天文學

《人類究極の謎が解ける日》「火星の生命は地球とかなり違っていた?」火星で発見された「硫酸の湖」と「奇妙な有機物」

이강기 2023. 3. 7. 20:36
 
 
 

《人類究極の謎が解ける日》「火星の生命は地球とかなり違っていた?」火星で発見された「硫酸の湖」と「奇妙な有機物」

『サイエンスZERO』20周年スペシャル・取材班

 

 

私たち人類にとって究極の謎「この宇宙に私たち以外の生命は存在するのか?」に迫ろうという「地球外生命探査」は、この20年で飛躍的な進化を遂げ、火星や土星の衛星など、生命の存在が期待される天体の探査が進み、「生命を育む要因」に関する新事実が次々と報告されています。

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世界から注目を集めているのが東京工業大学・地球生命研究所所長の関根康人さん。関根さんは、この先20年で本格的に宇宙に生命を探す時代が到来すると語ります。

前編『「エンセラダスには地球と似た生命がいるのかも!」土星探査機カッシーニの大発見と「地球外生命探しの夜明け」』に続いて本編では、地球のお隣さま「火星」でも、驚くべき発見が続いていることを紹介します。

 

火星で見つかったかつての「硫酸の湖」

―火星についても「水環境」が分かってきたのですか?

 

火星に関しては、堆積物からかつて存在していた水を明らかにする研究が行われています。最初にそれ調べたのがオポチュニティで、30億年ほど前に水があったと考えられている「メリディアニ平原」に着陸して、泥や砂を分析しました。

 

湖の底で泥や砂がゆっくり沈殿した堆積物が、当時の湖の環境を記録しているのでそれを調べるわけです。

 

地球化学の手法を使うと、こういう鉱物とこういう物質があれば昔あった水のpH(ペーハー、液体の酸性度やアルカリ度を示す指標。低いほど酸性を表す)はおそらくこのぐらいの範囲というのが導き出せるんです。分析したら、非常に強い酸性で、濃い「硫酸の湖」ということが分かりました。

湖があった頃の火星のイメージⒸNASA/GSFC
 

 

 奇妙な「火星オリジナルの有機物」が見つかった

―硫酸の湖…⁉ まるで地獄のような環境ですね。

 

人間がこんなところに入ったら、もう痛いですよね。いろいろなたんぱく質を分解してしまうような酸性の湖です。

 

その後、「キュリオシティ」という探査車が多くの装置を積んで「ゲールクレーター」に着陸しました。ここには38~35億年ほど前に湖がありましたが、オポチュニティが着陸したメリディアニ平原よりも5~10億年ぐらい古い時代のものです。当時の水の環境を調べると、pHが中性ぐらいで、今の地球の海に近い環境だったんです。火星でも38億年ぐらいまでは地球に似ていたことが分かりました。

 

さらにキュリオシティは、有機物の組成も明らかにしましたが、見つかった有機物が奇妙で、炭素に対して硫黄が10~15%ほど入っていて、酸素も窒素もリンもほとんど入ってない、火星オリジナルのものだったんです。だから、火星に生命がいるとすると、地球とは有機物の形からかなり違うかもしれないということも分かってきました。

ゲールクレーターで「自撮り」するキュリオシティⒸNASA/JPL-Caltech/MSSS

※キュリオシティ 2012年に火星に着陸し、現在も活動を続けるNASAの火星探査車。地質的な形態や化学組成を調べるカメラや分光器、掘削装置など多数の探査機器を搭載、オポチュニティの5倍の重量がある。

―地球と火星で「生命」の比較ができたら面白そうですね。

 

もし生命がいれば、我々地球の生命と火星の生命で何が同じで、何が違うかが明らかになります。どういう働きを持つのが生命にとって本質なのか、どういうものが普遍的に生命と呼ばれるものなのか、その答えが得られることになると思いますね。そうすると「生命」の定義ががらりと変わることになるかもしれないというか、きっとなると思います。

 

「火星で生物を培養する日」が近いかもしれない?

―これからの20年で地球外生命の解明はどういう方向に進むのでしょうか?

 

この20年は地球外で生命が実際に発見されるかもしれなくて、今は“生命発見前夜”という気がします。いよいよそういうところに来ているという気がしています。

 

土星の衛星エンセラダスなど氷の天体においては、土星探査機カッシーニが成し遂げたことの上をゆく詳細な分析をすることになると思います。今年4月には、「JUICE」という探査機が、2025年10月には「エウロパクリッパー」という探査機が木星に向けて打ち上げられ、20年代から30年代にかけて、木星の衛星「エウロパ」や「ガニメデ」という地下に海がある天体で探査が行われます。

 

その水環境が分かるとどういう生命が、どのぐらいの量、どういう物質を使って生きているかということが予想できて、その予想に基づいていよいよ生命探査、というのがこれから20年の時代になると思います。私は今、44歳になるんですが、その辺りまでは現役として見届けられるかなという気はします。

 

NHK提供

―火星での生命探しはどのようになりますか?

