살아가는 이야기

“時間”という平等な資源をどう使うか――CEOたちに見る、ルーティンの必要性

이강기 2022. 6. 27. 11:58

“時間”という平等な資源をどう使うか――CEOたちに見る、ルーティンの必要性

 

 
楠木 建 ( 経営学者)
プロフィール

 

 

現代ビジネス, 2022.06.27

 
 
みなさん、がんばりすぎていませんか?
 

そんなに心配することはありません。なぜなら、こと仕事で自分の思い通りになることは、ほとんどないから。
 

この身も蓋もない「真実」を直視して、成功の呪縛からもっと自由になろう。そうすれば目の前の仕事に対し、もっと気楽に、淡々とやり続けることができる。
 

著者が実践してきた「GRIT無用、レジリエンス不要」の仕事の哲学『絶対悲観主義』から注目の章を特別公開!
 

時間という平等な資源

僕は競争戦略という分野で仕事をしていますが、その始祖に当たるのがハーバード大学教授のマイケル・ポーターさんです。ポーターさんと同僚のニティン・ノーリアさんが「CEOの時間の使い方」について突っ込んだ調査をしています。

 

アメリカの大企業の27人のCEOの時間の使い方を延べ6万時間分調査し、そこでわかったことを報告しています。

                                              Photo by iStock

 

 

一定の分散はあるのですが、平均値で見ると、平日の業務時間は10時間ぐらい。業務時間の72%は会議に費やされています。全仕事時間のうち75%は予定が組み込まれていて、自分の自由にはならない。79%の人が土日も何らかの仕事をしている。週末に仕事をする時間は平均して4時間です。家に帰ると、2時間ぐらいは私的な時間がある。テレビを見るとか読書とか趣味に当てています。平均睡眠時間は6.9時間となっています。

 

 

この調査結果を見たときの僕の感想は「ま、そうだろうな……」というものでした。特に驚きはありません。1日に10時間働いて、2時間家でテレビを見ていたりして、7時間眠っている。まずまずフツーです。CEOの仕事はフツーの人と比べてはるかに激務とはいえ、大まかなカテゴリーで分けたときの時間の使い方にはそれほど変わりはない。

これが時間という資源の面白いところです。3日に1日しか寝ないという人はまずいません。そもそも時間の性質からして、びっくりするような話は出てきようがない。ここに時間とお金の違いがあります。大企業のCEOは特別な人々です。この人たちのお金の使い方を調査したら、驚くようなことが出てくるかもしれない。会食も多いでしょうから、普段食べているものを調査すれば、普通の人とは相当に違うはずです。本棚を見ても、普通の人とは違うかもしれない

ようするに、時間は平等な資源だということです。1日の時間は誰しも24時間。動かしようがない。お金となると、「私の小遣いは月に5万円です」と言う人がいれば、「僕は5000万円ですが」と言う人もいるかもしれない。「500円しかない」と言う中学生もいます。

 

 

お金と違って時間には貯蔵性がありません。買うこともできません。「お金で時間を買う」という表現がありますが、せいぜい目的地への移動にヘリコプターをチャーターする程度の話です。1日を36時間や48時間にしてくれるサービスはどこにも売っていません。

 

 

もうひとつ、時間という資源の特殊性は、供給がタダということにあります。1日当たりの供給量は24時間に固定されていますが、調達コストはゼロです。生きているだけで、必ず1日24時間が公平に支給されます。時間という資源の使い方が誰にとっても関心事になるゆえんです。

 

 

ルーティンの錬成

仕事や睡眠の活動ごとに使っている時間には大きな差はなくても、人それぞれの時間の使い方を具体的に見ていくと、実際のところ何時から何時まで何をどういう順番でどのようにやっているのかには相当な違いがあるはずです。このルーティンという意味での時間の使い方は、お金の使い方と同様にその人の本質を浮き彫りにするものだと思います。

 

僕が長くお手伝いをしているファーストリテイリングの柳井正さんのルーティンはユニークです。早朝に出社し、過密なスケジュールで次から次へと仕事をし、午後4時にはさっと帰ってしまう。単に仕事場を出るだけではなく、本当にご自宅にお帰りになります。

                                   柳井正氏 Photo by GettyImages

 

 

ある日のこと、僕がファーストリテイリングでの仕事を終えて、4時ぐらいにオフィスを出るとき、駐車場でお帰りになる柳井さんとたまたま一緒になりました。「ところで、毎日夕方にお帰りになって、ご自宅では何をなさっているんですか」と聞いてみましたところ、「僕の歳になって、朝早くから4時まで集中して働いた後、家に帰ってすることといったら休むこと以外に何があるんですか」

 

 

柳井さんはアスリートのような経営者です。会社の経営と事業の成功に全精力を投入する。だからこそきちんと休息をとる。使っている時間の量で比べれば、CEO調査の平均値とそれほど変わらないかもしれませんが、柳井さんの仕事へのユニークな構えが見て取れます。

 

 

