「世界軍事力ランキング2020」上位3国は拮抗… 日本の順位は?
New Sphere, Aug 1 2020
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日本の軍事力は、世界でも上位に位置している。世界の兵力をランク付けするグローバル・ファイヤーパワー誌は、2020年度版の番付を発表した。それによると、自衛隊を軍事力とみなした場合、日本は世界5位のポジションを占めていることになる。これは、英・仏・韓を凌ぐ実力を有することを意味する。
集計にあたり同誌は、138ヶ国を調査対象として、国ごとに50以上の兵力関連データを収集した。兵士や兵器などの数から算出した純粋な軍事力に加え、経済力や地理的要因なども評価対象になっている。これらを独自の数式を用いて処理することにより、「軍事力指数」を導き出した。注意点として、核兵器の有無は評価項目に直接は組み込まれていない。
◆25位 北朝鮮
軍事力指数:0.3718(理想値は0.0000で、小さいほど強力な軍事力を意味する)
人口:2538万1085
兵員(推定):188万
航空戦力:949(138ヶ国中11位)
戦闘機:458(5位)
戦車:6045(3位)
主要艦艇:984(空母0)
軍事予算:16億ドル
国民が飢えようとも、軍備増強には余念がない。25位にはそんな厄介な近隣国・北朝鮮がランクインした。2020年10月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)を誇示する目的と見られる軍事パレードを未明に実行し、異例の事態で世界をざわつかせた。
◆24位 カナダ
軍事力指数:0.3712
人口:3588万1659
兵員(推定):10万1500
航空戦力:385(31位)
戦闘機:62(34位)
戦車:80(83位)
主要艦艇:64(空母0)
軍事予算:225億ドル
カナダは24位に食い込んだものの、隣国アメリカに比べると軍の存在感は控えめ。純粋な軍事面では、カナダは抜きん出た項目を持たない。しかし、鉄道総延長が世界5位、軍用可能な空港の数で世界4位など、先進的なインフラ整備が軍用の物流にもプラスと判断された。
◆23位 タイ
軍事力指数:0.3571
人口:6861万5858
兵員(推定):56万850
航空戦力:570(19位)
戦闘機:75(30位)
戦車:841(25位)
主要艦艇:292(空母1)
軍事予算:71億ドル
およそ5年間の軍事政権を経て再び民政に移行したタイだが、軍部の影響力は色濃く残る。軍部出身者が首相など政界の要職に就いているほか、コロナ対策を口実にした非常事態宣言による民衆への抑圧が続く。
◆22位 ベトナム
軍事力指数:0.3559
人口:9704万334
兵員(推定):548万2000
航空戦力:293(35位)
戦闘機:77(27位)
戦車:2615(10位)
主要艦艇:65(空母0)
軍事予算:55億ドル
ベトナムは湾曲した非常に長い海岸線を持つためか、コルベット艦の保有数は14隻で世界6位、フリゲート艦は9隻で世界17位と、海軍の強さが目立つ。有事の際の呼び出しに応じられる予備兵士が500万人おり、これは世界1位の規模だ。近年は領海をめぐり、中国との間でさざなみが立っている。
◆21位 ポーランド
軍事力指数:0.3397
人口:3842万687
兵員(推定):19万3400
航空戦力:457(29位)
戦闘機:91(25位)
戦車:1069(20位)
主要艦艇:87(空母0)
軍事予算:120億ドル
21位のポーランドは25隻の機雷艦艇を保持しており、世界4位の多さだ。一方、安全保障全般においては、アメリカへの依存度が高い。アメリカ駐留軍のドイツからの一部撤退が報じられると、ポーランド首相は機を逃すまいとばかりに、撤退した要員をポーランドに振り向けるようトランプ大統領に要請している。
◆20位 スペイン
軍事力指数:0.3388
人口:4933万1076
兵員(推定):13万9500
航空戦力:512(23位)
