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中国とロシアが思い描く新たな世界秩序

이강기 2022. 3. 22. 13:16

 

中国とロシアが思い描く新たな世界秩序

 

ウクライナの戦争によって中国の世界観が決まる

 
 
JB Press, 2022.3.22(火) The Economist

 

3月18日、米中のビデオ会議による首脳会談が行われた(提供:The White House/AP/アフロ

 

                                                                                  (英エコノミスト誌 2022年3月19日号)

 

 

 

それと同時に、中国が今後どれほどの脅威になるかが決まる。

 

 全国各地の都市や町にロシアの砲撃が雷鳴のごとくとどろくウクライナは、来る日も来る日も新たな惨事に見舞われている。

 

 大都市ハリコフは2週間にわたる砲撃によって瓦礫の山と化し、海に面したマリウポリは破壊された。

 

 この戦いから果たして勝者が現れるのか、現時点では分からない。だが、地球の裏側では、新興の超大国が選択肢を吟味している。

 

 一方には、中国は戦前に明言していたロシアとの「限界のない」友情を土台にして専制国家の枢軸を形成するとの見方がある。

 他方には、米国は中国を恥じ入らせ、ロシアと袂を分かち、ウラジーミル・プーチン大統領を孤立させるよう仕向けられると反論する向きがいる。

 

 本誌エコノミストの報道を見る限り、どちらのシナリオも実現しそうにない。

 

 中国がロシアとの絆を深めるとしたら、それは慎重な利己主義に沿って行われ、米国の必然的な衰退と見なすものを促進するためにウクライナでの戦争を利用する。

 

 中国の焦点は常に、西側の自由主義的な世界秩序に代わる秩序を打ち立てる夢に置かれる。

 

 

リベラルな世界秩序を崩す共通の夢

 中国の習近平国家主席とプーチン氏はともに、世界をいくつかの勢力圏に切り分け、少数の大国が牛耳るようにしたいと考えている。

 

 中国は東アジアを支配し、ロシアは欧州の安全保障に対する拒否権を持ち、米国は外国から撤退することを余儀なくされる。

 

 この代替的な秩序では、普遍的な価値観や人権は重視されない。習氏とプーチン氏はこれらを、自分たちの政権の転覆を正当化するための西側の策略だと見ている。

 

 どうやら両氏は、こうした概念は近く人種差別的で不安定な自由主義のシステムの遺物となり、それに代わって世界全体の勢力バランス内で各国が自分の居場所をわきまえる階層構造が誕生すると考えているようだ。

 

 従って習氏は、ロシアのウクライナ侵攻によって西側の無力さが浮き彫りになることを望んでいる。

 

ロシアの金融システムやハイテク産業への制裁が失敗に終われば、中国はそうした兵器を以前ほど怖がらなくて済むようになる。

 

 逆にプーチン氏がウクライナでの誤算によって失脚すれば、中国はショックを受けるかもしれない。

 そのプーチン氏と組んだことでやはり計算を誤ったと見なされる習氏は、間違いなく恥をかく。近年の慣例を破って3期目の中国共産党トップの座を目指している時に、ダメージとなる。

 

中ロの友情には限界

 

 だがそれでも、中国の支援には限界がある。

 ロシアの市場は小さい。中国の銀行や企業としては、制裁を無視することによってロシアよりもはるかに価値のある他国のビジネスを失うリスクを負うのは避けたいところだ。

 

 また、中国にとって弱いロシアは好都合だ。中国の言いなりになる以外に選択肢がほぼなくなるからだ。

 

 そうなれば、プーチン氏がロシア北部の港へのアクセスを習氏に与えたり、例えば中央アジアにおける中国の権益拡大を容認したり、安価な石油・ガス、国家機密に関わる軍事技術などを提供する可能性が高まる。

 

 ひょっとしたら、先進的な核兵器の設計図も提供するかもしれない。

 

 もっと言えば、習氏はプーチン氏が圧倒的な勝利を収めなくても中国は一歩抜け出すことができると考えているようだ。プーチン氏は生き残ってくれれば十分、というわけだ。

 

 中国の政府高官は外国の外交官たちに、戦争が長引き、西側有権者のコスト負担が増えるにつれ、ロシア問題に対する西側の結束がほころびると自信たっぷりに話している。

 

