香港の民主派活動家、海外に脱出 国安法は「流血の文化革命」の始まりと
2020年07月03日 11:25
香港で最も著名な若手民主化活動家の1人が、中国による「香港国家安全維持法」(国安法)の導入後に香港を脱出していたことが明らかになった。新法をめぐっては、香港の自由を損なうとの批判が上がっているが、中国側はこうした主張を一蹴している。
かつての学生活動家リーダーで、民主化を求める政党・香港衆志(デモシスト)党首だった羅冠聰(ネイサン・ロー)氏は2日、中国が「香港国家安全維持法」を導入した2日後に香港を離れたと発表した。今後も海外から擁護活動を継続するつもりだという。
羅氏は2014年の民主化デモ「雨傘運動」を主導し、収監された経験を持つ。
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「香港国家安全維持法」では、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される。
「流血の文化革命」の始まり
羅氏は6月30日に国安法が成立した直後、ほかの著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏と共に香港衆志から離脱した。この時、羅氏は国安法は「流血の文化革命」の始まりを示すものだと述べた。
香港衆志は羅氏と黄氏が2016年に設立した、民主自決の実現などを掲げる政治政党だが、同日に解散が発表された。
羅氏は1日、ビデオリンクを通じて米下院外交委公聴会で証言。中国政府に収監されるのを恐れており、香港に戻るのが心配だと述べた。
そして翌2日には、すでに香港を離れたが「国際レベルでの擁護活動を継続していく」との声明をメディアに公開した。
「リスクを鑑みて、今は私の個人的な居場所や状況についてはあまり明かさないことにする」と述べ、行き先には言及しなかった。
羅氏は2016年の立法会選挙で史上最年少での当選を果たした。当時、香港の未来のために国民投票を認めるべきだと主張していた。同氏は香港が「単なる中国の都市」になることは望んでいないとしてきた。
羅氏はその後、議員宣誓を不適切なかたちで行ったとして議員資格を取り消された。
香港国家安全維持法とは
昨年6月から香港で連日続いた反政府デモのような活動を止めるため、中国政府は国安法の必要性を主張している。同法が定める違法行為は多岐にわたり、中国中央政府と香港の地方政府への憎悪を扇動する行為は犯罪だとしている。
また、非公開裁判の実施や容疑者に対する盗聴、容疑者が中国大陸で裁判にかけられる可能性もある。
昨年のデモでは、抗議者たちは市内のインフラを標的にすることが多かったが、公共交通機関の施設を損傷する行為はテロリズムとみなされる可能性があるという。
6月30日の国安法施行以降、香港政府は「香港を解放せよ、我々の時代の革命だ」といったスローガンは違法だと発表している。羅氏は1日の米下院公聴会でこのスローガンを使用した。
香港返還から23年となった1日に行われた民主化を求めるデモでは、国安法違反で男女10人が逮捕された。
香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。
返還から50年は、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護されるというものだ。
こうした香港の自由が、香港国家安全維持法によって失われてしまうとの批判の声が上がっている。
各国の反応は
多くの国が、国安法を批判している。
米下院は1日、香港の自治侵害に関して制裁を科す「香港自治法案」を全会一致で可決した。野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、「国家安全維持法は香港の人々に対する残忍で徹底的な弾圧だ。約束されたていた自由の破壊が目的だ」と述べた。
下院法案は、香港の民主化デモの取り締まりに当たる中国当局者と取り引きする銀行に罰則を与えるというもの。上院でも可決されており、ドナルド・トランプ米大統領が署名すれば成立する。
こうした中、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、国安法の可決は、1985年の英中共同声明の「明らかな、重大な違反」だと述べた。
イギリスは最大300万人の香港市民に、イギリスでの定住と、最終的に英市民権を申請する機会を与える可能性を示している。
オーストラリアもまた、香港居住者に安全な避難先を提供することを「積極的に検討」している。スコット・モリソン首相は、「間もなく内閣で検討される」案が複数あるとしている。
こうした各国の動きに対し、中国高官は1日、香港での問題は「他国には関係ない」と述べた。
全ての国が批判しているのか
世界中の全ての国が中国を批判しているわけではない。
スイス・ジュネーヴで6月30日に開催された第44回国連人権理事会では、53カ国を代表してキューバが国安法を歓迎した。
「主権国家の内政への不干渉は、国連憲章でうたわれている重要な原則だ」
「我々はすべての国に、立法を通じて自国の安全保障を守る権利があると信じており、その目的のために取られた必要な措置を称賛する」と、キューバ代表は述べた。
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