キム・ヨナ採点騒動と韓国「恨」の文化
Kim Yuna and the Korean Art of Suffering
「国民の妹」への納得のいかない評価に激しく反応する韓国人の特異な国民性はいかにして生まれたか
いじめ? ヨナ自身は「いい演技をしたことに満足している」とコメントしているが Issei Kato-Reuters
世界中がため息をついた。ソチ五輪の女子フィギュアスケートで、ロシアのアデリナ・ソトニコワが韓国のキム・ヨナを抑えて金メダルを獲得したことに、驚きと困惑が広がっている。その衝撃度がいかほどかは、試合を見た者なら分かるだろう。
ロシア人とジャッジ以外には、韓国の「国民の妹」が見せた完璧な演技は、1度だけ着氷の乱れがあったソトニコワを上回って見えたはずだ。IOC(国際オリンピック委員会)はすでに韓国から抗議の手紙を受け取っており、採点に異議を申し立てるオンライン上の署名活動に約200万人がサインしたことを認めた。
200万人の署名は、韓国人以外にも採点を疑問視している人が多くいることの表れだろう。しかし、韓国国民が抱いている感情はそんなものではない。
ヨナが流した涙を見た韓国人たちの胸には、この国の伝統的な思考様式「恨(ハン)」が渦巻いている。恨とは不公正な状況下でのやり場のない悲しみや苦悩、受容といった複雑な感情を指す言葉。特異な文化であり、外国人には非常に理解しづらいものだ。
韓国人のこの感情は非常に強力で、時には目まいや消化器系の不調という症状が現れることすらある。苦痛がもたらされる原因は、愛する者の死や悲惨な離婚などさまざまだ。
ヨナは「国民みんなにとっての娘のような存在だ」と、韓国に関する著書『韓国:不可能な国』があるダニエル・テューダーは言う。「彼女が不正やいじめをされたということは、国全体が不正やいじめをされたということだと、韓国人は考える」
たしかに韓国は経済成長とともに変わりつつあるが、いまだにこういう考え方をする人はいると彼は言う。「彼らにとって、今回の出来事は『大国にいじめられる韓国』という構図を思い起こさせる。だからこそ恨が呼び覚まされるのだろう」。テューダーによれば、恨を引き起こす大きな要因の1つは、大国から不当な扱いを受けた歴史にある。韓国人が厳しい歴史を経験するなかで育まれてきた悲しみの感情だ。
20世紀初頭、朝鮮半島は貧しく荒廃した地域だった。日本の植民地支配を受け、戦争が終わって1940年代の冷戦期に入ると共産主義の北朝鮮と独裁国家の韓国に分裂。50年には朝鮮戦争が始まり、国土はさらに荒廃した。60〜70年代になると韓国は急激な発展を遂げるが、それによって公害や環境破壊など新たな問題も生まれ、社会には無力感も漂った。
こうして生まれた恨の影響は、嘆きと悲しみを歌う韓国の伝統音楽や、現在も行われている土着のシャーマニズム的な儀式などにも表れている。もっとも、恨が韓国の民族性として認識されるようになったのは1970年代に入ってからだ。
今回のヨナの件を含め、恨の恨みは復讐によっては晴らせない。悲しみの中で何とか事実を受け入れて克服するものだ。
ある韓国人記者はニュースサイトに「ヨナの恨を解消する方法」という記事で、次のように書いた。ヨナの敗北にまつわる複雑な感情を癒すには、悲しみを受け入れる必要がある。その先に満足感が得られるだろう、と。
From GlobalPost.com特約
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