僕のルーティンについて言えば、朝は6時に起きます。起きたらコーヒーを飲みながら新聞をゆっくり読む。で、7時には仕事を始めます。途中で30分ほどの昼食休憩を取りますが、調子が乗っているときは昼ご飯を取らずにスルーで仕事をします。4時には業務を終了し、週3回はジムに行きます。時間配分はわりと柳井さんに近いのですが、同じ4時で上がるといってもその中身や重みや意味合いはまるで違います。だらだらと考えたり読んだり書いたりの緩い仕事です。

家に戻ってご飯を食べて、9時半にはベッドに入る。ほとんど小学生のような生活です。ベッドでしばらく本を読んだりしますが、遅くとも11時前には眠ります。この歳になると5時には起きてしまいます。そこからもうひと踏ん張りして6時まで寝る。これをひたすら繰り返す。このリズムをきちんとキープしていないと、仕事のパフォーマンスがあからさまに低下します。

 

時間配分以外のルーティンとしては、同じ種目をまとめてやるようにしています。勉強したり、何かを読んだり、調べ物をするときは、少なくとも半日を空けて、集中してインプットします。今日は書くぞというときは、その日をアウトプットの日と決めて、他の用事をなるべく入れず、書くことに集中します。打ち合わせとか取材とかの人と会う仕事も、できるだけ週の特定の1日にまとめて、そこにギチギチに入れていく。1日に異なった種目をミックスさせないほうが調子が出ることに気づき、定着したルーティンです。僕にとっての仕事生活の醍醐味は、こうしたルーティンの錬成にあります。

 

 

僕の仕事は典型的な家内制手仕事です。僕は人に仕事を外注するのが下手なので、ほとんどすべてを1人で切り盛りしています。体はひとつですが、事業部制を採用していまして、僕の中に3つの事業部があります(事業部長は全部僕)。ひとつは「教育事業部」で、大学院で講義をするとか、教授会に出るとか、カリキュラムを回していくときのミーティングの仕事がこの事業部に含まれます。2つ目は考えて書く仕事をする「研究事業部」。これが中核事業となっています。3つ目が、ファーストリテイリングもそうですが、いくつかの企業の手伝いをする「会社の仕事事業部」です。時間の使い方としては、この3つの事業部で均等に3分の1ずつがイイということがわかってきました。

 

 

この他にも間接部門があります。出張のときにホテルを手配したり飛行機のチケットを予約する総務部。領収書の整理をしたり仕事の請求書を発行する経理部。滅多に出番はありませんが、一応法務部もあります。ただし、部長(僕のこと)に専門知識がなく機能していません。社長から事業部長、部長、平社員まで全部を僕1人でやっているので、人事部は不要です。

 

 

僕の時間の使い方はこんな感じですが、ずっと同じルーティンを回しているとどんどん習慣化して、あまり他の手を考えなくなってきます。本当はもっと生産性が上がるようなやり方があるのかもしれませんが、自分1人の人生しか生きていないので、なかなか修正とか改善が起きにくい。

 

 

しかも、時間という資源の重要な特徴に「見えない」ということがあります。時間は稀少で大切なものですが、流れていってしまう。「時は金なり」と言いますが、時間と違ってお金には貯蔵性があります。収入と支出を分析して無駄をなくすなど、お金であれば具体的なレベルで改善しやすいのですが、時間はすぐに過去へと流れていくので、ついつい見過ごしてしまう。裏を返せば、みんなもうちょっと時間の使い方を何とかしたいと思っている。だから古今東西「時間管理」が人々の興味関心を惹くのでしょう。かつての手帳術とか、今なら「スケジュール管理はこのアプリで」とか、何十年も前から同じ話を延々と繰り返しているのに、いつまでも需要が枯渇しないのが面白いところです。もちろん「プレジデント」でも時間管理術を指南する特集が頻繁に組まれています(例えば、「脱ダラダラ大全『24時間』最強の使い方 稼ぐ人稼げない人で、『午前と夕方の予定』に大差!」←お金の話ときっちりと絡めているところがポイント)。

 

 

淺井カヨさんという研究者がいます。この人は大正時代の「モダンガール」の文化に強烈な関心を持って独自の方法で研究しています。読んだり聞いたり調べたりするだけでなく、当時の都市部の「モガ」の生活をそのまま実践しているのです。服装はもちろん、家の電話は黒電話で、当然テレビはない。冷蔵庫は氷を入れて冷やすという時代のものを使う(さすがにインターネットはお使いとのこと)。さらに凄いことに、彼女は結婚なさっているのですが、旦那さまが「モダンボーイ」の実践者。モガとモボ、気が合うに決まっています。東京の小平に当時を再現した家を建て、夫婦で生活実践研究をなさっている。こういう人がいるというのは素晴らしいことだと思います。

 

 

淺井カヨ氏のInstagram

とあるインタビューで「これだけ実践していらっしゃるわけですから、さぞかし大正時代に生まれたかったでしょうね」と聞かれたときの淺井さんの答えが面白い。「そうでもありません。もし私が大正時代に生まれていたら、江戸時代を研究しているに決まっていますから」──ついつい見過ごしてしまう時間の本質を衝いた話です。

