【韓国】「衰退する日本」記事修正で赤っ恥、「日本の滅亡」を喧伝するフェイクニュースに躍る悲哀
「日本に2度と負けない」と宣言したことも(他の写真を見る)
羽田真代
デイリー新潮
2021年9月15日
日本に勝ってヒロインとなったバレー代表
何かと日本と比較して自国の方が優れていると喧伝しがちな韓国。この夏には東京五輪もあり、そういった機運も高まった。もっとも、そういった報道はフェイクに基づいたものも少なくなく、それに躍らされ続ける国民の悲哀も感じさせる。羽田真代氏のレポート。
東京五輪が終わってからというもの、韓国では女子バレーボール代表でキャプテンの金軟景(キム・ヨンギョン)選手をメディアで見ない日はない。
彼女は東京五輪直後に韓国代表を引退することを宣言。16年間にわたって韓国バレーボール界を牽引した彼女の代表引退を惜しむ声はもちろん多い。しかし、メディアで引っ張りだこになっているのは、彼女が日韓戦を勝利に導いた原動力である点が大きい。彼女自身、それを意識してなのか東京五輪を振り返って「一番スッキリした勝利はやはり韓日戦だ。最終セットを12-14で逆転勝ちし、言葉では言い表せないほど嬉しかった」と答えている。
2002年サッカーの日韓ワールドカップで、韓国がアジア史上初のベスト4進出を果たしたときや、フィギュアスケートで浅田真央選手を下した金姸兒(キム・ヨナ)選手がそうであったように、韓国では日本に勝ったり上位にランクインしたりした選手らは英雄視され、大仰な言い方だがレジェンドとなる。
政府機関が公式に日本をバッシング
日本人の場合、日韓戦で敗れればもちろん悔しさを表明する人も少なからずいるし、勝てば多くの人は喜ぶ。しかし、では韓国選手に勝ったという1点を持ってして英雄になるというケースはまず無い。負けたからといって叩かれることも無い。先ほど触れた女子バレーでの敗戦を憶えている日本人はどれだけいるだろうか。
韓国で生活していると、韓国人選手に敗北した日本人選手の名が列挙される場面に遭遇することが少なくない。韓国人にとってこれらの選手がいることで優越感を抱くことができるのだろう。国民から絶大な支持を得るようになった金軟景選手も、今後は金姸兒選手ら同様、CMの出演料だけで生活が成り立つはずだ。
文化体育観光部が7月、「衰退する日本、先進国に格上げの韓国~日本、コロナ防疫失敗と経済沈滞で国力低下」と題した大学教授の寄稿を要約し、公式ウェブサイトに掲載したことがあった。
このニュースについては「政府機関が公式に他国について“衰退する”という否定的な意味合いのある用語を使うのは外交的欠礼だ」という批判が相次ぎ、すぐに内容を変更することになった。何ともお粗末な展開と言う他ないが、文化体育観光部には“前科”がある。先日、東京五輪の選手村に反日横断幕を掲出し、選手村で提供される食材には「放射能汚染の食材が使用されている」と騒いで“放射能フリー弁当”を作った団体なのだ。
公共企業・準政府機関は軒並み純損失
このような実態に、ファンドビルダーの名で活躍している韓国の論客が言及した原稿が面白かったので少しご紹介したい。
ファンドビルダー氏は「政府などのフェイクニュースに騙されて日本が本当に滅びると信じ、その日を指折り数える韓国民は多い。しかし、その者らの期待に反するように、日本の2021年上半期の経常収支は上昇の兆しさえ見られる」と綴っている。
実際にデータを見ると、日本の財務省が8月に発表した上半期の経常収支は約10兆4675億円の黒字で前年比50%の増加であった。これは6年振りの高水準で、コロナ禍前の2019年上半期の約10兆2587億円の黒字と比較しても遜色ないものだ。
経常収支の黒字だけを理由に「日本は安泰だ」とは言い難いが、これ以外のデータを見ても日本の状態はそう悪くない。「衰退する」の根拠はどのあたりなのだろう。
一方の韓国も2021年上半期の経常収支は約4億8700億円で、2016年以来5年振りの高水準である。前年比133%増で14か月連続の黒字だ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国政府も、これらのデータを基に「韓国経済は回復傾向にある。ただし、これが実際の生活に影響を与えるにはもう少し時間を要する」と国民に述べている。そもそも経常収支だけで国の経済実態を語るには十分ではないのだが、これを根拠に韓国が回復傾向だというのなら日本も同様である。
楽観的な文大統領
彼らの流儀に従って、韓国経済にとってマイナスの要素を見てみよう。
例えば、韓国電力と発電子会社6社は今年、約3757億円の当期純損失を計上すると発表した。鉄道公社と仁川国際空港公社も計1878億円ほどの純損失を予測している。公共企業・準政府機関15社で見てみると、約6273億円規模の純損失を記録するとの見通しを示しており、これは昨年比2倍となる。
先月に発表された韓国の国家債務も約101兆円と初めて大台を超え、文政権発足前の2017年の約62兆円から70%弱も増加していることになる。加えて、2017年に約2兆6000億円の赤字だった管理財政収支も来年には約9兆円にまで膨れ上がる見込みだ。加えて、韓国銀行の発表したデータによると、家計債務残高が約172兆円と過去最高を更新している。
それでも文大統領は、楽観的だ。9月6日に青瓦台(大統領府)で主宰した首席・補佐官会議の場でも「輸出が急回復し、大韓民国の輸出の歴史に新しいページを刻んでいる」「コロナ危機の中で韓国経済は、より一層強く新しく生まれ変わろうとしている」と語り、経済対策は上手くいっていると胸を張った。
自殺死亡率は1位、出生率は唯一の「0台」
他方、さすがに国内情勢については「内需の回復が遅い」と認めたうえで、「ワクチンの接種率が高まり次第、現在敷いている人員制限方針を緩和するなど、正常化に向け最善を尽くす」と述べた。日本と同様に、コロナ禍からの本格的な回復がいつになるかは不透明である。
さらに深刻なのは、自殺率や出生率だ。
OECD(経済協力開発機構)加盟国の中での韓国の自殺死亡率は変わらず1位だ。一方、合計特殊出生率は韓国だけが唯一の「0台」(0.84/2020年)を記録している点だ。ちなみに日本の2020年の合計特殊出生率は1.34である。これもかなり低いので決して喜んでいいような数字ではない。そして実際に、日本人で「韓国に出生率で勝った!」などと浮かれている人はまずいないだろう。そんなことは何の解決にもつながらないからだ。
他国と比べて優越感を抱いても意味はない。ましてやその優越感が虚構の上に成り立っているのならばなおのことである。
羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。
デイリー新潮取材班編集
2021年9月15日掲載
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