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アカデミー賞 心蝕む格差と向き合う - 東京新聞 社說

이강기 2020. 2. 11. 16:49

アカデミー賞 心蝕む格差と向き合う

 韓国映画「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞で四冠に輝いた。しかも英語以外では初の作品賞受賞という快挙。世界を蝕(むしば)む格差社会の醜さと残酷性を容赦なく映像化した記念碑的作品だ。

 「パラサイト」は昨年、カンヌ国際映画祭の大賞にあたるパルムドールを受賞するなどすでに国際的な評価を得ていた。ただ今回はせりふが英語ではなく韓国語なのでアカデミー賞では不利との見方もあったが見事に覆した。

 世界を覆う格差へのアプローチがアカデミー会員の心を鋭くえぐったと解釈してもいいだろう。同時に韓国の名優であり主演だったソン・ガンホ氏ら、俳優陣の演技も高い評価を得たことは間違いない。

 作品は、貧しい一家が大金持ちのIT企業の家庭にあたかも寄生虫のように入り込んでいく物語だ。金持ちが居住する豪邸とその地下室を巧みに使うなど、映像の随所に格差という主題が練り込まれている。

 臭いを用いた描写も鮮烈だ。金持ちは貧しい人々の人生など歯牙にもかけず、限度を超えて傷つけていく。こうした格差の描き方は見る者に忘れ難い衝撃を次々と与える。


 ポン・ジュノ監督が紡ぎ出した底知れぬ奥行きは、財閥による富の寡占など韓国特有の問題だけでなく、世界が抱える格差が放つ「腐臭」を残酷なまでに抽出している。その意味でポン監督は、映画の持つ力強い社会性を改めて認識させたのではないか。


 金持ちと貧しい人々。この対比を織り込んだ映画は珍しくない。米映画「陽のあたる場所」(一九五一年公開、ジョージ・スティーブンス監督)や仏伊合作映画「太陽がいっぱい」(六〇年公開、ルネ・クレマン監督)はいずれも貧しい青年と犯罪がテーマだ。一昨年のパルムドールを受賞した「万引き家族」(二〇一八年公開、是枝裕和監督)も日本の貧しい偽家族の生活を描いた。