日本, 韓.日 關係

突然の辞任、蘇る13年前の記憶と安倍政権の評価

이강기 2020. 8. 29. 22:59

突然の辞任、蘇る13年前の記憶と安倍政権の評価

 

前回、厚労相として「安倍辞任」に接した舛添氏は会見をこう見た

 

 

2020.8.28(金) 舛添 要一

JB Press

8月28日、官邸で辞任表明会見に臨む安倍晋三首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

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(舛添 要一:国際政治学者)

 

 

8月28日、安倍首相は、17時から記者会見し、持病の悪化を理由に辞任を表明した。

 

 13年前の同じようなシーンを思い出す。2007年9月12日、第一次安倍改造内閣で厚労大臣に任命されたばかりだった私は、首相官邸で与謝野馨官房長官と二人で昼食をとりながら、国会対応など、政策の打ち合わせをしていた。昼食後、われわれは衆院へ移動し、閣僚待機室で1時から始まる本会議の準備をしていた。

 

 しかし、10分前になっても予鈴も鳴らないし、本会議も開かれない。「おそらく議会運営委員会で与野党が対立して、開会が遅れているのだろう」と思っていた。そこに突然「安倍首相辞任」の報が入ってきたのである。

 

 官房長官の与謝野さんすら知らなかったことで、全閣僚が驚愕した。安倍首相の病状、そして辞任について事前に知っていたのは、麻生幹事長のみであった。潰瘍性大腸炎の悪化が原因であった。

 

顔つきから消えた覇気

 

 潰瘍性大腸炎については、その後、アスナールという特効薬が開発された。これによって辞任後の安倍さんの体調も好転して、2012年12月には民主党から政権を奪還。自らの政権を長期化させることに成功したのである。

 

 しかし、この7月頃からの安倍首相の顔つきや歩き方を見ていると、13年前のことを思い出さざるをえなかった。何よりも覇気が感じられないことが気にかかっていた。やはり持病が悪化していたのであろう。

 

安倍政権は、「憲政史上最長」の政権となったのみならず、佐藤栄作元首相を抜いて、首相として「連続在任期間最長」の記録も打ち立ててばかりであった。一方で、新型コロナウイルスへの対応やその他の激務で、安倍首相には相当なストレスがかかっていたと思われ、それが体調不良の引き金となったのだろう。

 

持病は7月中旬から悪化

 

 記者会見でまず表明したのは、新型コロナウイルスに対するこれまでの「2類感染症以上」の扱いを見直すことや医療機関経営への支援を行うことだった。また、秋以降のインフルエンザの流行時にも、コロナにきちんと対応することを説明した。また、外交についても、北朝鮮情勢など日本をめぐる厳しい国際環境にも言及した。

 

 自分の健康状態については、7月中旬から持病の潰瘍性大腸炎が悪化、新薬投与を開始したが、予断を許さない状況であると説明し、政治判断を誤ったり、結果が出せなかったりするような状況が生まれることは避けたいと思い、そこで首相辞任を決意した、と述べたのである。

 

 コロナ対策に障害を生じさせるわけにはいかないので、感染が減少傾向の今の時期に辞任を決断したという。在任期間中に、東北の復興、経済好転、集団的安全保障法、TPPなどの対外貿易に成果を上げたが、拉致問題、北方領土、憲法改正などを解決できず残念だとも述べた。

 

安倍長期政権の功と罪

 

 安倍長期政権を振り返り、その功罪について検討してみたい。

 

 経済については、金融緩和を中心とするアベノミクスが成功したことは間違いない。株価も上がり、失業率は下がり、有効求人倍率も上がっていった。しかし、デフレ基調は続き、賃金も期待した以上には上昇しなかった。

 問題は格差が拡大していったことである。富者と貧者、中央と地方の差が広がったが、それに対して真剣に対応することはなかった。

 

 外交については、とくにトランプ大統領との信頼関係を武器に日米関係を盤石のものとすることに成功した。安全保障の分野では、日米の一体化を進め、憲法の枠内に止まらないほど自衛隊の役割を拡大させた。

