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韓国・文政権の「負の遺産」に?迷惑市民団体によるソウル地下鉄デモの顛末

이강기 2022. 5. 26. 08:06

韓国・文政権の「負の遺産」に?迷惑市民団体によるソウル地下鉄デモの顛末

 

田中美蘭 (韓国在住ライター)

5/26(木) 6:01配信

 

                                       韓国・ソウルの鍾路3街駅 Photo:PIXTA

 

 朝のラッシュアワー時に障がい者団体がデモを行い、ソウルの地下鉄でホームや停車車内で車いすを降りて抗議活動を行ったことが物議を醸した。韓国では5月10日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任、新体制がスタートしている。これまで文在寅(ムン・ジェイン)政権下で庇護されてきた市民団体は、これからどうなるのだろうか。

 

 

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 今、韓国で、ある団体によるデモが大きな波紋を呼んでいる。文政権下ではしばしば、複数の市民団体や組織が不法的なデモを行っていた。彼らは「権利」を主張し、「弱者の味方」ということを強調しながらも、その実情は過激な言動で社会生活を乱しているともみられていた。文在寅前大統領が退任した今、「負の遺産」になりつつある市民団体はどこに向かうのであろうか?

 

● 朝の通勤ラッシュ時に、ソウル地下鉄を占拠 車いすを降り、電車内やホームをはって進む

 

 4月20日は韓国では「障がい者の日」である。障がい者に対する理解を深め、差別のない社会を目指すことを目的としている。その4月20~21日の2日にわたり、「全国障がい者差別撤廃連合」(以下、全障連)が、ソウルでデモを行った。

 

 問題はそのデモのやり方だ。彼らは間もなく大統領に就任する尹錫悦氏による障がい者の「移動権」の保障と関連予算の増額が「不十分であり、納得できる内容ではない」と主張し、「乗車デモ」と称して抗議活動を行った。

 

 団体がデモに選んだ場所は、ソウル地下鉄でも利用者が特に多い2号線と3号線。参加者たちは車いすを降り、駅のホームや停車中の電車をはって移動するなどのパフォーマンスを行ったのだ。しかも、時間は朝の通勤ラッシュの時間帯。当然、地下鉄の運行時間には遅れが生じ、利用者に大きな混乱が生じたのである。  

 

結局、デモは強行されSNSには、デモの時の様子や、車内や駅構内に貼られた大量のステッカーが多数上げられた。ネットでは「デモの参加者を罰するべきである」「混乱を与えて、自分たちの主張を押し通そうとする姿勢に嫌悪を感じる」「公共のものを汚すとは許せない」など、否定的な意見が目立つ。

 

 

● 芸能人が地下鉄デモを擁護、 ネットで物議を醸す

 

 また、その一方で元Wonder GirlsのイェウンことHA:TFELT(ホットフェルト)は団体に対して寄付をした他、この地下鉄でのデモを支持するコメントを自身のTwitterに投稿して物議を醸した。ネットでは「社会生活を乱すやつらを擁護するな」「普段、地下鉄も使わないあなたが、分かったようなことを言うべきではない」という批判の声が相次ぎ、これに対し、彼女は「デモを起こさなくてはならない障がい者たちの苦痛が理解できるのか?」と反論し、さらに炎上した。

 

 いかなる主張や理由があるにせよ、市民生活に被害を与えるようなやり方は決して容認できるものではない。多くのソウル市民にとっては、市民団体への嫌悪感が募るばかり、というのが率直な意見であろう。

 

● 反日・反米の左派政権では 市民団体は存在感を増す  

 

冒頭でも触れたように、韓国には多くの市民団体が存在している。文政権の5年間、これらの市民団体は政府に守られるような形で、我が物顔で集会を行い、数々の問題を起こしてきた。市民団体の多くは左派であり、左派政権であった文氏の下でその存在感を増していた。

 

 その最たる例が「正義連」によるソウルの日本大使館前の水曜デモや、「全国宅配労働組合」が今年2月に3週間にわたりCJ大韓通運(編注:韓国最大シェアの宅配会社)で座り込みをしていたデモなどである。

