러시아

プーチン政権の崩壊後、ロシアに「もっとヤバい独裁者」が現れるかもしれない…!

이강기 2022. 10. 21. 23:08
 

プーチン政権の崩壊後、ロシアに「もっとヤバい独裁者」が現れるかもしれない…!

 

飛び交う楽観論と悲観論を分析する

「プーチン後のロシア」楽観的なシナリオ

「プーチン後のロシア」はどうなるのか。ウクライナの戦争でロシアが敗北すれば、ウラジーミル・プーチン大統領は「権力の座」から滑り落ちる可能性がある。そのとき、次に登場する後継者は、どんな人物なのか。「プーチン以上に悪辣」でない保証はない。

 

私はプーチン後のロシアについて、9月23日公開コラムで「もっとも楽観的なシナリオ」を紹介した。ロシアが敗北し、プーチン政権が倒れれば「後継政権はウクライナに全面謝罪し、親米路線に大きく舵を切り替える」可能性である。

                                           ロシアのプーチン大統領[Photo by gettyimages]
 

このシナリオがありえない、とは言えない。いまは戦争をしている真っ最中なので「あの酷いロシアが親米になるなんて」と思われるかもしれないが、かつて、日本もドイツも米国との戦争に負けた後は、親米路線にガラリと舵を切り替えた。あのまま軍国主義を続けていれば、いまの発展はありえなかっただろう。

 

ロシアも同じ選択をしない、とは限らない。最大の理由は「プーチン体制」を完全に清算しない限り、西側に経済制裁を解除してもらえないからだ。解除されなければ、ロシアはジリ貧になって、結局「図体の大きな北朝鮮」のような国にならざるをえない。

 

かといって、国の再建を中国に頼れば、中国はロシアの安い天然ガスと原油を得られるのでハッピーだろうが、ロシアは中国の属国になってしまう。ロシアは西欧に劣等感を抱いているが、中国に対しては「かつてはオレが共産主義の盟主で、中国は子分だった」と思っている。そんなロシアが中国の子分になるだろうか。疑問は残る。

 

したがって「戦後のロシアが親米に舵を切る」という選択肢は、ありうる。

 

独裁政権が続く可能性

逆に「もっとも悲観的なシナリオ」もある。

 

プーチン氏の大失敗を受けて、これまで以上に「過激で悪辣な独裁政権」が誕生するかもしれない。私は9月30日公開コラムで具体的に後継候補6人の名前を紹介したが、彼らはいずれも独裁政権の支持者たちだ。

 

彼らのうち誰かが政権を握れば、西側は「プーチン体制のバージョン2」とみて、経済制裁を解除しないだろう。彼らの支配下で、ロシアが独裁・専制主義から脱却できるとは、とても思えない。

 

 

どちらのシナリオが現実になるのか、そもそもプーチン政権が倒れるかどうかも、現時点では、誰にも分からない。だが、欧米では悲観論、すなわち「プーチンが倒れても、もっと酷い政権が後を継ぐ」という見方が有力になっているようだ。

 

その一端をうかがわせる論説が、米国のシンクタンク「大西洋評議会」のサイトに9月26日付で掲載された。「西側はプーチン後のロシアを恐れるな」というタイトルの短い記事だ。筆者は大西洋評議会のシニアフェローで、米大統領特別補佐官も努めたリチャード・D・フッカー氏である。次のようだ。

 

 

〈ウクライナが領土を奪還するにつれて、新たな議論が起きている。「ウクライナの勝利はプーチンを権力から追放するだろう。そして、プーチン後のロシアは、もっと悪くなる」というのだ。さらに酷いスターリンのような後継者の登場、あるいは内戦勃発、さらにはロシア連邦自体が崩壊する、という予想もある〉


〈ロシアの敗北がもたらす、こうした結果を恐れるあまり「プーチンに恥をかかせてはならない」「交渉による解決で戦争を終わらせるべきだ」という意見が強まっている。NATOのもっとも高いレベルで、このアプローチへの賛成意見が多い〉
 
 

筆者は、NATO防衛大学の学部長や米陸軍士官学校の教官も経験している本物のプロだ。そんな人物が「NATO内では、最高レベルで『プーチンを追い詰めるな』という意見が多い」と書いているのだから、信ぴょう性がある。逆に言えば「NATOは勝利に自信を深めている」という話でもある。