 

火星からサンプルを持ち帰るだけではなく、生物を培養しようと火星に生物学者が行くということになってくるかもしれません。今の小学生が30代、40代になる時には、火星に人間の基地があって、科学者などいろんな人が住んでいるかもしれないですね。

 

サイエンスは、人間の好奇心の究極の形だと思いますが、そうしたものに駆動されて人間が居住域を知らず知らずのうちに広げていく、その好奇心のひとつが「生命を見つけたい」ということなのだと思います。

 

地球「生命の起源」の謎に迫るこれからの研究

―地球外生命がいて欲しいですが・・もしいなかったら我々は何を学べるんでしょうか?

 

水環境を予測できれば、地球外生命の「いる・いない」に白黒付けることができると思っていますが、いなかった場合に何を学べるかも問われることになると思います。

 

まず1つは「生命の起源」に対する理解です。我々は「液体の水・有機物・エネルギー」を探していますが、そもそも生命が誕生するためにプラスアルファで何が必要なのか、あるいは必要ないのかは、実は分からないんです。実験室でゼロから生命を作ろうと思って、有機物を入れて、エネルギーになるものを入れて、水を入れて循環させても、生命は簡単には誕生しないですよね。きっと我々の知らない条件があるはずなんです。

 

例えば火星とエンセラダスを比べると、エンセラダスには海はありますが、陸も大気もありません。熱水があるだけで、太陽の光も入らない。一方、火星には地表に水があるので太陽の光が降り注ぎます。大気も陸地もある。でも深い海はない。ところが、地球には全部あるんです。深い海もあれば、陸もあれば、大気もある。

 

もし仮に火星には生命がいて、エンセラダスに生命がいないと分かると、生命の誕生にはひょっとしたら陸地や太陽の光、大気という存在が必要かもしれないと分かるかもしれません。逆に、エンセラダスに生命がいて、火星にいないとなると、エネルギーが常に与えられる熱水環境が地球でも生命誕生の場だったのかもしれないとなります。つまり、生命誕生に何が必要か、浮き彫りになるはずです。

―なぜ我々はここまで地球外生命に心ひかれるのでしょう?

 

究極的には「自分が何者か?」という問いの答えが欲しいのだと思います。自分と相手を比べると、何が自分らしいことなのかはっきりしてくるじゃないですか。外国に旅行に行くのにも似てるのかもしれません。日本がどういう国で、日本人はどういう人たちかを知るのに一番いいのは、やっぱり外国に出かけることだと思います。地球外の生命を知ることで、人間が何なんだろうということに答えが欲しいのかなという気がしています。

 

そして、異郷とか異物に触れることは、我々の頭の中の想像する領域を広げてくれるからじゃないですかね。人類が大昔にアフリカを出て、この世界に広がってきたのは、違う場所を見て、違う場所に行ってそこに適応して生きるっていう生き方をしてきたからで。だから人類は、未知なる宇宙の生命ってことに興味を持つんじゃないかなという気がします。そう考えると、我々人類が歩んできた道のりが、我々の認識する世界をどんどん広げていくことで生きてきたっていうことにつながる気もしますね。

 

番組と次世代に向けた熱いメッセージ

―今後のZEROにメッセージをお願いします。

 

次の世代に夢を持って生きてもらうことがすごく大事だと思っているので、そういうものを伝えてもらいたいというのが「サイエンスZERO」に対する気持ちです。ともすれば日本はだんだん右肩下がりになってきて、人口だけじゃなくて経済も縮小してとか、暗い話題が多い中、小学校から高校生にかけて夢を持てるような、未来が明るいと思えるように育ってほしいと強く思います。

 

サイエンスをいくらやっても、世の中はあんまり変わらないですよね。すごく長い目で見れば変わるのかもしれないですけど。サイエンスというものが、世の中の役に立つとすれば、夢を与えたり、活力を与えたりっていうことができることかなと。サイエンスが持ってる根本的な人間の好奇心とか、未知なものとか夢に対して、人間がいかに立ち向かうかっていうそういう姿勢は、それが伝わることで社会が何かしら影響を受けることはあると思うんですよね。サイエンスがあることによる好奇心とか夢とか人間の能力の可能性みたいなものが伝わるといいなと思います。

 

最大の衛星ガニメデと一緒に写っている木星 GettyImages
1000万kmの距離から木星を撮影するカッシーニ。手前は衛星イオ GettyImages

 

カッシーニのイメージ Gettyimages
土星から140万kmの距離で撮影した土星の環。左上には点として衛星プロメテウスが写っている GettyImages
土星の北極域の様子 GettyImages

 

自然な色の土星 GettyImages
 
 
Gettyimages
氷の粒でできた土星の環の厚さはわずか「家の高さ」ほど。環の下の点は衛星ミマス GettyImages
 
 
土星の環と衛星ディオーネ(左)とエピメテウス(右) GettyImages

 

 

土星衛星エンセラドス GettyImages
土星の環の隙間から見えた地球と月の姿 GettyImages