韓国に、中国が「激怒」した…!韓国が “THAAD正式配備”で「日本&米国」へ急接近するウラで、“逆ギレ”中国を見捨て始めた…!
韓国では文在寅政権時代、中国への従属外交に終始し、国益を見失ってきた。それが尹錫悦大統領になって、中国外交の本格的な見直しが始まった。韓国ではTHAADの配備を正式なものに変更する流れが出てきたうえ、韓国の対中輸出のメリットが急減しており、軍事面でも経済面でも中韓関係の後退は後戻りできないものになってきたことが背景にある。そんな韓国はいま「中国離れ」を加速させるウラで、米国への接近を進めている――。
「中国離れ」で「米国寄り」の韓国
国益を重視する尹政権の立場から、韓国は米国との関係の一層の強化に動いていくことが避けられない。
米韓の合同軍事演習は、実戦形式で強化していくであろう。
これまで中国への経済的依存度の高さから、「安保は米国、経済は中国」としてバランス外交を展開してきた。
が、中国への経済的依存度が相対的に縮小していけば、米中間での韓国の立ち位置もより米国寄りとなることが必然である。
THAADをめぐって「韓中対立」が鮮明化
韓国の朴振(パク・チン)外交部長官と王毅中国外交担当国務委員兼外交部長は8月9日、対面での外相会談を行った。
この会談ではTHAAD「三不」の有効性を巡り立場の違いが明らかになった。
それでも両外交部は、「THAAD問題が相互協力の障害物にならないようにしよう」という方向で長官が共感を形成したと明らかにしていた。
しかし、中国外交部の汪文ブ報道官は中韓外相会談後、「韓国政府が正式に対外に『三不一限』を宣示(表明)した」と述べた。
汪報道官が「一限」を持ち出したのは、THAAD論争を拡大するものである。
これまで共産党系メディアの「環球時報」が2017年の外相会談後この表現を用いたことはあるが、韓国側の認識では政府次元の公式言及は初めてという。
何故、外相会談が行われた後に、中国外交部がTHAAD配備問題に関し、より強硬な発言をするようになったのか。
ひとつの見方は、尹錫悦政権がTHAADを正式配備することを阻止するため、韓国内でTHAAD撤去を主張する一部勢力を煽り、内部の対立を増幅させようとする意図だったのではないかとの解釈ができる。
軽率だった文在寅
当然のことながら、中国が、いわゆる「三不」に加え、「THAAD運用制限を意味する『一限』も韓国政府の公式立場」と主張したため、韓国国内では、内政干渉として波紋が広がった。
「一限」が何を意味するか必ずしも明らかではない。「三不」とは違い、中韓間での具体的な協議内容さえ伝えられたものはない。
中央日報によれば、匿名を求めた外交筋は「文在寅政権当時、青瓦台関係者(南官杓(ナム・グァンピョ)国家安保室第2次長か)がTHAADをめぐる葛藤を解消するため、数回中国を訪問し、中国側が『THAADの影響を受けないようにする』という趣旨の発言をするのを聞いたことがある」と述べたという。
また、「THAADが中国に向かったり、中国の戦略的動向を探知したりすることがないようにする」という意味で、中国側が「一限」に対する約束と受け入れた可能性があるというのだ。
文在寅政権の青瓦台の核心関係者は、「安保及び軍事に関連し、韓国政府が唯一『合意』または『約束』できる対象国は米国だけ」であり、「三不」ばかりでなく「一限」も「合意」や「約束」の対象外だと説明する。
しかし、文在寅政権はその場しのぎであいまいな発言をしばしば行ってきたので、それが事実とすれば、そうした軽率な発言は責められてしかるべきだろう。
中国側に「一歩もひるまない」韓国大統領室
韓国大統領室は8月11日、「THAAD(高高度ミサイル防衛システム)は北朝鮮の核やミサイルの脅威に対抗する自衛のための防衛手段だ」「決して中国との協議対象ではなく、8月ごろにはTHAAD基地が完全に正常化するだろう」と明らかにした。
韓国大統領室のブリーフィングは、中国に対して公開の場で反論したものである。
これまで在韓米軍のTHAADは、慶尚北道星州郡の星州ゴルフ場で5年間にわたり臨時配備となっているが、大統領室関係者によれば、「(THAAD配備の正常化は)あくまでも安全保障目的のためであり、中国政府の主張とは関係なく韓国と米国は定められたタイムスケジュールに従い、正常化を進める」とのことである。
この関係者は「『三不』は前政権の考え、(政権交代後の)継承を定めた合意や条約ではない」「(THAADは)韓国の安保主権であり、生命と安全を守るための自営的防衛手段だ」と説明している。
