日本のデジタル漫画市場の8割が
最近の韓流ブームで特に注目を集めている分野が「ウェブトゥーン(デジタル漫画)」だ。
その人気は漫画大国日本においても例外ではない。日本経済新聞の10月10日付けの報道(「漫画アプリ首位LINE、迫るピッコマ 韓流「縦読み」席巻」)によると、約4兆円と推定される日本のデジタル漫画市場の約80%を韓国製のウェブトゥーンプラットフォームが占めているという。

Naver Webtoon
「ウェブトゥーン」(Webtoon)とは韓国発祥のデジタル漫画の一形態。インターネットを意味する「ウェブ(Web)」と漫画を意味する英語「カートゥーン(Cartoon)」の合成語で、紙の出版物ではなくインターネット上で連載されるコミックを指す。
ウェブトゥーンはもともと、パソコン通信文化全盛期の1990年代後半に誕生した。漫画をスキャンした単純な方法から始まり、徐々にネットの特徴に合わせた作品も生まれ始めた。
2000年代に入ると、ポータルサイトがユーザー確保のために無料のウェブトゥーンサイトサービスを開始し、急速に普及。ユーザーを長い時間サイトに滞在させることができるめどが立つと、サービスを一部有料化するようになる。
ウェブトゥーンが文化産業の一つのジャンルとして本格的に発展していくに伴い、ウェブトゥーン作家たちの作品を管理してくれるエージェンシーも誕生。現在、7つほどが存在する。
ウェブトゥーン分析サービスの企業によると、2022年3月時点で、韓国には37のプラットフォームがあり、計9922人の作家が活動しているという。
スピーディな展開を縦スクロールで
韓国発祥のウェブトゥーンが世界的に人気を集めている要因としては、まずスピーディーな展開方式がある。漫画評論家の朴仁河(パク・インハ)はウェブトゥーンの人気要因について次のように説明する。
「ポータルサイトから始まったウェブトゥーンは、スマホ普及後、さらにスピードを上げて広まっています。ウェブトゥーンは、出版形式の漫画と違って、掲示板に連載され、読者と作家が相互に影響を及ぼし合うことができる。
たとえば、ネイバーウェブトゥーン(日本ではLINEマンガでサービスしている)は、コメント数や★の数、シェアリングといった読者からのフィードバックによって、『挑戦漫画→ベスト挑戦漫画→正式連載』という風にステージを上げていくのです。

Naver Webtoon
だから、作家たちは、読者とのコミュニケーションをより円滑にするため、ストーリー展開を意図的にスピードアップしたりする。
この場合、時間をかけて主人公の成長を物語るより、最初から成長した主人公が問題を解決するというストーリーを展開させ、主人公の努力や苦労はあまり描かれません。こうしたウェブトゥーンの変化は、モバイルコンテンツ特有の『速さ』に起因しているのです」
独自の「縦スクロール読み取り方式」も全世界のスマホ世代から人気を得るようになった要因だ。
ウェブトゥーンはスマホで読むことを想定し、カット割りを縦だけに配置する新しい「カット分割」を試みた。縦長のスマホ画面でもカットをいちいち拡大して読む必要がなく、ページをめくらないため、流れが途切れることなく読める。
台詞が少なく絵が単純でカラーが基本である点もやはり、スマホ世代に合わせたウェブトゥーンならではの特徴だ。
韓流ドラマの原作としても注目
韓流ドラマや映画、ミュージカルなどの人気コンテンツがウェブトゥーンを原作としているケースが多いのも、従来の紙の漫画とは全く異なるコンテンツとして世界的に人気を集めている要因の一つだろう。
例えば、日本でも人気を博した韓流ドラマ『梨泰院クラス』は、カカオピッコマのウェブトゥーンが原作だ。2016年からダウム(現ダウムカカオ)ウェブトゥーンで無料公開され、2018年7月に完結した直後、有料サービスに転換された。

有料サービスで配信された『梨泰院クラス』は、カカオウェブトゥーン史上最高の売り上げを記録し、1000万人の読者を獲得した超ベストセラーである。
ドラマも原作を忠実に再現しようと原作者が自ら脚本を担当し、主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)をはじめ、主要登場人物は外見や表情までまるで漫画と同じであった。
また、ネットフリックスのオリジナルドラマ『今、私たちの学校は』は、ネイバーウェブトゥーンが原作だ。2011年に連載が終了して以降、2016年からはアジア、アメリカ、ヨーロッパなどで段階的に公開され、人気を集めている。
他にも『地獄が呼んでいる』『Sweet Home―俺と世界の絶望―』『私のIDはカンナム美人』『ミセン』など、日本の韓流ファンにもお馴染みのヒット作をはじめ、『神と共に』『シークレット・ミッション』など、人気ウェブトゥーンが原作の作品は枚挙にいとまがない。
関連市場は100兆ウォンを超える規模に
映画界とドラマ界がウェブトゥーン作品を好んで原作として使いたがる理由について、あるドラマ制作会社代表は次のように話す。
「2009年に日本の漫画原作のラブコメ『花より男子』がアジアで大ヒットしたことで、韓国ドラマ界では日本漫画原作ブームが起こりました。韓国では想像できないような奇抜なアイディアが強みの日本漫画は、いわば韓国ドラマの『アイディア・バンク』でした。
しかし、そこにはハードルがあって、版権を持っている日本の大手出版社の閉鎖的で高圧的にも見える態度が障壁となったんです。日本の出版社は『英語ではなく日本語ができる人間を窓口に』『シナリオは毎回チェックさせること』など条件が厳しかったですし、規模の小さいドラマ制作会社は相談にすら乗ってもらえない門前払いのケースも多かった。
それで、ドラマ制作会社は次第に、日本の漫画に代わって韓国のウェブトゥーンを原作にするようになっていったのです」
韓国のウェブトゥーン市場は、2010年の1000億ウォン(約100億円)から2020年は1兆ウォン(約1000億円)へと急成長を遂げている。これに、ウェブトゥーンを原作とする映画、ドラマ、ゲーム、キャラクター商品などの「2次付加価値産業」を含めると関連市場は最大100兆ウォンを超えると言われている。
今や、ウェブトゥーンは最高の輸出商品となった。漫画界の宗主国である米国と日本はもちろん、ヨーロッパにまで進出し、世界中の若い世代から人気を得ているだけでなく、韓国で作られる映画、ドラマ、ミュージカル、演劇のソースを提供する、非常に魅力的で競争力のある“産業”になったのだ。
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