國際

賭けに出る韓国 北朝鮮包囲か米韓関係か

이강기 2015. 11. 3. 23:25

賭けに出る韓国
北朝鮮包囲か米韓関係か


 

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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新アメリカ安全保障センター(CNAS)のフォンテイン代表が、9月30日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、中韓の緊密化は中国の対北朝鮮政策を変えるために韓国が取った手だと考えることもできる、と述べています。

iStockより

 すなわち、28日の国連演説で朴槿恵大統領は、北朝鮮の核開発に国際社会が注意を払うよう訴えた。世界第4位の軍隊の7割が南方に前方展開しているほか、北は世界最大の特殊部隊を保有している。近々打ちあげるとしている衛星ミサイルに核、化学兵器を装着すれば韓国にとり大きな脅威になる。

対日政策ではなかった中韓緊密化

 このような状況で中韓関係は緊密化している。多くの者が中韓接近は両国共通の反日姿勢の結果であり、中国による日韓離反策であると考えている。そういうことかもしれないが、南北関係に注目すると、韓国が半島での特異な機会を見出し中国に手を打っていると説明することもできる。

 北朝鮮支持をやめるほどではないが、中朝の外交乖離は明らかだ。昨年習近平は北朝鮮ではなく韓国を訪問し、金正恩とは未だ会っていないのに朴槿恵とは6回も会談している。先の抗日戦勝利式典で朴槿恵は主要な招客だった。

 中国は、北朝鮮の挑発的な行動が海軍のプレゼンスやミサイル防衛の強化等当該地域での米の役割拡大に繋がることを恐れている。そこに韓国は機会を見出している。長年、中国の北朝鮮支持政策に悩まされてきた韓国は、統一に関する韓国の考えに中国を同調させ、北の非核化への中国の支持を獲得したいと考えている。それが可能かどうかはわからない。韓国の対中接近は具体的な成果よりも希望に基づいたものだ。日本が歴史に対して充分に誠実でないとの共通の認識もあり、韓国は米の同盟国にしてはあり得ない程好意的に中国を捉えている。

 しかし、中韓関係の緊密化は対米関係を複雑にする。韓国関係者は厳しくなっている米中関係の中で動かねばならないことを充分理解しているが、中国の姿勢を変えることができるかどうかを試す「外交空間」が欲しいとしている。これは地勢学上の連携の変更や対米同盟からの離反を意味するものではなく、もっと狭義の外交努力だと韓国はいう。しかし、この均衡外交はトリッキーだ。既に問題が起きている。米国はTHAADミサイル防衛システムの韓国配備を求めているが、中国がこれに反対、韓国は未だ配備を受け入れていない。中国が対北政策を具体的に変更することを条件に、米国は韓国にこの外交空間を認めるかもしれない。北朝鮮の衛星発射に対する安保理での中国の対応が、韓国の賭けが功を奏しているかどうかの判断材料になる、と述べています。

 

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 この記事は、韓国の対中接近につき懸念が強まるワシントンの中で、それを敢えて前向きに見てみようとしているようです。しかし、韓国の「賭け」が中国の変化をもたらすかどうかはわからない、対中接近は具体的な成果よりも希望に基づいたものだ、と冷めた見方もしています。戦術的にはともかく、中国が統一と対北政策につき戦略的に変わることは、少なくとも近い将来は考えられません。

対北朝鮮戦略を見誤るな 粘り強い交渉を

 韓国の対中接近外交は重要なリスクを孕んでいます。韓国は、経済の重要性の他、南北統一に当たって中国の支持を確保したいと考えています。同時に、対中接近は中国の対外関係の中で北朝鮮を出来るだけ「疎外化」することを目的にしています。更に、対中接近については中国が仕掛けている面があります。日米韓の協力体制に楔を打ちたいという中国の基本戦略があります。既にTHAADの問題に見られるように中国の戦略は功を奏しています。韓国にとってバランサー外交は、米中や日中の間にあって永遠に魅力ある外交オプションなのでしょうが、日米韓協力体制の利益を得ながらそれを追求することは、そもそも機能するものではありません。韓国には戦略的選択が求められています。

 朴槿恵は南北関係に大きな関心を持っています。2002年に訪朝し金正日とも会談、2011年には米外交誌に南北信頼外交の論文を書き、2014年1月には南北統一は「大博(テバク)」だと打ちあげ、同年3月にはドイツのドレスデンで対北政策を打ち出しました。南北問題はうまくいけば政権支持率を高めることにもなります。朴槿恵は硬軟両様の対北政策をとってきましたが、北は強く反発、未だ具体的成果は出ていません。抗日戦勝式典出席の際、習近平と統一問題につき有益な協議をしたと韓国政府は「自画自賛」していますが、韓国のメディアや識者の間からも、米日との関係の手当てが先決だとか、韓国が果たして中国と南北統一を語る段階にあるのか分からない、北朝鮮の核問題を先に解決するべきではないか、といった批判が出ています。

 韓国が今やるべきことは、中国ではなく、北に対して辛抱強く交流を深め、それにより北の内政に影響を与えていくことではないでしょうか。予想以上の速さで達成された東西ドイツ統一は、往来の積み重ね、ソ連の弱体化、ゴルバチョフの新思考外交などの素地があって可能となりました。

 統一問題については日本も良く思考しておくことが大事です。それは同盟帰属を含む北東アジアの安全保障に大きな影響を与えます。日米協議が重要であり、日米韓で話し合うことも試みるべきでしょう。

 出典:Richard Fontaine,‘Seoul’s China Gambit’(Wall Street Journal, September 30, 2015)
http://www.wsj.com/articles/seouls-china-gambit-1443627076