火葬場には「遺体の行列」ができる…コロナウイルス感染爆発が起きた上海の悲劇
病院と火葬場はパンク状態
市民の8割が感染か
「上海市では人口の7割が新型コロナに感染したという報道が出ています。しかし、市内の医院の逼迫具合から、すでに8割超が感染したといっても過言ではありません」
深刻な表情で打ち明けるのは上海市の病院に勤める日本人内科医だ。
ゼロコロナ政策の緩和から1ヵ月が経過した上海では、大規模な感染爆発が起きている。
この状況下で、遺体を処理する病院や火葬場はパンク状態に陥っている。上海の別の病院に勤める中国人内科医が明かす。
「感染者が急増してから、私の病院だけでも一日に10人から15人ほどの患者が亡くなっています。
そのため、遺体を運搬する車が不足しているんです。火葬場から遺体を引き取りに来る車が到着するまで平均で12時間と、普段の6倍以上の時間がかかっています」
火葬も医療も間に合わない
火葬場に着いてからも、運ばれてくる遺体が多すぎるため、火葬が追い付いていない。火葬場では、袋に入れられてストレッチャーに乗せられた遺体が大量に安置されており「遺体の行列」ができあがっているのだ。
火葬場の外にも、遺骨の引き取りを待つ遺族による大行列という悲惨な光景が広がっている。
医療崩壊も目前だ。前出の中国人医師が、現地の惨状を告発する。
「1月初めから上海市内の病院のICUもすべて満床です。新規の患者の受け入れができなくなっており、重態患者はもはや救えません。
国民はコロナに全員感染して、死ぬ奴は死んでもいい―。当局がこうした選別政策をとっているとしか思えません。まさに地獄の中で生活しているような状況です」
上海ではすでに中等症以上の患者に投与する酸素の在庫が底を突きつつあるという。コロナ治療で酸素が枯渇すれば、桁違いに死者が激増することは周知の事実だ。
1月22日の春節を前にして、上海の混乱はまだ終わりそうにない。
「週刊現代」2023年1月14・21日合併号より
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