日本, 韓.日 關係

袋小路」に入った日本の対北朝鮮外交

이강기 2019. 10. 20. 21:51

地球コラム

袋小路」に入った日本の対北朝鮮外交


時事ドットコムニュース                    

10月20日(日)2019


対米配慮と国内批判の板挟み



 日本の北朝鮮外交が行き詰まっている。日本政府は、米朝交渉により非核化の進展を後押ししつつ、機会を捉えて拉致問題をはじめとする日朝間の懸案を解決することを目指している。しかし、北朝鮮では潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射(10月2日)にみられるように日本の安全保障に関わる軍事技術開発が進んでいるのに加えて、10月5日の米朝実務協議が物別れに終わるなど、事態を転換させる展望を欠いている。(時事通信社解説委員 市川文隆)

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 大統領選が1年後に迫り、再選戦略に対北朝鮮交渉の前進をアピールしたいトランプ大統領が、日本の安全保障上問題となる北朝鮮との安易な合意に走るのではとの懸念が強まる。一方、北朝鮮のミサイルによる挑発への政府の対応に自民党内ではいらだちが高じている。日本政府は北朝鮮に厳しい態度を取れば米朝協議の進展に影響を与えると懸念する一方、国内からは北朝鮮に弱腰過ぎるとの批判がつのる構図となり板挟みの状態だ。

 自民党総裁任期が2年を切った安倍晋三首相の言動からは、袋小路に入ったように見える対北朝鮮戦略の打開策は見えてこない。


日本の迎撃態勢では対処困難な新型ミサイル



 北朝鮮は10月2日、SLBM(北極星3)を東海岸の元山付近から発射した。実際は潜水艦からではなく水中に沈めた発射装置が使用されたとの見方が大勢だが、同国のミサイル技術の進歩には驚くべきものがある。この北極星3は打ち上げ角度を高めて発射する「ロフテッド軌道」のため、今回の飛距離は約450キロだったが、通常の発射角度であれば約2000キロに達し日本の本土が射程に入るという。


 今回のミサイルは準中距離ミサイルとされ日本の排他的経済水域(EEZ)内に着水した。近い将来、潜水艦に実装されると地上からの発射に比べて早期警戒衛星などによる事前探知がはるかに困難になる。日本の対潜哨戒能力は優れているとされ北朝鮮の潜水艦の位置の探知は可能と思われるが、その潜水艦のミサイル発射の兆候を探知できるか未知数だ。


 北朝鮮は今年に入って何種類ものミサイルを発射しているが、注目されるのはロシア製のイスカンデルと呼ばれる短距離ミサイルを複数回発射したことだ。このミサイルは、いったん上昇したあと下降、その後低高度で不規則な動きを繰り返すことで、現在のミサイル防衛システムでは迎撃が困難だとされる。


 日本の弾道ミサイル防衛は、高高度でとらえるイージス艦搭載ミサイル「SM3」と低高度で狙う地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)の2本立て。これに加え、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を計画している。しかし、イスカンデルのような不規則な動きをするミサイルに、専門家は「対応は難しい」と見る。


頭もたげる安易な妥協への懸念

 米国と北朝鮮は、10月5日ストックホルムで実務協議を行ったが物別れに終わり、次回の首脳会談開催への展望は示されていない。今回の協議について専門家からは、「北朝鮮はもともと進展させる考えがなかったのではないか」との見方が出されている。金正恩委員長は、「年内」と期限を切って米側から一層の譲歩を得ることを狙っており、今後もトランプ大統領の逆鱗(げきりん)に触れない範囲で短距離、中距離のミサイルの発射を続けるとの見方が強い。


 大統領選挙を1年後に控えた米国は、トランプ政権の「ウクライナ疑惑」と、民主党による大統領への弾劾調査で政治の季節を迎えている。また、ここにきてトランプ大統領がシリアから米軍を撤退させたことがトルコのシリア北部侵攻を招くなど、大統領の決定に国際社会だけでなく米国の保守派からも批判が噴出している。


 こうした中で、大統領再選を最重要課題とするトランプ大統領が、北朝鮮の求める制裁解除や「体制の保証」について安易な妥協を行うのではないかとの懸念が日本政府内にも強まっている。



