こんにちは。世界を旅する犬猫写真家、新美敬子です。どこへ行っても猫の姿を見られる島は「猫島」と呼ばれることがありますが、国全体が「猫島」になっているのが世界的に有名なマルタ島です。
※本記事の著者、新美敬子さんの新刊のお知らせが記事最後にあります。
マルタは、地中海のほぼ中央、イタリア・シシリー島の南約90kmに位置しています。イタリアに属する島と間違えられることもありますが、独立国です。
マルタではどこへ行っても、猫の姿を見ることができます。猫と、猫の世話を続ける人たちに会いたくて、毎年のように訪れるようなりました。
マルタでは、三毛猫のことを「マドンナ」と呼びます。三毛猫は、ほとんどメスしかいないからです。
柄に自信を持っている三毛猫です。
こちらは目の色が左右で異なる「オッドアイ」。
最初にマルタを訪れたのは、20年前のことです。明け方に、猫に餌やりをしている老婦人と出会いました。それが彼女の日課だというのは、猫たちの様子からもわかります。「いつ頃から、猫の世話をしているのですか?」と尋ねると、老婦人は、「そうねぇ、お母さんのお腹の中にいるときから」。
え?! どういうことですか?
聞けば、お母さんも、おばあちゃんも、そのまたお母さんも、ずっと、この地に暮らして、猫の世話を続けてきたとのことでした。のら猫の面倒を見ることは、自分の家系の“さだめ”だからと、語ったのです。人が心身ともに健康に暮らしていくために、猫は必要不可欠な動物である、ことに小さな島ではなおさらだ、と。
三毛猫のことを「マドンナ」と呼ぶことは、このとき教えてもらいました。コーヒーにミルクを混ぜたような毛並みですが、この猫も三毛ですね。
路地で暮らす地域猫でもとても毛並みがよく、きれいです。左の猫に会った5年後、再びこの路地を訪れると、同じ猫が現れて挨拶してくれました。このように同じ猫に再会できることもよくあります。元気で暮らしている姿を見ると感動をおぼえます。
マルタでは、猫のために釣りをしている人をよく見かけます。