【ソウル=豊浦潤一】韓国で、日本政府の対韓輸出管理厳格化に反発した日本製品の不買運動が広がっている。売り上げが激減したと報じられた商品もある。長続きしなかった過去の不買運動とは違い、異例の長期化の様相を帯びている。
■企業リスト
7月初め、日本の経済産業省が、半導体に必要な化学製品の対韓輸出管理強化を発表して間もなく、インターネット上に「不買運動に参加しよう」とのタイトルで対象企業リストが掲載された。これが不買運動の始まりとみられる。
消費者の参加意識も高まっている。韓国の世論調査機関リアルメーターによると、不買運動に「参加している」との回答は、7月24日時点で62・8%だった。10日の48%、17日の54・6%から増加の一途をたどっている。
韓国ギャラップは23~25日に実施した世論調査で、日本製品の購買が「ためらわれる」との回答が80%に達し、「そうではない」の15%を大きく上回ったと発表した。
■「国産」推奨
11日には、商品名を挙げて日本製品から国産への買い替えを推奨する「ノーノージャパン」と題したリストがネット上に登場し、拡散した。主なターゲットとなっているのは、消費者にとって身近なビールやカジュアル衣料品店「ユニクロ」、日本への旅行などだ。
体でもあり、徴用工訴訟で日本企業への賠償を強硬に求める急進派労組「民主労総」傘下の労組は24日、ユニクロ商品の配送を拒否すると宣言した。聯合ニュースは25日、流通業界関係者の話としてユニクロの売り上げが約3割減少したと報じた。
日本との路線が全路線の3分の1以上を占めると言われる韓国の格安航空会社(LCC)も団体客のキャンセルなどで搭乗率を減らしていると韓国経済誌「エコノミスト」(7月29日号、電子版)は報じている。
大韓航空は29日、釜山―札幌路線の運航を9月3日から中断すると発表した。
大統領府は、直接的な支持も批判もせず、静観している。文在寅大統領は22日の首席秘書官・補佐官会議で「海外旅行を楽しむのはよい。しかし、もっと多くの国民が国内で休暇を使えるようにすれば韓国経済の力になる」と語っている。