 
 
〈こうした解決策は、戦場での敗北と後退にもかかわらず、プーチンにある程度のウクライナの領土を与えることになる。プーチンは負けたのに、勝ってしまうのだ。実際には「プーチン後のロシアが、もっと悪くなる」というシナリオはありそうにない。誰が後継者になろうと、厳しい現実に直面せざるをえないからだ。経済の苦境はロシア軍の再建を妨げる。そもそも、ロシアには永遠に西側と対決するだけの資源もない
 
 
 
〈中国やイラン、北朝鮮に支援を求めても、後継者への助けにはならない。イランや北朝鮮は軽量級であり、彼らの軍事力は西側に比べて一世代以上も劣っている。中国はロシアにとって長期的な脅威になる。中国に依存すれば、中国の支配下に置かれてしまうだろう〉
 

〈もしも、プーチンが権力から追放されれば、ロシアの新興財閥や将軍、上級官僚は自己保身が最優先になる。「恐怖と不信の体制に戻りたい」と思うのは少数派だ。スターリンの死後、ソ連共産党政治局が恐怖支配を終わらせたように、プーチン後は正常化と安定復活が優先される可能性が高い〉


〈ロシアの歴史と文化のDNAには「帝国主義と拡張主義が埋め込まれている」という血脈がある。だが、日本やドイツ、韓国、スペイン、ポルトガル、ギリシャは軍国主義と独裁を捨てた。「プーチン後はもっと悪くなる」という想定には、慎重であるべきだ〉

 

一言で言えば、プーチン後のロシアが再び、悪辣な独裁主義になるのを恐れるあまり「戦いに手を抜くな」と言いたいのだ。

 

「独裁者」候補2人の共通点

10月17日付の政治メディア「ポリティコ」は「プーチン後の混乱した世界に関する計画」と題して、次のような記事を掲載した。

 

〈西側では「ロシアの国内政治に手を突っ込んだ」とみられるのを警戒して『プーチン後』を公然と語る人は、ほとんどいない。だが、プライベートでは「どんなシナリオが幕を開けるのか」「西側はそれにどう対応するのか」に頭を巡らせている〉
 

〈コンセンサスが1つある。それは「きれいな(clean)体制移行にはならないだろう」ということだ。英国の元ロシア大使は「次に起きるのが、そのまま直ちに民主主義という幻想は横に置いておくべきだ」と語った。おそらく、次はトラブルの時代になる〉
 
 

どちらかと言えば、これは悲観論だ。軍事関係者だけでなく、政治・外交の立場でみても、楽観論を前提にはできないのだ。

 

そのうえで、記事は「もしも派閥的争いになった場合、関係者すべてが注目しているのは、チェチェン共和国首長のラムザン・カディロフ氏だ」と指摘する。カディロフ氏はウクライナに自前の軍を派遣しているが、セルゲイ・ショイグ国防相への批判を強めている

ウクライナ東部のリマンが陥落した後には「昨日はイジューム、今日はリマン、明日はどこだ」と言い放った。そのカディロフ氏と調子を合わせているのが、同じく傭兵を派遣している民間軍事会社「ワグネル・グループ」の創始者、エフゲニー・プリゴジン氏だ。

 

9月30日公開コラムで指摘したが、カディロフ、プリゴジン両氏を無視できないのは、2人が独自の実力部隊を保有している点である。いざ修羅場となったら、モノを言うのは自前の軍事力である。

 

強硬派意外に目を向けると

プーチン氏の取り巻き以外に、有力な後継候補はいないのか。

 

ここへきて注目を集めているのは、いま獄中に囚われている反体制活動家のアレクセイ・ナバルニー氏だ。ナバルニー氏は先月、獄中から「プーチン後」について、ワシントン・ポストに手記を投稿した。

                        獄中のアレクセイ・ナバルニー氏[Photo by gettyimages]

 

詳しい経緯は不明だが、同紙は「弁護団によってエッセイが運ばれた」と注記している。「これがプーチン後のあるべき姿だ」と題された9月30日付記事は、こう書いている。

 