 

 2015年9月には安全保障関連法案が成立し、集団的自衛権の行使が可能になった。従来は集団的自衛権の行使は憲法上禁じられているという解釈であったが、これを大きく変えたのである。

 

 ある意味では、憲法9条を改正する必要がなくなったような政策変更であり、そのせいか、皮肉なことに憲法改正の動きは前に進んでいない。

 

目に見える進展なかった北方領土、拉致問題

 

 北方領土問題も拉致問題も、安倍首相の在任中には解決しなかった。プーチン大統領とは何度も首脳会談を開き、信頼関係も築いたが、悲願の北方領土返還交渉は進まず、逆に、ロシアは憲法を改正して領土割譲禁止条項を付加するような状況に後退してしまった。

 

 北朝鮮については、トランプ・金正恩の首脳会談が3度も開かれながら、非核化など具体的な成果を上げることができなかった。首脳会談でトランプ大統領が拉致問題について言及したそうだが、何の効果もなかったようである。北朝鮮は日本の安全保障上の脅威であり続けており、拉致問題と並んでその点でも改善は見られなかった。

 

 韓国との関係は最悪である。それは、文在寅政権の対日強硬姿勢が招いた問題であるが、そのような中でも関係を打開する何らかの努力が展開できなかったのか。日韓関係が緊張したままでは、北朝鮮や中国の脅威に対しても十分な対応ができなくなる。

 

 中国との関係については、最初は険悪であったが、関係改善に成功し、薄日が差すような状態にまで進めることができた。米中関係が悪化する中で、安倍首相には、アメリカと中国との橋渡しをするという重要な外交的役割を果たすことが期待されたが、その役割は果たせないまま、退陣する羽目になってしまった。

 

今年は、新型コロナウイルスへの対応が政治の最大の課題となった。「アベノマスク」や「アベノコラボ」などが揶揄され、10万円の現金給付、PCR検査、Go To Travelキャンペーンなど、様々な問題が出てきて、安倍内閣支持率は下がり、安倍政権のコロナ対応には批判が集まった。

 

 8月22日、23日に行われた共同通信社の世論調査によると、内閣支持率は36.0(−2.8)%で、第二次安倍内閣発足後2番目の低さであった。不支持率は49.1(+0.6)%で、政府のコロナ対策については、「評価する」が34.0%、「評価しない」が58.4%と厳しい判断が下された。

 

 日本はコロナの第二波に襲われているが、ピークアウトしたかどうかはまだ不明である。さらに、これから秋以降に第三波、第四波が到来する可能性は十分にある。やはり、このタイミングで退陣するのが適切であったと思う。

 

 安倍政権は、経済、日米関係など様々な分野で多くの成果を上げており、それは率直に評価して良い。しかし、光とともに影もあることも指摘しておかなければならない。たとえば、前述した、好景気の裏の格差拡大である。

 

 さらには、長期政権は、森友・加計問題や「桜を見る会」問題に見るように、官僚に忖度させる風土をもたらした。それは、日本の官僚制度を大きく歪めてしまった。官邸に権力が集中することによって、人事と資金の配分も恣意的になり、河井克行夫妻の選挙違反容疑のような事例まで生じている。そいて、選挙の洗礼を受けていない首相秘書官などが異常に巨大な権力を握ることになったことは民主主義にもとるものであるが、それがアベノマスクのような失敗を生んだことは皮肉である。

 

後継争いにかつてのような活力は見られず

 

 長期政権がもたらしたマイナスとして、「安倍一強」と言われる状況が自民党内の活力を奪ったことも指摘しておかなければならないであろう。安倍後継として、石破茂、岸田文雄、菅義偉などの名前が挙がっているが、かつて中選挙区制の下で三角大福中の五大派閥が総裁候補を出して切磋琢磨したような活力は感じられない

 去って行く安倍首相が残した負の遺産を解消することもまた、次期総理総裁の重要な課題である。

 

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