中國, 韓.中關係

いきなり数千発のミサイルが沖縄に…米国の大学教授が予想した「中国の台湾進攻」の絶望的シナリオ

이강기 2023. 2. 20. 19:03

 

いきなり数千発のミサイルが沖縄に…米国の大学教授が予想した「中国の台湾進攻」の絶望的シナリオ

Yahoo Japan, 2/17(金) 14:17配信

 
 

                                                     ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bymuratdeniz

 

 

中国の台湾進攻はあり得るのか。起きるのであればいつなのか。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のハル・ブランズ教授とタフツ大学マイケル・ベックリー准教授による共著『デンジャー・ゾーン』(訳:奥山真司、飛鳥新社)より、一部を紹介しよう――。 【写真】ロナルド・レーガン米国大統領の公式ポートレート

 

 

■中国の台湾への軍事攻撃は成功するのか

 

 2020年9月、人民解放軍は台湾海峡で、この25年間で最も攻撃的な軍事力の誇示を開始した。台湾の防空識別圏への侵入は急増している。中国軍の任務部隊の中には、30機以上の戦闘機と6隻の艦艇を従えて、ほぼ一日おきに海峡を徘徊しているものもある。その多くは、台湾と中国の双方が何十年間にもわたって尊重してきた境界線である「中間線」を突破している。

 

 これらの部隊の中には、パトロール中にフィリピンと台湾の間を航行するアメリカの空母や駆逐艦への攻撃をシミュレートする動きをしたものもある。また、中国は2020年に香港の民主化運動を鎮圧することで、台湾を平和的に説得できる時代が終わったことを示唆したのだ。

 

 

■アメリカ・台湾と中国の圧倒的な差  軍事攻撃は成功するだろうか?  その答えは、つい最近まで「ノー」であった。

 

 1990年代には台湾は中国に対して地理的・技術的に有利であったため、実質的に征服不可能だった。台湾海峡は台風や高波のおかげで危険な海域で、島そのものが自然の要塞となっている。東海岸は険しい断崖絶壁、西海岸は沖合数キロに広がる干潟で、激しい潮流もある。台湾には侵略してくる軍隊が上陸できるような砂浜さえ十数カ所しかない。アメリカと台湾の戦闘機と海軍の艦隊は、中国軍を決して近寄らせない状態を維持できていたのだ。

 

 ところがそれ以降の中国は、国防費の支出で台湾を25対1の額で圧倒するようになった。新しい軍艦、戦闘機、ミサイル、そして何千人もの兵士を運ぶことが可能な水陸両用艦などを次々と生産した。中国の兵力規模は、今や台湾の10倍である。  中国の長射程の防空システムは、台湾上空の航空機さえ撃墜できる。中国の陸上配備型ミサイルと戦闘機は、台湾の空軍と海軍を一掃し、東アジアのアメリカ軍基地を破壊できると言われている。

 

 中国のサイバーおよび対衛星能力は、アメリカ軍の重要なセンサーや人工衛星を機能不全に陥れることで、同軍の耳と目と口をきけなくしてしまう恐れがある。中国の対艦ミサイルは、西太平洋を航行するアメリカの大型水上艦にとって、非常に危険になる。ここ25年間にわたり、人民解放軍は台湾征服のために執拗(しつよう)に準備してきた。

 

「グアムキラー」の恐るべき実力  一方のアメリカは、この期間を通じて中東のテロリストとの戦いに明け暮れていた。最近ではNATOの東側の陣地を強化するために、ヨーロッパに部隊と武器を投入している。オバマ、トランプ、バイデンの各政権は、中国に対抗するため、アジアに軸足移動(ピボット)することを望んでいた。

 

 

 だがこのような計画は、ISISの台頭やロシアのウクライナ侵攻など、他の地域で発生した案件によって覆されてきた。グローバルな勢力であるアメリカは、単一の不測の軍事案件に備える余裕もない。その結果、中国の軍事近代化に空軍と海軍が追いつけていない。

 

 

 アジアにおけるアメリカの軍隊は、依然として少数の大型の軍艦と、露出した基地から運用される短距離戦闘機が主体で、これらはまさに、中国が奇襲ミサイル攻撃で破壊しうるものだ。アメリカは台湾から500マイル以内(無給油の戦闘機がガス欠になる前に帰還できる最大飛行距離)にたった2つの空軍基地しか持っていない。中国がこれらの基地を使えなくすれば、アメリカ軍は空母や、台湾から1800マイル離れたグアムから行動しなければならなくなる。

 

 

 この距離と空中給油の必要性のために、アメリカ軍の出撃回数は半減させられ、そのせいで中国に台湾上空を支配するチャンスを与えてしまうことになる。

 

 

