日本の大卒初任給が韓国やブラジル以下って本当なの?
2015年2月8日(日)8時0分配信
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日本の大卒初任給が韓国やブラジル以下になったという週刊誌の記事が話題です。本当に日本人の給料はそこまで安くなってしまったのでしょうか。
初任給の比較を行ったのは、雑誌AERAです。タクシーの初乗りやビール1杯の値段など、様々な物価を比較する記事の中で初任給も取り上げられています。初任給の評価方法は国によって様々という前置きがなされていますが、約20万円の日本に対して、米国やオーストラリアは40万円台と2倍以上の開きがありました。さらに驚かされるのが、韓国(30万円)やブラジル(22万円)など、新興国の方がすでに給料が高くなっているというデータです。新興国の人件費の高騰は著しいですから、そうかもしれないという印象がある反面、本当なのかという疑問も湧いてきます。
国によって雇用条件は様々ですから、そもそも終身雇用を前提とした特殊な日本の雇用環境における初任給と諸外国の1年目の給料を比較するのは難しいかもしれません。ただ、こうしたデータはある程度の参考になることは事実といってよいでしょう。
国民がどの程度の所得を得ているのかという点については、1人あたりGDPを見れば推測することが可能です。日本の1人あたりGDPは3万8000ドルなのですが、これに対して米国は5万5000ドル、オーストラリアは6万3000ドルとなっており、1.5倍から1.7倍の開きがあります。オーストラリアや米国は、年功序列の給与体系になっていないことが多いですから、大卒の初任給が日本の2倍となっているのはうなずける話です。
一方、韓国の1人あたりGDPは2万9000ドル、ブラジルは1万1000ドルとまだまだ低い水準です。OECDの調査によると、韓国の大学進学率は71%となっており、50%前後の日本と比べると圧倒的に高くなっています。しかし、大学のカリキュラムの内容が日本とは異なることや、大卒者を必要とする職場がそれほど多くないという現状があり、大学を出ても就職できない人が少なくありません。逆に厳しい競争を勝ち抜いて就職できた大卒者はかなりの好待遇といわれており、これが初任給の数字を大きく引き上げている可能性があります。一方ブラジルは大学進学率が10%台と低く、大卒は超エリートとなっています。このあたりも初任給が高いことと関係しているかもしれません。
ただ、日本の1人あたりGDPの順位はこのところ急落しており、相対的な豊かさが低下しているのは事実です。つい最近まで途上国だった国の人件費と日本の人件費は近づきつつあります。日本人の初任給が、国際的に見て下がってきていると考えてよいでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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