中國, 韓.中關係

習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図

이강기 2022. 5. 2. 17:38

 

習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図

 

コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編

現代ビジネス, 2022.05.02

怒りに満ちあふれる閉鎖都市・上海

日本のメディアでも連日報じられているように、中国屈指の大経済都市・上海は3月27日からロックダウンされることとなった。当初は市中心部を東西に分けて2段階的にロックダウンを始めていたが、4月5日あたりから全面的なロックダウンが実施された。

上海・浦東、住民検査  by Gettyimages

 

ロックダウン期間がすでに1ヵ月ほどが経った、この原稿を書いている4月27日現在、解除される見通しはいっさい立っていない。

 

そしてこの1ヵ月間、都市封鎖の上海市内はまさに阿鼻叫喚の地獄と化している。物流の中断や小売店の休業などによって生活物資が決定的に不足して食糧難も起き、文字通りの飢餓の蔓延が現実に起きた。

 

さらに、極端な強制隔離措置が取られた中では、重病となっていても病院へ行けないケースや小さな子供が親から切り離されて隔離施設へ送られるような人道上の災難も多発した。

 

このような状況に対し、多くの上海市民の不満が爆発寸前となった。一部の区域では市民による局部的な騒乱や抗議活動が勃発し、封鎖された市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった。

こうした中で、「上海人の忍耐は極限に達している」とする憤慨のブログ文が4月初旬にネット上で流布されると2000万回以上の閲覧され、全国で大きな反響を呼んだ。

 

4月22日からは、市民の怒りと悲しみの肉声を拾った短編動画の「四月の声」が通信アプリの「微信」上にアップされて大量に転載、拡散された。動画は当局により直ちに削除されたが、市民らは別の通信アプリやQRコードを使うなどして拡散を続け、団結して検閲に対抗した。

 

効果なしの無駄政策

このように、この1ヵ月間、上海史上初めてのロックダウンによって市内が大混乱に陥り、市民には多大な犠牲と不便が強いられている。そしてその結果、市民の反発と憤りがいよいよ頂点に達しつつある。その一方、2600万人の大経済都市である上海の長引くロックダウンの、上海の経済だけでなく中国経済全体に与えるダメージの大きさは計りきれない。

コロナ感染の拡大云々というよりも、感染拡大を封じ込めるための手段であるはずのロックダウンそのものは、上海と上海市民にとっての大災難となっているのである。

 

問題は、それほどのコストを払って強行された上海ロックダウンは果たして、コロナ感染拡大の封じ込めという当初の目的を達成しているかである。4月27日現在の状況からすれば答えはやはり「NO」である。というよりもむしろ、ロックダウンの中で感染拡大は酷くなる一方である。

 

3月26日、ロックダウンされた前日の上海市内で確認された感染者数は45名で、無症状感染者数が2631名であった。しかし、ロックダウンされて約1ヵ月が経った4月25日、同じ上海市内で確認された新規感染者数が1661名、無症状感染者数が1万5319名である。

 

つまり、数字を見る限り、ロックダウンによって感染者数が減らされたのではなくむしろその逆である。まさに前代未聞の厳しいロックダウンの中において、実は感染者数と無症状感染者数の両方は大幅に増えているわけである。

 

その原因についての探求は本論考の範囲外であるが、一つ確実に言えるのは、要するにロックダウンという措置は上海市内の感染拡大の封じ込めに全く役に立っていない、ということだ。この1ヵ月のロックダウンは単に、副作用としての大災難こそを招いた効果なしの無駄策だったのである。

 

 

誰の責任かはよくわかっている

ここまできたら、ロックダウンを目玉とする政府当局のコロナ対策は、もはや完全に失敗していると言わざるを得ない。そしてこの失敗はすなわち、中国の独裁者である習近平主席その人の失敗でもある。

 

3月25日掲載の「もはや“アリ地獄”…『ゼロコロナ政策』に固執する習近平の思考回路」で指摘したように、上海など大都市でロックダウンという厳重措置が取られたことの背後には、習主席の主導下で推し進められてきた「ゼロコロナ」政策がある。

 

今までは、コロナウイルスの完全撲滅を目指すこの極端な政策の貫徹こそが、中国におけるコロナの封じ込めを成功へと導いた最大の要因であったから、「ゼロコロナ」政策はいつの間にか習近平政権の一枚看板の政策となっていて、「社会主義制度の優越性」の印にさえなっているのである。

 

それだからこそ、習主席は今になっても「ゼロコロナ」政策の堅持に異様なほどに固執している。だが、問題は、感染力の非常に強いオミクロン変異株の出現によって、コロナの完全撲滅はすでに不可能となっていて、「ゼロコロナ」政策自体は現実性を失っていることである。

 

それでも習主席は、自らの看板政策を守るべく、ゼロコロナ政策の継続にあくまでも固執し、中央と各地方政府にこの政策の貫徹を強要している。

 

実際、上海ロックダウンの実施はまさに中央から派遣された「督査組」の強い指導下で始まったものである。政治局員・副首相の孫春蘭氏が「習主席指示の貫徹」と称して数回にわたって上海入りして陣頭指揮をとったことは周知の通りである。

 
 

しかしその結果、この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである。

 

批判押さえ込みの大キャンペーン

こうした中で、ロックダウンによって多くの苦難を強いられた上海市民の不満と憤りのその矛先の向かう先が、まさに習主席その人であるとは言うまでもない。上海市共産党委員会の書記でロックダウンの現地責任者の李強氏が、習主席の側近幹部として上海に送り込まれたことからしても、市民の憤りがもっぱら習氏に向かっていくのはなおさら当然のことであろう。

 

独裁者を公然と批判することはできないが、「あのバカのせいでこうなった!」と多くの上海市民が思っているのであろう。

 

流石の習主席も、自らの主導する「ゼロコロナ」政策に対する国内の反感・反発の強さを感じ取ったのだろうか。

 

4月13日、習主席は視察先の海南島でコロナ対策に言及して、「ゼロコロナ」政策の堅持を改めて強調した。そして、それに呼応するような形で、同じ4月13日からは、新華社通信、人民日報、中央テレビ局などの共産党宣伝部直轄下の中央メデイアは一斉に、「動揺せずに“ゼロコロナ”政策を堅持せよ!」、「“ゼロコロナ”政策を堅持し、動揺せず躊躇わず」と題する論説や記事を大々的に掲載して、「“ゼロコロナ”政策万々歳!」の宣伝キャンーペンを始めたのである。

 

中国の政治を熟知している人ならばよく分かるように、「ゼロコロナ」政策擁護の宣伝キャンーペンがこうして一斉に展開され始まったことは、まさにこの政策に対する国内の批判が高まっていることの裏返しであって、政策が失敗に終わろうとしていることの証拠である。

 

共産党中央宣伝部部長の黄坤明氏は、習主席の福建省・浙江省勤務時代からずっと主席に追随してきた腹心の一人でもあるから、上述のゼロコロナ政策擁護キャンペーンの展開は、習主席陣における危機感の高まりの現れでもあろう。

 

 

このことは秋の党大会に向け政治闘争に発展しかねない事態である。そして、この空前の失政を横目に党内で存在感を増している人物がいる。李克強首相である。

 

 

その静かな政治パフォーマンスのあり方と水面下での対立構造を、後編「習近平コロナ失政に『無関心』で高まる李克強の存在感の意味すること」で明らかにしていきたい。