 さらに悪いことに、中国は現在、グアムを攻撃できる爆撃機と弾道ミサイルを保有しており、本土から1000マイル以上離れて移動中の空母を攻撃できる可能性もある。これらの「グアムキラー」と「空母キラー」のミサイルが宣伝通り機能すれば、中国は東アジアにおけるアメリカの軍事力に損害を与えることができる。

 

 

■台湾の圧倒的に不利な状況

 

 台湾には、その遅れを取り戻す準備ができていない。徴兵制からプロフェッショナルによる志願制への移行の一環として、台湾は現役兵力を27万5000人から17万5000人に削減し、徴兵期間を1年間から4カ月へと短縮した。新兵は数週間の基礎訓練しか受けず、予備役の訓練は頻度が少なく内容も不十分だ。

 

 

 また、台湾は兵站部隊を削減しており、これによって戦闘部隊への補給や基本的な整備を日常的に怠っている状態だ。そのため兵士は事故や貴重な弾薬の浪費を恐れて武器を使った訓練を避けている。

 

 

 台湾のパイロットの飛行時間は、月に10時間未満である。また、戦車や攻撃ヘリの半数以上が使用不可能な状態で、多くの台湾人兵士が士気の低下に苦しんでいる。

 

 

 要するに、中国は1914年のドイツや、1941年の日本のように、軍事面では有利だが有限のチャンスの窓を持っているということだ。台湾政府自身が認めているように、中国は台湾の守りを「麻痺」させることができそうだ。

 

■2030年初頭までが中国のチャンスといえるワケ

 

 台湾とアメリカはこの脅威を本格的に自覚しており、解決しなければならない重要な問題を特定し、それに応じた軍備の再編を始めている。だがアメリカと台湾の国防改革が大きな影響を与え始める現在から2030年代初頭までの間には、中国にもまだチャンスは残されている。

 

 実際のところ、アメリカの巡洋艦、誘導弾を装備した潜水艦、長距離爆撃機の多くが退役する2020年代半ばには、両岸の軍事バランスは一時的に中国にかなり有利になると思われる。

 

 アメリカ軍は実に多くの点で、まだロナルド・レーガンが築いた軍隊なのだ。とりわけアメリカ海軍と空軍の近代化は何十年にもわたって先送りにされてきた。現在その問題は深刻なものとなっている。

 

 ペンタゴンが所有する主力艦や戦闘機の多くは、文字通りバラバラになっているか、燃え尽きようとしている。老朽化した船体や機体は新たなアップグレードだけでなく、中国の新軍と競争するために必要な最新のエンジン、センサー、弾薬を搭載することにも耐えられない状態だ。これらのアメリカの戦力は退役させなければならない。

 

 だがそれらが退役すれば、アメリカ軍は東アジアに配備される、近代的な海軍火力の基本である垂直発射型ミサイルの発射管の数を数百本も減らすことになる。

 

 一方で、中国はさらに数百の対艦・対地攻撃ミサイル、数十機の長距離爆撃機と水陸両用艦、そして中国本土から台湾の大半または全域を攻撃できるロケット発射システムを稼働させるだろう。

 

 これはいわば「地政学的な時限爆弾」である。2020年代半ばから後半にかけての時期は、敵を倒して修正主義的な欲望を満たす上で、中国にとってこれほどの好機はない。あるペンタゴンの元高官が言ったように、アメリカはこの時期に台湾との戦いで「尻を蹴り上げられる」リスクを負うことになる。

 

■台湾進攻は2027年までのどこか  

 

このような動きを見て、中国の退役軍人や国営放送の報道機関では中国共産党に直ちに台湾に侵攻するよう促す声が上がっている。中国国民もそれに同意しているようだ。

 

 国営の『環球時報』の2020年の調査によれば、本土の70%の人々が台湾の本土への統一のために武力行使することを強く支持しており、37%が「もし戦争が起こるなら、2025年までがベストだ」と考えているという。

 

 中国政府高官たちは、プライベートな場では西側の専門家たちに向かって、中国共産党内で侵略を求める声が高まっており、習近平は「人民解放軍はそれをやり遂げることができる」と主張するタカ派や「イエスマン」たちに囲まれていると語っている。

 

 おそらくそのためかもしれないが、習近平は「台湾の解放」に自分の正統性(レジティマシー)を賭けている。2017年に彼は台湾の統一が「中華民族の偉大な若返りを実現するための必然的な要件」であると発表した。そして2020年には中国共産党が「近代化された」軍隊を投入する予定の時期を、2034年から2027年に早めている。

 

 2021年3月、当時インド太平洋軍司令官であったフィリップ・デービッドソン提督は、中国が今後6年以内に台湾を侵略する可能性があると警告した。

 

 

■「真珠湾攻撃」が中国の手本になる

 