「悪魔」退場に失望する日本

 そうした見方の背景には、米国の安全保障政策の司令塔、ボルトン大統領補佐官が政権を去ったことがある。マティス前国防長官から「悪魔の化身」と皮肉られ、政策遂行のためには戦争も辞さない姿勢で知られたボルトン氏。一方、日本にとっては、北朝鮮に対するトランプ大統領の軟化姿勢の歯止め役が失われたことで、失望を隠せない状態だ。


 実際、今年2月にハノイで行われた米朝首脳会談では、北朝鮮の非核化をめぐり合意に至る直前にボルトン補佐官が「待った」をかけ、それが会談の決裂につながったという。一方、6月に板門店でトランプ、金両首脳が会った際に、米国の随員の中にボルトン氏の姿はなかった。


 トランプ大統領は9月にボルトン補佐官を解任した際、「(ボルトン氏が、北朝鮮の非核化で)リビア・モデルを提案したのは大失敗だった」と明らかにしており、強硬論を唱えたことがきっかけで補佐官職を解いたと語っている。後任の補佐官のオブライエン氏やマティス長官の後釜のエスパー氏、ポンペオ国務長官含め米の安全保障チームは「トランプ氏に耳障りの悪いことは言わないだろう」との指摘もある。「歯止め」を失ったトランプ政権が、大統領の意のままに大胆な妥協も辞さないのでは、との懸念が日本の政策担当者の間で強まっている。


電話会談が行われない不思議

 日米間では、今回の北朝鮮によるSLBM発射をめぐっても首脳間の意見交換は見られなかった。河野太郎防衛相が「わが国の安全保障に対する深刻な脅威」「航空機・船舶の安全保障の観点から、極めて問題のある危険な行為だ」と指摘し、日米間では防衛担当閣僚同士の電話会談は行われた。ただ、重要な案件が起きた際機敏に行ってきた安倍・トランプ両首脳の電話会談は6月19日以来行われていない。


 北朝鮮が発射するミサイルの脅威認識について日米間の意見の相違が強調されることへの懸念が首脳間の電話接触を控えさせているとみられる。事実トランプ大統領は、北朝鮮が行ってきた短距離弾道ミサイルの発射を「どこの国もやっている」などとして問題視せず、準中距離ミサイルとされる今回のSLBMの発射を受けても直後の米朝間実務協議を中止しなかった。トランプ大統領は米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核実験に北朝鮮が踏み切らない限り、米朝協議を続け、その成果を大統領再選のための材料にしたい意向だ。


 一方、安倍首相は、日本への脅威となる短距離や中距離のミサイルは「安保理決議違反」と批判している。ただ、国会で日本の対応を尋ねられると、「9月の国連における首脳会談でトランプ大統領と一致している」などと答えるにとどまっている。だが、かねてから指摘されているようにミサイルの飛距離の問題は、日米の国益の差ともいえ、ここで意見が一致しなければ北朝鮮がなお溝により深いくさびを打ち込もうとするのは目に見えている。


 日朝の直接対話についても、安倍首相が「金委員長と向き合う」と繰り返している割には、日本の外交アセットを駆使して、日朝協議を目指しているとは思えない。


「トランプに気を使い過ぎ」批判も


 北朝鮮についての政府の対応には、自民党から不満が出されている。二階俊博幹事長が早い段階から「政府は安全保障会議を開いていない」などと批判。これを受けて政府は慌てて安保会議を招集した。SLBMの発射でも自民党内から、日本が弾道ミサイル迎撃の態勢を整えているのかなどと批判され、防衛省は市ケ谷の敷地内にPAC3を再配備した。


 政府の北朝鮮対応については、10月7日の日本海での北朝鮮漁船と水産庁の漁業取締船との衝突事件でも批判が出ている。自民党からは、「衝突してきた漁船の乗組員を取り調べもせずに帰国させた」との理由で、日本政府は弱腰だとの指摘が出た。10月15日の段階で政府による衝突時の映像が公開されていないため詳細は不明だが、北朝鮮が日本に賠償を求めてきたことも党内の政府批判の火に油を注ぐことは確実だ。


 政府の対応について、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「これまでのように『条件なしで日朝首脳会談を行う』と言い続けていいのか。変えるべきではないのか」「トランプ大統領に気を使い過ぎて、安倍首相の言い方が弱すぎる。大統領に『そこは違う』と問題提起すべきだ」と疑問を呈している。


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