軍事前面、変わるEU 将来像の再考急務―ウクライナ危機で最大の試練
時事通信, 2022年03月12日20時43分
ベルサイユ宮殿に集まった欧州連合(EU)首脳=10日、パリ近郊(AFP時事)
11日に閉幕した欧州連合(EU)首脳会議は、ウクライナ危機一色に染まった。ロシアの脅威を踏まえ防衛力増強に向け投資を拡大することに合意。第2次世界大戦後、不戦共同体として発展してきたEUが軍事を前面に出す姿は、大きな変化を印象付けた。欧州の戦後秩序は最大の試練を迎え、EUは将来像の再考を迫られている。
◇歴史的転換点
「ロシアの侵略戦争は欧州の歴史における構造的転換だ」。首脳会議の共同宣言は、EUの安全保障に関しより大きな責任を引き受ける決意を示した。EUの防衛力増強に向けた国防費や投資の拡大に加え、ロシア産化石燃料への依存からの早期脱却を目指す方針でも一致した。
欧州委員会が示す提案を基に5月に具体策を協議する方向で、今年前半のEU議長国を担うフランスのマクロン大統領は記者会見で「欧州の新しい形を見いださなければならない」と訴えた。
欧州への紛争の波及も警戒される中、EU加盟国の間では、平和主義が根付いていたドイツのほか、デンマークが国防費の大幅増を表明。軍備増強の動きが広がる。
各国はウクライナへの武器供給支援も実施している。軍事的中立を維持してきたスウェーデン、フィンランドが武器供与を決断したほか、EUとしても武器供給に4億5000万ユーロ(約575億円)の資金を拠出する初の措置に合意した。前例のない大規模制裁を相次いで発動するなど、EU各国はかつてない結束を見せる。
米調査会社「ユーラシア・グループ」のムジタバ・ラーマン氏は「(ロシアの)プーチン大統領は眠れる巨人であるEUを目覚めさせた」と指摘。外交・安保や経済における欧州の自立が必要だと唱えてきたマクロン氏が「鍵を握る存在」になると予測する。
◇NATOとのすみ分け課題
ただ、各国が思い描く将来像は必ずしも一致していない。特にEUの「軍事化」では、加盟国が重なる北大西洋条約機構(NATO)との関係が課題となる。
マクロン氏はかつてNATOの機能不全を「脳死」状態と批判したが、今回の危機で米欧は緊密に連携しており、米国の軍事力や情報力がなければ欧州防衛は困難という現実も浮き彫りにした。ロシアに近接する東欧諸国は米国依存を強め、オランダのルッテ首相も、防衛については「NATOが第一と確認すべきだ」とクギを刺す。
防衛投資やエネルギー対策に必要な財源の確保も課題だ。フランスやイタリアは「国家予算に余裕はない」(ドラギ伊首相)とし、EUの財政ルールの緩和やEU共通の資金借り入れを模索。これに対し財政規律を重視するドイツやオランダなどは慎重だ。借金の肩代わりや、財政統合にもつながる共通借り入れの拡大は、EUの在り方の根幹に関わる問題で、議論の難航は必至だ。
ウクライナなどが求めるEUへの加盟申請の扱いも、欧州の将来像に関係する重要な問題だが、拡大に前向きな東欧と慎重な独仏などとの隔たりは大きい。(ベルサイユ=仏=時事)
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