「皇国史観」復活が日本を害する
「人民網日本語版」2014年4月22日
- 日本国内の政治情勢が靖国神社参拝「合理化」の方向へと次第に発展すると同時に、冷静な声も上がっている。21日には日本の安倍晋三首相が靖国神社に供物「真榊」を奉納した。同日、東京の市民270人余りが安倍首相の靖国参拝を違憲と認めて差し止めるよう求め、東京地裁に提訴した。(文:呂耀東・中国社会科学院日本研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
日本では「皇国史観lが侵略の歴史を否認し、美化する思想的根源となっている。侵略の歴史の否認、首相や閣僚による靖国参拝といった日本で起きる一連の出来事は「皇国史観」台頭の具体的な現れと言える。第2次大戦時の「皇国史観」は日本の天皇、国土、民族、宗教を世界で最も優れていると言いなし、万世一系の天皇は「神」であり、日本は天皇を中心とする神の国であり、天皇の名の下で世界を統一すると考え、明治維新以降に日本の発動した対外侵略戦争を「自存自衛」と「アジア解放」の「正義の挙」、歴史の使命を達成するために行った聖戦と言いなし、侵略戦争に命をかけることを「天皇に忠誠を尽くし」「国のために命を捧げる」ことだと見なした。
当時、日本軍部は右翼勢力と結託し、盲目的な天皇崇拝を鼓吹し、周辺国への侵略戦争を「東亜復興」の「聖戦」と言いなした。日本政府はこの理屈を小中学校の教科書に盛り込み、軍国主義教育、ファシズム教育の方向を定め、対外侵略戦争発動の理論的根拠を築いた。
日本が第2次大戦に敗れると、天皇は「人間宣言」を行い、「現人神」としての位置づけを自ら否定した。これによって「皇国史観」は一旦衰退した。だが間もなく、右翼勢力が騒ぎ立てる中、元軍人、元外交官、さらには戦犯が歴史書、回想録、伝記、日記の発表などを通じて、日本軍国主義を美化し、侵略の歴史を否認した。彼らは、日本人から誇りと愛国心を奪ったとして、いわゆる「自虐」史観を公然と糾弾。これによって「皇国史観」が息を吹き返し始めた。
日本政府はかねてより教科書は民間の学者が編纂しているとの口実で、歴史歪曲の責任を民間に押しつけ、その内容について文部科学省の検定を通す必要があることを極力うやむやにし、日本右翼団体「新しい歴史教科書をつくる会」による歴史上の事実を歪曲する教科書を繰り返し合格させ、侵略の歴史を極力喧伝、美化し、日本の青少年に「皇国史観」を植え付けてきた。今年1月17日、文部省は近現代史に関する記述について政府の見解を尊重するよう教科書検定基準を改定した。新基準は2014年度中学教科書の検定から適用される。安倍氏の主導する日本政府が教科書検定の権力を利用して、「皇国史観」の復活を間接的に促しており、日本の若い世代の多くが日本がかつて他国に対して犯した軍国主義による侵略および植民地支配の罪を知らない、または認めようとしない事態を招こうとしていることが分かる。
「皇国史観」は日本における極端な民族主義的思想傾向の蔓延の温床となったと言える。従って「皇国史観」を根絶しなければ、日本の保守派政界要人が真に歴史を直視することはないし、時代の潮流に逆行し、白黒を逆さまにする誤った言動を止めることもない。(編集NA)
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