 中国はすでに、米国が高いエネルギー価格、軍備拡大、そして300万人を超えるウクライナ難民の受け入れの負担のコストを欧州諸国に負わせながら、自国の影響力を強化していると主張し、欧州と米国の間に楔(くさび)を打とうとしている。

 

 

中国の想定は米中競争

 ロシア・ウクライナ戦争に対する中国のアプローチは、21世紀の大競争は中国と米国の間で行われるという習氏の信念から生まれた。

 

 中国が必ず勝利すると好んで示唆する争いだ。

 

 中国にとって、砲撃を受けているウクライナの都市で起きていることは、この大競争における小競り合いだ。

 

 だとすると当然、西側陣営がここでプーチン氏への対応に成功することは中国の世界観を決める一因になり、後々の西側による習氏への対応の仕方に大きく影響することになるだろう。

 では、どうすればいいのか。

 

 まず、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は結束を維持し、中国の予想を裏切らなければならない。戦いが数週間から数カ月へと長期化するにつれて、それは難しくなるかもしれない。

 

 ウクライナでの戦闘が市街戦の残酷なパターンにはまり込み、どちらが勝っているのかはっきりしない状況を想像してみるといい。和平交渉で停戦が決まっても、結局破られることになる。

 

 さらに、冬が近づいてきて、エネルギー価格がまだ高止まりしていると想定してみよう。戦争当初のウクライナの例は欧州全土で支持を集め、各国政府の気概を強めた。

 

 今度は、政治のリーダーが自ら決意を固めなければならない時が来るかもしれない。

 

西側がすべきこと

 意志の力は改革につなげることができる。民主主義を守ったら、西側諸国はその民主主義の補強に取り組まねばならない。

 

 ドイツは、ロシアと交易するのではなく対峙することによって対応することを決意した。欧州連合(EU)はイタリアやハンガリーなど、親ロシアの国々を囲い込む必要がある。

 

 欧州北部10カ国が参加して英国が主導する合同遠征軍は、ロシアの攻撃に真っ先に対処する部隊に進化しつつある。

 

 アジアでは、防衛力を改善し、多くの場合中国が絡む不測の事態に対応する計画を立てるために米国が同盟国と協力することができる。

 

 

 西側諸国の結束した行動はロシアに衝撃を与えたが、もし中国が台湾に侵攻した場合には、中国にとって意外なことではないはずだ。

 

 さらに、西側は中国とロシアの大きな違いを利用する必要がある。

 

 30年前には、両国の経済規模は同じだった。今では中国がロシアより10倍も大きくなっている。

 

 習氏がどれだけいら立っているにせよ、中国は今の秩序のもとで繁栄しており、ロシアはその秩序を傷つけているだけだ。

 言うまでもなく、習氏はこの世界のルールをもっと自分に有利な方向に変えたいと思っているが、妨害の脅迫や武力でしかロシアの影響力を行使できないプーチン氏とは異なる。

 

 プーチン政権下のロシアは世界ののけ者だ。米国や欧州と経済的なつながりがあることから、中国は世界の安定に利害がある。

 

ドニエプル川に臨む上海

 米国とその同盟国は、中国も一緒に「国家の集まりから追い出し、そこで空想に耽り、憎悪を募らせ、隣国を脅かす」に任せるのではなく――リチャード・ニクソンは50年前の電撃訪中より何年も前にそう書いていた――、新興の超大国はロシアと違うと考えていることを示すべきだ。

 

 その狙いは、西側と中国は可能なところでは同意し、そうでないところでは違いを認めることによって共に繁栄できるということを習氏に納得させることであるべきだ。

 

 そのためには、関与が安全保障に役立つところと逆に脅かすところを峻別しなければならない。

 

 中国がウクライナでの戦争を素早く終結させる手助けをすることによって、そうした方向に向かい始める可能性はあるだろうか。

 

 残念ながら、ロシアが化学兵器や核兵器を使わない限り、その見込みは薄いだろう。なぜなら中国はロシアを、自由主義の世界秩序を破壊する仲間だと見ているからだ。

 

 中国の計算に影響を及ぼすにあたっては、外交的な要請よりも、プーチン氏に何としてでも犯罪の代償を払わせる西側の決意の方が効果的だ。