北韓, 南北關係

爆破クイーン、金与正は「見世物の達人」か

이강기 2020. 6. 21. 00:26

爆破クイーン、金与正は「見世物の達人」か

 

南北共同連絡事務所の破壊は予行演習にすぎない

 

2020.6.20(土) 平井 敏晴

JB Press

ソウルの地下鉄駅で、南北共同連絡事務所が爆破された場面をテレビで見る人(2020年6月17日撮影、写真:AP/アフロ)

 

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 

 

 南北平和の象徴が、一瞬にして瓦礫の山と化した。

 

 6月16日当日、韓国メディアが公開した北朝鮮による南北共同連絡事務所爆破の映像は、まるでショーでも見ているかのようであった。文在寅政権が重視してきた南北関係がご破算になったことを国際社会にアピールするには、十分すぎるインパクトをもつ。

 

 それにしても、実に効率的なやり方ではないだろうか。この爆破での死者は、恐らく一人もいない。ということは、決行した北朝鮮にその火の粉が大量に降りかかってくることはない。その反面、韓国政府も今回ばかりは慌てている。それは無理もない。これまで韓国政府が注ぎ込んできた170億ウォン(約16億円)の税金が吹っ飛んだのだ。そのなかには、当然、私自身が絞り出してきた税金も含まれている。納税者として、決していい気分であるはずがない。

 

 

「見せる」方法がグレードアップ

 

 こうした事態を、韓国政府がまったく予想していなかったということは、まさかあるまい。少なからぬリスクのある北との融和を政策の一丁目一番地に掲げてきたのだから、当然ながら、頭の片隅には最悪のシナリオも想定してきたはずだ。

 

 とはいえ、爆破の翌日になっても、文在寅大統領は自らの言葉で一言も国民にコメントできず、金錬鉄(キムヨンチョル)統一部長官が引責で辞意を表明する事態に陥った。青瓦台も緊急国家安全保障会議を開いて、「厳重に警告する」と今までよりも語気の強めな発表にとどまっている。そんななか、韓国メディアはアメリカのトランプ大統領が何もコメントをしないと盛んに報じていた。

 

 こうした韓国社会の焦りは、事件そのものというよりも、金正恩の妹である朝鮮労働党中央委員会・第一副部長、金与正の豹変ぶりにある。

 

 2018年2月の訪韓で、それまでヴェールに隠されていた彼女は頻繁に笑みを浮かべたが、これを韓国メディアはこぞって報じ、韓国国内に好印象が根付いた。ところが今月になって、その表情が一変する。6月8日には「対南事業を徹底的に対敵事業に転換すべきであるという点を強調し、裏切り者とゴミどもがしでかした罪の重さを弾き出す」と啖呵を切ったのだ。そして爆破3日前の6月13日には、韓国の脱北者団体による北朝鮮へのビラ散布に対する武力行使を示唆しつつ、「南朝鮮の連中と決別する時が来た」と宣言した。わずか1週間そこそこのあいだの急転直下である。

 

 

今回の爆破では、北朝鮮の十八番の技が生かされたのが印象的だ。国の偉大さと威厳の誇示は、社会主義体制の国家が得意とする。北朝鮮もその例外ではなく、しかも、金正恩体制になってから、その手法は刷新されている。以前の記事(「彼らは無事か?北朝鮮の貿易商と美女の不思議な記憶」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60583)でも書いたように、イメージ向上のためにニューミュージックが積極的に取り入れられたほか、つい2カ月ほど前に話題になった北朝鮮の東南部の元山(ウォンサン)も、経済制裁の影響を受けながらも開発が着々と進められ、壮観なリゾート地へと変貌を遂げつつあるという。

 

 つまり、現政権下では、見せる方法がグレードアップしている。北朝鮮の見世物は、諸外国に広まった現代的要素を取り入れながら、直感的に人々に訴えかけるようになっている。その対象は人民に限られず、国際社会を念頭に置いていると考えるべきだ。北朝鮮は、文化的に国際化を演出しようとしてきたのである。

 

 南北連絡事務所の爆破は、その文脈のなかにある。衝撃的に世界へアピールする狙いがあるのだ。

 

 アピールの目的は、一言では語れまい。経済制裁下にある北朝鮮の国内事情があり、その上で、大統領選挙を控えたアメリカへの揺さぶりも当然ある。

 

 

今度はどんな挑発をしてくるのか

 

 不気味なのは、最近雲隠れしている金正恩・国務委員会委員長を影として、今なおナンバーツーの金与正が表舞台に立っていることだ。まるで見えない巨大なパワーが憑依したかのようで、それは国内向けの引き締めと権威付けであろう。

 

 とはいえ、目下のところはそれで片づけられる問題ではなく、今回の爆破に至るまでの神懸かり的な行動の速さからして、南北共同連絡事務所の破壊は、ほんの予行演習にすぎないと考える方がよい。

 

 はたして、今度はどんな挑発をしてくるのだろうか。韓国メディアも警戒心を強めている。文大統領が口をつぐんでいるあいだに、朝鮮中央通信は、さらに金与正の声と思しきものを報じていた。これまで平穏だった非武装中立地帯に、ふたたび軍隊を投入するという。