 

 前述の地下鉄乗車デモを行った「全障連」の代表であるパク・ギョンソク氏も、左派であることに加え、反米を公言している。パク氏は地下鉄乗車デモを行った当日の夕方には「国民の力」代表の李俊錫(イ・ジュンソク)氏とテレビで討論を行い、「尹錫悦氏は障がい者を軽視している」という主張を繰り返し、李氏に淡々と論破されると声を荒らげる場面も見られた。2時間に及ぶ討論で論破されたパク氏はそれでもまだ言い足りないと、番組終了後にTV局内のロビーの一角に場所を移し、さらに2時間討論を続けた。こちらの追加分も放映されたが、ここでもパク氏の空回りする抗議に、国民は呆れかえるばかりであった。

 

 パク氏をはじめとする団体側はこの討論会とデモによって「社会を味方に」という狙いがあったのかもしれないが、これまでにも散々、市民団体の茶番に振り回されてきた国民たちは冷ややかな反応が大半で、さらにこうした多くの市民団体が、ビジネスとしてデモを行い、私腹を肥やしていることも知られてきている。各メディア記事のコメントを見ても「全障連が新政権により支援金を打ち切られるため、今のうちに存在を示そうとしていた」との意見が多かった。

 

 いずれの団体も、大使館や企業、公共の場といったところでいわば「不法」に集会を行いながらも、警察からは警告のみを受けるだけで実質、見逃されてきた経緯がある。これは、警察さえも文政権の顔色をうかがっていたからだ。

 

 特にソウル市では前市長であった故・朴元淳(パク・ウォンスン)氏が在任中に左派系市民団体の関係者と懇意にあり、側近を始め市政の中枢を自らが所属する「共に民主党」や市民団体関係者で固めていた。  さらには、「市民団体公募事業」として巨額の資金が市民団体に費やされていたことも分かっている。パク氏は文氏と親しく、さらに親北であることもあって、ソウルにおけるデモが実質上、不法を黙認で放置されていたことや、3年前の「NO Japan」不買運動の際に推進していたことも納得できる。

 

 韓国で市民団体が幅を利かせていると印象を受ける背景にはこうした事情があり、特に左派政権の下では存在感を増すのはお約束のようなものだ。彼らが言う「声を上げて行動を起こすことが『正義』であり『民主主義だ』」という自画自賛には、失笑を禁じえない。

 

 

● 今後、尹錫悦政権下で 市民団体はどこに向かうのか?

 

 今回、保守政権として尹氏が就任したことで、市民団体の多くが危機感を持っていることは言うまでもない。尹氏は選挙中から「市民団体の多くに不透明に流れていた不法利益を全額回収し、自営業者や社会的弱者に回す」と述べてきた。さらに「特に一部の団体については権力との癒着が著しく不適切で腐敗した関係が築かれた」とも指摘、就任後には市民団体の認定や補助金の見直しを進めていくことも明らかにしている。

 

 文政権下で甘い汁を散々吸い尽くしてきた市民団体が苦境に陥ることは間違いないだろうが、彼らはそうした中でもしぶとくさまざまな道を模索するものと思われる。

 

 過去に保守系の李明博(イ・ミョンバク)氏、朴槿恵(パク・クネ)氏が大統領を務めていた際には、いずれも左派系市民団体が中心となったデモが頻発していた。今後、尹政権に対しては全面的な対決姿勢を打ち出してくるであろう。

 

 尹氏は日本との関係についても改善していくことに対して意欲を見せており、慰安婦問題に関連した2015年の日韓合意は「公式」という見解を示している。日本側の立場としては関係が回復することは肯定的に受け止めたいが、背後に反日を強く主張する市民団体の存在がある限りは、やはり全面的に韓国側を信頼するのは不可能といえよう。

 

 尹氏による市民団体改革は、どのように進むのか。今後も注視していきたい。

 

 

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