韓国「元徴用工」公開討論会の“細かすぎる中身”を大公開…! 「在日3世」の私が驚いた“討論会での意外な一幕”と、日本に「すいません」と思ったワケ…!
韓国「元徴用工」公開討論会の“細かすぎる中身”
2012年に韓国大法院(最高裁)で元徴用工問題に関する信じがたい判決が出て以降、10年が過ぎたいま、一つの大きな動きになるのではとされる公開討論会が2023年1月12日行われた。
今回の討論会では被害者への賠償を韓国財団が日本企業に代わって肩代わりするという案が出され、元徴用工問題が大きく前進すると期待されているが、その中身について日本では大きく報じられない。
今回はその中身を紹介しよう。
朝の10時から12時を予定とした討論会は大きく延長することもなく終えたのだが、私は最初の生配信で見たのはもちろん、YouTubeでの配信でも見返した。
討論会は外交部が要請して出席している学者先生をはじめ、10年ほど元徴用工取材に携わった韓国メディアの記者もいた。
最初にお偉いさんの挨拶から始まって討論に移ると、最初は外交部アジア太平洋局長のソ・ミンジョン氏が今まで外交部が元徴用工問題にどう対応してきたかを一通り説明しながら、今回の提案の重要性を訴えた。
そして「野次」が飛んだ
二人目が日帝強制動員被害者支援財団の理事長シン・キュソン氏だ。
この人は冒頭で1965年の日韓基本条約で得た日本からの支援を、韓国政府が元徴用工に対して満足のいく支援をしなかったと明らかにしながらも、後半は被害者意識を考慮した無難な討論になっていた。
三人目が民族問題研究所、対外協力室長のキム・ヨンファン氏、続いて2018年10月大法院で日本企業に元徴用工への損害賠償を命じる判決が初めて確定した時の代理人弁護士イン・ジェソン氏であった。
次にまた日帝強制動員被害者支援財団の理事ハン・ムンス氏とここまでも元徴用工側に寄り添う方たちがなんとか解決の糸口をとの内容を含みながら討論を行ったが、少しでも政府側への甘い意見が出ると軽い「野次」が会場から聞こえていた。
ここからが学者先生なのだが、最初に高麗大学政治外交学科教授のパク・ホンギュ氏、国民大学日本学科教授イ・ウォンドク氏が出てきて、このお二人のときには中々の野次が飛んでいた。今回の討論会でパク・ホンギュ氏が一番野次を受けたよう思えるが、それほど政府寄りの意見が強かったようにも見えなかったので、不思議だ。
意外な一幕
少しびっくりしたがこの先生の後、弁護士のチェ・ウギュン氏が元徴用工問題の法的説明を行った。内容は当事者が補償はされるべきだが、第三者いわゆる家族、子孫がされるのはいかがなものかという話だった。当然、野次られた。
続いてハンギョレ新聞の国際部長のキル・ユンヒョン氏だったが、この方の討論が一番印象深かった。
韓国では有名な左派メディアなのでどんな反対意見が出るかと思いきや、10年近くの元徴用工取材を重ねながら、被害者の気持ちを理解した上でもそろそろこの問題を解決しないと行けないと話したのだ。
会場に詰めかけた被害者団体も、この記者にある程度の期待を寄せていたが、まさかの意見に野次がヒートアップしていた。
そして、一旦の討論は済み、いままでの討論に対するまとめを数人の先生方がした後に、マイクが会場に運ばれた。討論会の内容は他の報道を見てもらうとして、この討論会で私が「在日」として感じたことを話そう。
「静止」を振り切って話し続けた…
そもそもこの討論会に被害者と呼ばれる方は参加していたのかという疑問だ。討論会が終わった後の報道で会場の野次を飛ばす団体の写真が紹介されていたが、元徴用工と見受けられる年齢の人がいないように見えた。
話を元に戻して、会場にマイクが渡ると、元徴用工問題の支援団体の人たちが手をあげ話そうとするのだが、他の団体がそれすらも妨害し自分達でマイクを取ってしまう場面があった。
そこでまた元徴用問題に関する団体代表という人がマイクを取って、朴正煕元大統領が65年基本条約を締結した時の演説を読み始める。会場係員から静止されても振り切って話し続け、最後にはマイクを切られてしまった。
その代表はマイクが切られたことに腹を立てマイクを会場で投げ捨てて叫んでいたが、討論会のMCが見かねて強制的に終了したのだ。
ここまでを見て、私は大きなため息の後「またか」と言う気持ちと「すみません」という思いが込み上げてきた。
「またか」、そして「すいません」
「またか」と言うのは何度も話しているが、感情論だけの市民団体が反論している光景に心底嫌気がさしたからだ。最初から意見を交換する気も歩み寄る気も無いのが誰が見てもわかってしまう。
そんな私は討論会を見終わって「またか」と言う気持ちに恥ずかしさを覚えて、思わず日本に向かって「すいません」と思ってしまったのだ。
1月12日22時半の時点で外交部配信のフルバージョンがやっと1000回程度で、他の各メディアが取り上げるニュース配信もどんなニュースよりも視聴が少ない。
それに気づいた私は韓国の友人3人に電話で聞いてみた。
ちなみに、この3人は、文在寅に投票して、一時は文在寅の掲げる民主主義に身を捧げたものの、反日、不買で営んでいた日韓関連事業が思う様に成らなくなったという“自業自得な実被害者”である。
韓国で始まった「変化」
3人に話を聞いてみると『報道で見たけど被害者いなかったでしょう? 当事者でもない被害者面した団体は聞く耳持たないし、誰の代弁でそこにいるのかも理解できない』と話していたのには失笑してしまった。
ちょっと前まで誰よりもそんな聖域を信じていた人たちだから。
やはり韓国で“聖域神話”は崩れつつある様だ。確実に韓国は変化してきている、と感じさせる討論会であったことは言うまでもない。
もうしばらく日本は韓国のこの静かな変化に期待せずに厳しい眼差しで見守ってほしいと思う。まだまだ日本を納得させるにはほど遠いことは理解した上で、その先に元徴用工問題の解決がいよいよ見えてくるかもしれない。
さらに連載記事『韓国で、2023年新年早々に「徴用工問題」が動き出す…! 「在日3世」の私が驚いた“公開討論会の意外な狙い”と、いま韓国で起きている「ヤバい異変」…!』では、さらに韓国で起きている“異変の中身”についてレポートしよう。
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