〈西側の指導者は「ロシアとプーチンが勝利してはならない。ウクライナは独立した民主国家であるべきだ」と言う。それは正しいが、戦術の話にすぎない。肝心な戦略は「ロシアが2度と戦争を起こさず、戦争を魅力的と思わないようにする」ことだ。侵略を始めたのは、ロシア社会の少数派なのだ〉
 

〈目先の戦術的課題が達成されたとしても、世界が「復讐心と帝国主義的理想に燃えた、もっと攻撃的な体制」に直面しない保証はあるのか。その体制は経済制裁を受けているとはいえ、常時、動員態勢を整え、核兵器もある〉

 

 
〈プーチンが負けたとしても、彼はウクライナに負けたのではなく「西側とNATOに負けたのだ」と言って、軍隊を再建し、次はハイブリッド戦で新たな戦争を仕掛けるかもしれない。それを避けるには「ロシアの戦後問題」が中心課題になる。問題の源泉に対処する計画なくして、長期的目標は達成できない〉
 

〈ロシアの問題は、まず「ウクライナに対する嫉妬」だ。欧州を選んだウクライナを憎み「彼らをぶち壊してやりたい」という執念は、プーチンに限らず、この世代の政治家に共通している。次に「戦争は破局ではなく、問題を解決する手段」という考え方だ。ロシアのエリートは第2次チェチェン紛争以来、23年間も「このやり方で失敗しなかった」と学んでいる。したがって、第3に「プーチンを別のエリートに代えれば、この戦争観を変えられる」と期待するのは、ナイーブすぎる〉
 

〈4番目に、ウクライナに対する執念がパワーエリート以外の層に広がっていないのは、良いニュースだ。プロパガンダは一定の効果があるが、それでも、モスクワなど大都市では、住民の多数派が戦争に批判的である〉


〈戦争の真の推進者は、エリート全体と独裁・専制主義を再生産している権力システムなのだ。ロシアは歴史的に、何度もそれを退治する機会があったが、できなかった。ソ連崩壊は最後のチャンスだったが、西側は「大統領制共和国」に賛成して失敗した〉


〈バルト3国のように、議会制共和国を選んだ国は上手くいって、欧州に加わった。大統領制共和国を選んだウクライナやモルドバ、ジョージアは執拗な不安定さに直面し、前進していない。強い大統領制を選んだロシアや中央アジアの国は硬直した専制主義になって、近隣国と軍事衝突を繰り返している〉

 

 〈ロシアは「議会制共和国」を必要としている。それこそが、終わりのない帝国主義的な独裁・専制主義から脱する、ただ1つの道なのだ。それは万能薬ではないが、決定的な長所がある。国民への権力委譲や議会多数派による政府の構成、独立した司法、地方の権限強化などだ〉


〈私は、西側に戦争の根本原因を見過ごしてもらいたくない。いまの国家の形が維持される限り、プーチン後のロシアは、また好戦的な「プーチニスト」になってしまうだろう。議会制共和国だけが、それを止められるのだ〉
 

厳しい勾留状態に置かれているナバルニー氏が、これほど冷静で一貫した展望を語ったことに、私は驚いた。手記を掲載したワシントン・ポストは「戦争後、プーチン後、ロシアは次に何を迎えるのか」と題した10月12日付の社説で、こう書いた。

 

〈ナバルニー氏が解放され、ロシアに民主主義を根付かせるための指導的立場になれば、理想的だ。だが、ロシアが別の道に進む可能性にも注意しなければならない。戦争敗北によって、ロシアは少しおとなしくなるかもしれないが、それは必ずしも「自由に歓喜する」というわけではないのだ〉
 

希望はある。だが、楽観はできない。

 

10月19日に配信した「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」は、私の1人語りで海上保安庁の予算を防衛費に含めようとする「岸田文雄政権の悪巧み」について解説しました。20日は同じく1人語りで「プーチン後のロシア」について、お話しました。
 
 
 
また21、22日には、高橋洋一さんと2人で高橋さんのご著書「中国GDPの大嘘」と、石平さんとの対談本「経済原理を無視する中国の大誤算」を題材に、中国経済の実態に迫りました。2日連続で配信します。こちらも、ご期待ください。