 

 

トレードオフの選択

誰にとっても1日は24時間しかありません。論理的な帰結として、時間ほどはっきりとトレードオフを迫るものはありません。何をするかよりも「何をしないか」を決めておくことが時間管理の要諦です。

 

柳井正さんの例に戻ると、柳井さんは原則的に仕事絡みの会食はしないと決めているそうです。4時に仕事が終わった後は予定を入れずお家できっちり休息する。何をしないかをはっきりと決めているからこそ、ストイックでアスリート的な生活ができるのだと思います。

 

「何をしないようにしていますか」と聞くほうが、「趣味は何ですか」と聞くよりもその人のことがわかるかもしれません。トレードオフとして、僕が決めているのが、テレビは観ない。お酒が飲めないので「飲みに行く」というのがない。

 

仕事の会食はたまにありますが、できるだけ朝食か昼食にしています。パーティーなどの大人数の集まりには極力出ない。友達が少ないので、私的な社交の食事に出かけるのも月に1回か2回です。休日にゴルフなどのスポーツをすることも絶無。何をしているのかといえば、読書です。これがいちばん楽しい。次に映画と音楽(鑑賞と演奏と歌唱)です。

 

空いている時間はこうした室内文化活動に使っています。

 

時間がない時間がないと言いながら、長々とスマートフォンをいじっている人がいます。考えてみれば、スマートフォンは人類史上最強の暇つぶしの道具です。はっきりとトレードオフを選択し、自分にとっていちばん楽しくて意味があると思うことに集中しないと、ゲームやSNSの「暇つぶし」に明け暮れることになります

                                                          Photo by iStock

 

時間配分で難しいのが、メールに代表されるオンラインのコミュニケーションです。ポーター先生の時間の使い方の調査でも、メールとのつきあい方が重要な論点として出てきています。CEOのところには、毎日大量のメールが送られてきます。だからといって、判断を伴うようなメールへの返事は秘書任せにはできません。どうしても時間を取られます。

 

ある人が「アナログの日」を決めておくべしと提案しています。アナログの日を1日おきに設定する。アナログの日には、メールを含めた電子的なコミュニケーションは一切しない。メールの返事は翌日にまとめてやる。これはいいソリューションかもしれないと早速実践してみました。ところが、アナログの日の翌日にメールを開くと、「早く返事をくれ」とか「あれどうなっているんだ」という催促のメールが溜まっています。現代社会が即レス前提で動いていることに改めて気づかされました。

一度流れてしまった時間は取り戻せません。お金と違って、返済や弁償が利きません。僕が心底尊敬している高峰秀子さんは、5歳の子役時代から55歳までの50年間、何百本と出た映画の仕事で時間に遅れたことが一度もないそうです。大スターなのに、約束に間に合うよりもずっと早く家を出る。しかも運転手さんには「霊柩車みたいに、ゆっくりと走ってください」と言っていたそうです。そういう心境とリズムで仕事ができるようになりたいものです。

 

原稿は締め切りよりも早めに仕上げておき、1日ぐらい寝かしてから直前にもう一度チェックしてから送るようにしています。しばしば約束の時間や締め切りを破る人がいますが、「私は噓つきです」「私は泥棒です」と公言しているに等しい。受ける以上は締め切りを守る。締め切りが守れないような仕事は受けてはいけない。断るのも能力のうち。これもまた重要なトレードオフです。

 

 

例外は本の執筆です。新聞や雑誌やオンラインメディアへの寄稿の場合はもちろん締め切りがありますし、それを守るのですが、本を書くときは事前に締め切りの約束をしないことを条件にしています。締め切りを約束する必要がある本の仕事は受けません。「そうは言っても、大体いつ頃仕上がるのか」と聞かれた場合は「機が熟したとき」──出版社の方には申し訳ないんですが、そうとしか言いようがない。まとまったものを書くときは、じっくりと腰を据えて取り組みます。

 

講演やセミナーの仕事の依頼については、僕は日時と場所が確定するまでスケジュールを入れないようにしています。「この日空いてますか」と聞かれて「はい、空いてます」と答えると、「でしたらそこで実施するか検討するので、仮押さえしておいてください」と言われることがあります。たとえ「仮」で押さえるにしても、それは動かしがたい制約になります。「日時と場所が確定したらブロックします。それまでに別の案件が入ったらそちらを優先しますけれども、それでもよろしいですか」と必ず確認を取ります。

 

 

一度決まったはずの話でも、「こちらの都合で大変申し訳ありませんが、あの件はキャンセルさせてください」ということがあります。こういうとき、僕はきちんと文句を言うことにしています。「すぐに謝りに伺いたい」と言うので「いいえ、結構です」とお断りすると、「それでは後日上司と伺いたいので、ご都合のいい時間をとりあえず仮押さえさせてください」──これには大笑いしました。

 

 

 

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