戦闘機:137(18位)
戦車:327(46位)
主要艦艇:77(空母1)
軍事予算:151億ドル
20位につけたのはスペインで、空母1隻とフリーゲート艦7隻を擁する海軍の強さが目立つ。陸軍では精鋭・外国人部隊が、「世界一セクシーな部隊」として知られる。そのユニフォームの胸元はざっくりと開いており、肉体美を強調するタイトなシャツとパンツが世界で話題となった。
◆19位 オーストラリア
軍事力指数:0.3225
人口:2347万145
兵員(推定):7万9700
航空戦力:464(27位)
戦闘機:82(26位)
戦車:59(92位)
主要艦艇:48(空母2)
軍事予算:263億ドル
オーストラリア軍は早期警戒管制機や対潜哨戒機などを含む特殊航空機を31機保有しており、これは世界8位の多さだ。一方で規律面に問題があるようで、アフガニスタンに派遣された兵士が民間人と捕虜を虐殺していたことは、2020年の残念なニュースだ。
◆18位 イスラエル
軍事力指数:0.3111
人口:842万4904
兵員(推定):61万5000
航空戦力:589(18位)
戦闘機:259(12位)
戦車:2760(8位)
主要艦艇:65(空母0)
軍事予算:200億ドル
イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区との緊張が絶えない。2020年9月にはガザ側からロケット弾15発が撃ち込まれ、イスラエル軍はこれに空爆で報復した。なお、軍部はIT技術に長けており、テクノロジー関連の優秀なスタートアップ企業を生み出す土壌となっている。
◆17位 サウジアラビア
軍事力指数:0.3034
人口:3309万1113
兵員(推定):80万3000
航空戦力:879(12位)
戦闘機:270(10位)
戦車:1062(21位)
主要艦艇:55(空母0)
軍事予算:676億ドル
保守的な風土の強いサウジだが、2019年には軍への女性の入隊を認める方針を打ち出した。これまで許されなかった女性による運転免許の取得も可能になるなど、同国の文化は少しずつ変容しつつあるようだ。軍事面では、外国製兵器の輸入を拡大しているのも新たな傾向だ。
◆16位 インドネシア
軍事力指数:0.2544
人口:2億6278万7403
兵員(推定):80万
航空戦力:462(28位)
戦闘機:41(48位)
戦車:313(49位)
主要艦艇:282(空母0)
軍事予算:76億ドル
日本の約2倍の人口を誇るインドネシアは、主にマンパワーのカテゴリでスコアを伸ばした。総人口で世界4位となったほか、全人口の4割以上が従軍可能な年齢となっている。ほか、島国ということもあってか、コルベット艦の保有数でロシア・中国に次ぐ世界3位となっている。
◆15位 パキスタン
軍事力指数:0.2364
人口:2億786万2518
兵員(推定):120万4000
航空戦力:1372(7位)
戦闘機:356(7位)
戦車:2200(12位)
主要艦艇:100(空母0)
軍事予算:114億ドル
パキスタンは戦闘機の数で世界7位、空軍の総合力でも同じく7位となっている。同国はカシミール地方の領有権をインドと争っており、2020年11月には国境地帯で砲撃戦に発展した。核保有国同士の争いとして国際的な注目を集めた一件だ。
◆14位 イラン
軍事力指数:0.2191
人口:8302万4745
兵員(推定):87万3000
航空戦力:509(24位)
戦闘機:155(17位)
戦車:2056(13位)
主要艦艇:398(空母0)
軍事予算:196億ドル
イランが保有するロケット弾発射車両は2000台に近く、世界4位の台数となっている。国内には事実上2つ軍隊が共存しており、大規模なイラン・イスラム共和国軍のほか、クーデターに備える革命防衛隊が組織されている。
◆13位 ドイツ
軍事力指数:0.2186
人口:8045万7737
兵員(推定):21万2650
航空戦力:712(17位)
戦闘機:128(20位)
戦車:245(58位)