そもそもTHAADをめぐる「三不」の考えが浮上したのは、中国側によるTHAAD報復が激しかったからであり、韓国の財界にとってTHAAD配備をめぐる中国の報復はいまだに悪夢として残っている。
星州のゴルフ場敷地を提供したロッテは、消費者のデモ、製品の納品拒否、発電施設の押収、店舗閉鎖の措置を受けた結果、中国に投資した資産の大半を安値で売却し、撤退せざるを得なかった。
THAAD報復前の中国シェアが10%を超え、外資系トップ3に入っていた現代・起亜自動者も消費者不買運動に加え、巧妙な営業妨害まで受け、シェアは下落が続き昨年は2.7%に後退した。今年は1%台になるとの見方が出ている。
韓国のゲーム会社は中国市場でサービスできる免許をまったく発給されておらず、韓国のドラマ・映画は中国のテレビや映画館では見られなくなった。
中韓の「経済関係」に異変アリ
中国と韓国の貿易は、国交樹立後の92年8月から本格化し、93年に中国との貿易で12億ドルの黒字を記録した後、2021年までの間、韓国が中国との貿易で常に黒字を記録した。
しかし、最近になって中国との貿易黒字が徐々に縮小し、今年の5月には10億9900万ドル、6月には12億1400万ドルの赤字を記録した。
韓国の中国への輸出は全体の4分の1を超え、黒字額の中でも中国の比重は86%と言われてきた。
しかし、尹錫悦政権になってから、2ヵ月連続で赤字を記録した。
ただ、尹政権の対中政策だけが中韓貿易の赤字を招く原因となったのではなく、中韓経済関係の大きな流れを反映したものと見るべきだろう。
その一つが中韓FTAである。中韓FTA締結後、韓国の輸出は0.1%伸びた反面、中国からの輸出は18%急増した。
そのほか、中国の技術力向上で韓国から輸入せずとも自国で調達できるようになった部品・素材が多い。中国は半導体立国を目指しており、韓国を乗り越える勢いである。
半導体、液晶ディスプレー、補助金…
韓国の対中輸出の30%を占める半導体分野では、中国は補助金を武器に追い上げている。
韓国が17年間世界首位を守ってきたディスプレー分野でも昨年中国は世界シェアで41.5%を獲得し、韓国の33.2%を上回った。その原動力は政府による巨額の支援だった。
中国ディスプレー最大手の京東方科技集団は10年間で2兆ウォンに達する補助金を受け、生産拠点の土地、建物、水、電気もほぼ無償で提供されたという。
安徽省に建設した初の液晶ディスプレー工場は投資額460兆元(約9310億円)のうち93.5%を政府が負担したほどだ。
中国に「締め出される」韓国製品
韓国の全国経済人連合会(全経連)が2014年から18年にかけて世界的な半導体企業21社の売上高に占める政府支援金の割合を調べたところ、中国企業が3位までを独占した。
中国は米国の半導体制裁を受けても、中低価格のファウンドリー(受託生産)、組み立て・パッケージング(封止)、テスティング(検査)、ファブレス(半導体設計)分野では、世界シェアと売上高で韓国をリードしている。
韓国の対中貿易は2019年から半導体を除けば赤字だったので、中国の半導体の競争力が強化されれば、対中貿易の赤字化は一層進展しよう。
中国の内需振興策により、韓国製品が中国市場から急速に締め出されている。
サムスン電子のスマートフォンは13年に中国市場で首位(シェア19.7%)に立ったが、昨年は0.6%で10位だった。
同期間にLG電子の有機発光ダイオードテレビは1位(94.2%)から4位(6.1%)に後退した。
中国はテレビ、冷蔵庫などの買い替え時に10-13%の補助金を支給したが、その対象は中低価格製品に限定した。その結果中国ブランドが伸張した。
中国依存からの「脱却」へ…!
特に打撃を受けたのは、韓国の対中輸出をけん引した中間財である。
中国は逆に韓国市場でのシェアを急速に高めている。
技術レベルの高い部品で中国の割合は1996年の2.9%から39.7%に上昇した。
韓国経済にとって中国のメリットは急激になくなっている。
中国への輸出を回復することはおそらく絶望的であろう。韓国経済にとって貿易・輸出の多角化を図ることが将来的に生き延びる道であろう。
そうした現実は、THAAD問題をめぐる葛藤でも、中国に振り回されない外交を推進する土台となるだろう。
さらに連載記事
『韓国が、中国と「ヤバい喧嘩」を始めた…! 韓国が「脱・文在寅路線」で、軍事も経済も“中国離れ”が止まらなくなってきた…!』では、そんな韓国が軍事面でも経済面でも中国離れをしている実情についてレポートしよう。
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