モスクワの反政権デモで600人拘束 反体制派に強硬策
- 日本經濟新聞
- 2019/8/4 6:38
【モスクワ=小川知世】モスクワ中心部で3日、プーチン政権に批判的な野党勢力が9月のモスクワ市議選への立候補を阻止されたことに抗議するデモが開催された。治安当局がデモ隊を排除し、市当局によると約600人が拘束された。デモは7月下旬から毎週末続いている。抗議の拡大を懸念する政権は封じ込めに躍起になっている。
デモは汚職追及で知られる反体制派指導者のナワリヌイ氏ら野党勢力が呼びかけた。ただ、市側は開催を認めず、デモを阻止しようと一帯を鉄柵で封鎖し、厳戒態勢を敷いた。治安部隊は集まった市民を追い立て、抗議する間も与えずに参加者を拘束した。
中心部の広場では抗議が収まった後も治安部隊が無抵抗の男性らを羽交い締めにし、次々と車両に押し込んだ。30代の息子が拘束された女性(58)は「散歩中に休んでいただけで、何の説明もなく連行された」と涙ながらに訴えた。家族の解放を求めて警察に詰め寄る市民も相次いだが、取り合う様子はなかった。
治安当局は7月27日にモスクワ中心部で開かれたデモで約1400人を拘束したばかりだ。3日には抗議運動の中心人物の一人である女性活動家を事務所から出た直後に拘束した。連邦捜査委員会は同日、資金洗浄の疑いでナワリヌイ氏が率いる汚職追及機関「反汚職基金」の捜査を始めたと発表した。7月27日のデモについても「組織的な暴動」と断定し、刑事事件として調べている。
当局が弾圧を強める背景には抗議が盛り上がることへの危機感がある。プーチン大統領の支持率は2018年の年金受給開始年齢の引き上げ後は6割台に落ちたままだ。経済が停滞し、強権的な統治への不満は膨らんでいる。モスクワのデモが生活水準の低下に苦しむ地方に飛び火し、全国的な反政権運動につながることも考えられる。
プーチン政権は体制に脅威を与えかねない反体制派を徹底的に排除してきた。9月8日に控えるモスクワ市議選では10人以上の立候補を却下。必要な署名に不備があったというのが理由だ。18年秋以降、各地の知事選で政権が推す候補が敗れる番狂わせが続き、モスクワで同様の事態を繰り返せば求心力の低下をさらに露呈する。ナワリヌイ氏ら活動家を片っ端から拘束する裏にはそんな焦りもにじむ。
政権は6月に汚職を追及した記者が不当に逮捕された事件で、早々に捜査を打ち切るなど国民の不満のガス抜きを試みてきた。今回は体制維持に関わる問題で、譲歩するのは難しい。一方で中心部で繰り広げられたデモの排除を多くの市民や観光客が目の当たりにした。治安部隊が市民を押さえつける動画がインターネットで拡散し、市議選に関心が低い市民にも反発は広がっている。
市議選を巡る抗議運動は10年代前半に起きた「反プーチン運動」に次ぐ規模となった。政権の内情に詳しい評論家のワレリー・ソロベイ氏は「大統領周辺の危機感は当時よりも強い」と話す。野党勢力は10日にもデモを計画する。9月の投票日まで抗議は続き、治安当局との攻防が過熱するとみられる。封じ込めを図るほどに反発は強まり、政権は有効な手立てを見いだせていない。
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