主要艦艇:80(空母0)
軍事予算:500億ドル
盤石な空海軍に加え、安定した経済指標もドイツの順位を押し上げる要因となった。一方、毎年800万人近い国民が従軍可能な年齢に達している計算にもかかわらず、兵士を希望する若者は少ないようだ。国防の担い手不足を受け、2019年には外国人兵制度の復活が議論された。
◆12位 イタリア
軍事力指数:0.2111
人口:6224万6674
兵員(推定):35万7000
航空戦力:860(13位)
戦闘機:99(23位)
戦車:200(62位)
主要艦艇:249(空母2)
軍事予算:278億ドル
イタリア軍といえば、主砲の向きを変えることさえできない「最弱の戦車」が歴史に悪名高い。しかしそれは1940年代の話であって、現在は陸軍の兵装車両数で世界15位に食い込むなど、その汚名を濯ぎつつある。
◆11位 トルコ
軍事力指数:0.2098
人口:8125万7239
兵員(推定):73万5000
航空戦力:1055(9位)
戦闘機:206(14位)
戦車:2622(9位)
主要艦艇:149(空母0)
軍事予算:190億ドル
11位トルコは、ロシア製ミサイルの導入でいっそうの軍備強化を狙う。しかし、これが対アメリカ外交の火種となってしまった。米国務長官は2020年12月、トルコの国防産業庁などを対象とする輸出制限の発動を公表している。
◆10位 ブラジル
軍事力指数:0.1988
人口:2億884万6892
兵員(推定):167万4500
航空戦力:715(16位)
戦闘機:43(46位)
戦車:437(35位)
主要艦艇:112(空母0)
軍事予算:278億ドル
10位のブラジルは世界で5番目に大きな人口を反映し、マンパワーのカテゴリで得点を稼いだ。ほか、軍用輸送機の数が126機で世界5位、軍用可能な空港の数が4000超でアメリカに次ぐ世界2位などとなっている。
◆9位 エジプト
軍事力指数:0.1872
人口:9941万3317
兵員(推定):92万
航空戦力:1054(10位)
戦闘機:215(13位)
戦車:4295(4位)
主要艦艇:316(空母2)
軍事予算:112億ドル
9位のエジプトは4000台を超える戦車を有しており、世界第4位の数となっている。隣国リビアでは内戦が続くが、首都を制したリビア暫定政府とそれに対抗するリビア国民軍を、それぞれトルコとエジプトが支援。代理戦争の様相を呈しつつある。
◆8位 イギリス
軍事力指数:0.1717
人口:6510万5246
兵員(推定):27万5660
航空戦力:733(15位)
戦闘機:133(19位)
戦車:227(60位)
主要艦艇:88(空母2)
軍事予算:551億ドル
ブレグジットの余波に揺れるイギリスだが、軍隊の強さは揺るぎないようだ。軍事予算は55億1000万ドルで、世界第5位の規模になっている。英軍保有の空母「クイーン・エリザベス」を日本の沖縄県近海に長期滞在させ、中国をけん制する計画がある。
◆7位 フランス
軍事力指数:0.1702
人口:6736万4357
兵員(推定):45万1635
航空戦力:1229(8位)
戦闘機:269(11位)
戦車:528(33位)
主要艦艇:180(空母4)
軍事予算:415億ドル
7位フランスは、兵器の輸入に頼らない内製率の高さが強みだ。4隻の空母を有し、日本と並んで世界2位の保有数となっている。2020年12月、フランス軍は一部の兵士に身体改造を施す方針を打ち出した。装置の埋め込みなどで身体を強化するほか、苦痛を防ぐ措置を施すという。
◆6位 韓国
人口:5141万8097
兵員(推定):368万
航空戦力:1649(5位)
戦闘機:414(6位)
戦車:2614(11位)
主要艦艇:234(空母2)
軍事予算:440億ドル
6位には韓国がランクインした。兵役制度を敷いており、現役の服務期間を終えてからも8年間は、有事の際に対応すべき予備役と位置づけられている。その数は310万人と、世界第2位の規模だ。
◆5位 日本
軍事力指数:0.1501
人口:1億2616万8156
