、その後のビジネス獲得につなげるとの戦略だ。
確かに以前のUAEではアジアといえば「安全・安心な日本」「優しく親切な日本人」とのイメージが定着していた。だが韓国テレビ番組の放映開始後にはそれも変わり、韓国や韓国人に対する好感度が上昇したようだ。筆者は、はっきりした物言いの韓国人の方が日本人より分かり易くて良いとの評価が出てきていると感じている。
韓国人のイメージが変わった一つの例を挙げてみる。韓国恋愛ドラマの影響があるのだろう。UAE人の知人の娘さんは韓国の男の子は素敵だと言っている。またテレビの影響力の大きさを示すように韓国語を習うUAE人も増えているし、大学などでも韓国研究会なども出来ている。
ドバイでいわゆる「なんちゃって日本料理店」を開いている日本大好き人間を自称する筆者のUAE国籍の友人も、とうとう今年の4月には初の韓国旅行を行っている。
韓国の例を見るまでもなく、テレビ番組の輸出は、輸入国での国家イメージの改善に留まらず、食品、ファッションなどの関連文化への関心の高まりによる各種産業の輸出の新興、さらには来訪する観光客の増加といった副次効果も期待できます。
筆者はUAEをはじめとする湾岸の王制・首長制の国家を頻繁に訪れているが、最近、特に気になることが二つある。第一は、筆者を日本人と認識する現地の方の比率が大きく落ちたことである。10年前では大半の現地人は私のことを日本人と考えてくれた。しかし、最近では、まず聞かれるのが「中国人?」である。違いますと答えると次に言われるのが「では韓国人?」である。そこまで来て、二人に一人の割合でやっと「日本人?」となる。
第二は、現地のホテルの衛星放送で日本のテレビ番組が姿を消しつつあることである。代わって断然幅を利かせているのが中国のCCTVの国際放送で、次いで韓国放送公社(KBS)の国際放送である。
一日も早く和製テレビ番組が中東・湾岸諸国で放映され、「貴方は日本人だよね」といわれる日が戻ることを期待している。