 中国は、台湾を圧迫して降伏させる選択肢をいくつか持っている。たとえば台北が支配しているが中国本土の海岸からわずか数キロしか離れていない沖合の露出した島の一つを奪取することや、海・空の封鎖を行う、あるいは単に誘導ミサイルで台湾を爆撃することなどだ。

 

 だが、これらのオプションはアメリカと台湾に対処するための時間的余裕を与えることになるし、中国側もわざわざそれを与えるつもりはない。

 

 彼らは1990年から91年のペルシャ湾戦争で、サダム・フセインの軍隊がいかに虐殺されたかを目の当たりにした。しかもこの時はペンタゴンが周辺に膨大な数の兵器を数週間で集め、しかも巨大な国際的な同盟を結集させている。

 

 彼らは早い段階、つまり台湾とアメリカ軍が反撃してくる前に、激しく攻撃することが勝利への一番の近道であることを知っている。だからこそ中国の軍事ドクトリンでは、真珠湾攻撃のような形で相手を素早く武装解除することを目指しているのだ。そのためわれわれは本当に悲惨なシナリオを心配しなければならない。

 

■沖縄に数千発のミサイルが降り注ぐ

 

 最も可能性の高い戦争開始の形は、台湾、沖縄やグアムのアメリカ軍基地、日本を母港とするアメリカの空母打撃群の上に、陸上・空中から発射された中国のミサイル数千発が降り注いで始まる、というものだ。

 

 台湾各地に潜んでいた中国の特殊部隊や諜報員たちが工作を開始し、軍事施設で爆弾を爆発させ、台湾の指導者を暗殺する。中国のサイバー攻撃は、台湾の重要なインフラを麻痺させるだろう。  また、人民解放軍はサイバー攻撃と、場合によっては地上発射型ミサイルを使って、アメリカ軍同士やワシントンとの通信手段となっている衛星を破壊し、数日から数週間にわたってアメリカ側の対応を不可能にしたり、そもそも何が起こっているのかをわからないようにするだろう。

 

 人民解放軍のサイバー部隊は、それと並行してアメリカ本国でもトラブルを起こし、混乱を招いてアメリカ国内の政治紛争を悪化させるために、偽情報キャンペーンを展開することになるだろう。

 

 その一方で、台湾海峡で軍事演習を行っていた中国艦艇の船団が、台湾の浜辺に向かって猛進し、その合間にも大陸にいる数十万の中国軍が、本格攻撃に備えて艦船やヘリコプターに乗り込み始めるだろう。小型の強襲揚陸艦が台湾海峡の民間フェリーの間から現れ、台湾軍が対応する前に重要な港や海岸を奪取しようとする可能性もある。

 

 

■勝利のためには核の可能性も

 中国の奇襲攻撃で前方展開部隊の多くを失ったアメリカ軍が再び台湾に近づくには、数千マイル離れた場所から航空機と軍艦を投入し、ミサイル、スマート機雷、電磁波妨害などをかき分けながら戦わなければならないだろう。

 

 さらにそのような兵力を集結させるには、攻撃的なロシアからNATOの東方側面を守るために配備されているような、他の重要な地域のアセットを引き離してくる必要があるかもしれない。そしてアメリカは一つの大国にしか対処できない軍備だけで二つの核武装した大国に対処するという、実に厳しい安全保障上の課題に直面するかもしれないのだ。

 

 アメリカはグローバルなトレードオフに直面し、太平洋のアメリカ軍は、ベトナム戦争や第二次世界大戦以来の規模となる損失を被るだろう。アメリカの指導者たちはひどいジレンマに直面することになるかもしれない。つまり屈辱的な軍事的後退を受け入れるか、中国が後退しなければ核兵器を使うと脅すかだ。

 

 2018年、国防専門家によるある有識者委員会は、核の黙示録の危険を冒すような戦略に頼らなければ、アメリカは「決定的な軍事的敗北」を被る可能性がある、と結論付けている。地政学的にこれ以上危険なことはない。

 

 「恐ろしい2020年代」は厄介な10年間となりそうだ。なぜなら中国が厄介な地政学的な分岐点――衰退を避けるために大胆に行動することが可能であり、またそうすべき時点――に差しかかっているからだ。 ---------- ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究院(SAIS)特別教授 米外交政策の専門家。AEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)シニア・フェロー、ブルームバーグなどのコラムニストや国防長官顧問、国防総省や情報機関のコンサルタントも務める。 ---------- ---------- マイケル・ベックリー タフツ大学政治学部准教授 ランド研究所上級政策アナリスト、国防省長官室アドバイザー。 ----------

 

ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究院(SAIS)教授 ハル・ブランズ、タフツ大学政治学部准教授 マイケル・ベックリー