軍事力で圧倒しているロシアがウクライナに負ける
ウクライナの隣国ルーマニアに配備されている米陸軍のM2ブラッドレー戦闘車(2021年11月23日撮影、米陸軍のサイトより)
ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月以上が経つが、戦闘がすぐに収まる気配はない。
3月29日、ロシアとウクライナによる停戦交渉が行われたが、紛争の終結にはなおも時間がかかりそうだ。
むしろウクライナ国内では地域によって、戦闘が拡大している場所もある。それだけではない。
ロシアのウラジーミル・プーチン政権はウクライナに向けて精密誘導兵器や超音速ミサイルを使用していることが分かっている。
さらに、今後は生物・化学兵器や戦術核兵器の使用も懸念されている。
プーチン氏がさらなる窮地に追い込まれた時に、最終兵器とも言える戦術核を使用してくる可能性も捨て切れない。
この点では欧米の軍事専門家の間でも意見が分かれる。
というのも、ロシアの軍事作戦が計画通りに進んでいない兆候があるため、プーチン氏が今後、どういった行動をとるかが読めないからである。
ウクライナ侵攻前、プーチン氏はウクライナを制圧するのに1カ月以上を費やすとは考えていなかったはずだ。
軍事侵攻にあたって、ロシア側が採用した考え方は「垂直的エスカレーション」というものである。
これはシンクタンクや情報機関などで使われる表現で、紛争や戦争の強度が垂直的に上昇していくことを意味する。
端的に述べると、ウクライナでの垂直的エスカレーションの頂点は「核兵器の使用」である。
米ランド研究所のサム・チャラップ氏は、「核兵器の使用だけでなく、ウクライナで病院を爆撃したり、市民の住む地域を破壊したりする行為も垂直的エスカレーションに含まれる」としている。
ただプーチン氏の心中に、本当に戦術核のボタンを押す心づもりがあるのかどうかは計れない。
プーチン氏の報道官ドミトリー・ペスコフ氏はCNNとのインタビューで、核兵器使用の可能性は低いと否定した。
ところが、プーチン氏がどういった条件であれば使用に踏み切るのかとの質問では、「もしそれが我が国にとって存立に関わる脅威であれば、(使用は)可能だ」と答えている。
それは政権内で核兵器の使用が議論されていることでもある。垂直的エスカレーションの頂点が用意されているといえなくもない。
この発言後、米国防総省のジョン・カービー報道官は「責任ある核保有国が取るべき行動ではない」とペリコフ氏の発言を非難。
ただロシアによる核兵器使用の可能性は以前から語られてきたことである。
大型の戦略核兵器の使用はないとしても、局所的な破壊にとどめる戦術核の使用の可能性は捨て切れない。
プーチン氏が戦闘で大敗を喫することになったり、国内経済が破綻して政治生命が脅かされたりした場合、垂直的エスカレーションの最終段階に帰着することもあり得る。
ただ同時に、プーチン氏も核兵器の使用がどれほど壊滅的な結果をもたらすかを理解しているはずで、核兵器を本気で使用するかどうかについては否定的意見もある。
米マサチューセッツ州タフツ大学フレッチャースクール法律外交大学院のダニエル・ドレズナー教授はワシントン・ポスト紙に寄稿し、プーチン氏が核兵器使用をチラつかせているのは「誇張でしかない」と述べる。
同教授はロシアによる核兵器の使用が迫っている場合、米政府は警戒態勢を敷くだけでなく、独立した報告書を出したり、諜報機関が変化を察知するはずだが、そうした動きはないというのだ。
同教授は、もしロシアが核攻撃を仕掛ければ、ロシアこそが「悲惨な結果に終わることになる」とも予見する。
しかし「ロシアのウクライナ軍事作戦が計画通りに進んでいない兆候があり、今後プーチン氏がますます予測できかねる行動をとるようになるかもしれない」とも記す。
そしてウクライナを迅速に制圧できなかったことで、垂直的エスカレーションの危険性が高まっていることも認識する。
ロシア軍が1カ月以上経ってもいまだにウクライナ全土の掌握どころか、首都キエフを包囲することすらままならない。
こうした膠着状態が続けば、プーチン氏は当初の侵攻目的を見直さざるを得なくなるかもしれない。
さらにプーチン氏は、今回の戦争で勝てるとは限らない。
専門家の中にはロシア国内で反政府勢力の動きがより活発化し、執拗に反プーチンの活動が継続される可能性がある指摘する声もある。
さらに欧米からの制裁はロシア経済を圧迫しており、永続的な痛手になっている。
今回、取材した安全保障問題を専門にする米人記者は、「ここまでのロシアの軍事パフォーマンスはあまりにもお粗末である」と述べた後、こう続けた。
さらにロシア軍の兵士たちの腐敗が「進軍を遅らせる最大の要因」とも指摘する。
また「兵站支援も滞っており、今後高い水準で軍事力を維持できるとは思えない」と述べた。
今後、プーチン氏は当初抱いていたウクライナ侵攻の目的を達成できないことが分かると、目的を見直すかもしれない。
キエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権の交代やウクライナの占領を諦めるかわりに、東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」におけるロシアのプレゼンスを強化していくようになるかもしれない。
最後に楽観的な言説を記したい。カート・ボルカー元NATO(北大西洋条約機構)大使が米テレビCNBCのインタビューで述べていた内容だ。
「ロシアが侵略を長引かせる中で直面しているのが物流の課題だ。さらに武器と兵士の質を考えると、最初につまずくのはロシアだろう」
「ロシアがまず疲弊する。そしてプーチン氏は(戦争の)決着をつけざるを得なくなる」
そしていま、「ウクライナ人は自分たちに強い自信を抱き始めている」という。さらにボルカー氏はこうも述べる。
「いましばらくは現在の状態が続くでしょうが、最終的にはロシア人がウクライナから出ていくことになる」
この通りになればいいのだが・・・。
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