兵員(推定):30万3160
航空戦力:1561(6位)
戦闘機:279(9位)
戦車:1004(22位)
主要艦艇:155(空母4)
軍事予算:490億ドル
日本は総合的な軍事力で世界第5位となった。ランキングをまとめたグローバル・ファイヤーパワー誌は、「この国は未来に目をむけ、高まりつつある地域の問題(すなわち北朝鮮の脅威)に対する実現性のあるソリューションを引き続き探し続ける」と総論している。項目別では、空軍の総合力で世界6位、空母の数は4隻でアメリカに次ぐ世界2位、駆逐艦は40隻で同じく世界2位だ。インフラ面では、軍用可能な主な港湾が44となり、アメリカを抜いて世界1位の数となっている。
◆4位 インド
軍事力指数:0.0953
人口:12億9683万4042
兵員(推定):354万4000
航空戦力:2123(4位)
戦闘機:538(4位)
戦車:4292(5位)
主要艦艇:285(空母1)
軍事予算:610億ドル
4位のインドについては、陸海空軍を評価するほぼすべての項目において、世界10位以内の優秀なスコアが並ぶ。人口では世界2位、けん引砲の数は4060基でロシアに続く世界2位となっている。最近の動きとしては2020年8月、ヒマラヤ山脈の国境地帯において、中国軍との衝突が報じられた。
◆3位 中国
軍事力指数:0.0691
人口:13億8468万8986
兵員(推定):269万3000
航空戦力:3210(3位)
戦闘機:1232(2位)
戦車:3500(7位)
主要艦艇:777(空母2)
軍事予算:2370億ドル
上位3位の軍事力指数は非常に競っており、来年どの国が首位に立ったとしてもおかしくはない状況だ。3位の中国は世界1位の人口を抱えるだけに、マンパワーの強さが圧倒的となった。ほか、空軍の総合力で世界3位、海軍の戦力(軍艦数)では北朝鮮に次ぐ世界2位につけている。軍事予算でもアメリカを追って世界2位の額だ。先述のインドとの衝突では、電子レンジの原理を転用したマイクロ波兵器を使用し、インド軍側におう吐などの症状を生じさせたとの報道がある。
◆2位 ロシア
軍事力指数:0.0681
人口:1億4212万2776
兵員(推定):301万3628
航空戦力:4163(2位)
戦闘機:873(3位)
戦車:1万2950(1位)
主要艦艇:603(空母1)
軍事予算:480億ドル
2位にはロシアがつけている。装備の古さは否めないものの、急速な近代化を試みている。対シリアの実戦経験を生かした兵力強化も無視できない。2019年に米誌が報じたところによると、ロシア政府は兵士の遺伝子情報を解析する計画を進めている。ストレス耐性などの特性に応じて優秀な兵士を選出したり、適した配属先の部隊を決定したりする模様だ。ロシアに関してはすでに、一般国民を対象にした「遺伝子パスポート」の配布計画が明らかになっている。
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◆1位 アメリカ
軍事力指数:0.0606
人口:3億2925万6465
兵員(推定):226万
航空戦力:1万3264(1位)
戦闘機:2085(1位)
戦車:6289(2位)
主要艦艇:490(空母20)
軍事予算:7500億ドル
2020年の軍事力ランキングでトップに君臨したのは、規模でも先進技術でも圧倒的な地位を誇るアメリカとなった。空軍の総合力、4万台近くを数える武装車両数、そして20隻の空母数において、いずれも世界1位を誇る。
軍事予算は7500億ドルと、こちらも世界トップだ。海外派兵でも存在感を示す一方、圧倒的なパワーのあまり、アメリカ国内での振る舞いには慎重さを求められる場面も出てきている。黒人男性の死亡事件が引き金となった「ブラック・ライブズ・マター」の抗議活動では、その鎮圧のためトランプ大統領が軍隊投入を示唆。アメリカ国内各所から、武力での解決を疑問視する声が上がった。
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