まさか! 韓国の経済成長率が日本より低くなる?
「こんな予想、初めて見た。ショックですね」
2023年2月1日朝のラジオのトーク番組で司会者がこう切り出した。
IMF(国際通貨基金)が発表した世界経済見通しで、韓国の2023年の成長率予想が日本を下回ったのだ。
25年ぶりの「大事件」か?
IMFは1月31日に最新の世界経済見通しを発表した。世界経済の成長率を前回予想(2022年10月)より0.2ポイント引き上げ2.9%とした。
日本についても0.2ポイント上方修正して1.8%とした。
これに対して韓国については0.3ポイント引き下げて1.7%とした。
ラジオの司会者が見たこともないと言ったのは無理もない。めったにないことなのだ。
韓国のメディアによると、韓国の経済成長率がもし日本より低くなれば、1998年に韓国が「IMF危機」と呼ばれた通貨経済危機の直撃を受けて以来のことだという。
25年ぶりのことだ。
さらにその前になると、第2次石油ショックの影響を受けて韓国がマイナス成長になった1980年だけ。こちらは40年以上前だ。
日本の経済成長率だって1.8%で決して高いわけではない。
さらに言えば、IMFの予想では2024年には日本の成長率は0.9%に落ち込み、2.6%に上昇する韓国が再び逆転する。
それでも、2023年の成長率が日本より低くなることは韓国経済にとっては「大事件」だ。
韓国経済不振の3つの理由
訪韓中だったIMF幹部は韓国メディアに対して、韓国の成長率を前回に比べ下方修正した理由を3つ挙げて説明した。
(1)金利が引き続き上昇しており、2023年末まで特に消費に影響を与える
(2)貿易収支が悪化し、対外需要も減少している
(3)住宅部門の需要が鈍化している
前回予想の2022年10月以降も、韓国銀行(中央銀行)は物価対策のために利上げを続けた。
消費や企業活動にはもちろん影響がある。さらに、輸出も、徐々に悪化していた。
不動産、特にアパート(日本でもマンションに相当)の価格の下落が本格化してきた。こうした点が「下方修正」の原因だということだ。
こんな予想を裏付けるような統計が2月1日に発表になった。韓国の産業通商資源部が2023年1月の貿易統計(速報値)をまとめたのだ。
1月の輸出額は462億7000万ドルで前年同月比16.6%減だった。輸入は同2.6%減の589億6000万ドルだった。差し引きで貿易赤字は126億8900万ドルだった。
貿易赤字が月間で100億ドルを超えたのは史上初めて。輸出額は4カ月連続して減少した。
記録的な輸出不振
月次ベースでの貿易赤字は11カ月連続だった。記録ずくめの貿易不振だった。
「輸出立国」を掲げてきた韓国にとって輸出が減少しているのは痛い。その最大の理由は、半導体と中国だ。
1月の半導体の輸出額は60億ドルちょうど。前年同月比で44.5%減だった。
半導体輸出は、2022年1月には108億ドルだった。2022年11月に84億ドルになった。さらに2023年1月には60億ドルになった。
韓国メーカーが得意とするメモリーが供給過剰になって在庫が積み上がり、価格が大幅に下がったことが主な原因だ。
主要メモリー製品の価格は、2022年1~3月期の3.41ドルから、1月には1.81ドルになった。
自動車輸出が49億8300万ドルで同21.9%増だったが、半導体のマイナス分を補うには力不足だった。
中国向け輸出も苦戦が続いている。
1月の中国向け輸出額は91億7000万ドルで同31.4%減だった。中国の経済回復が遅れて韓国からの中間材の輸出が伸び悩んでいる。
半導体の不振は、深刻だ。
10年ぶりの赤字も
1月31日、サムスン電子は2022年10~12月決算を発表した。
半導体部門の営業利益は2700億ウォン(1円=9.5ウォン)。前年同期には8兆8400億ウォンを稼いでおり、減益幅は97%だった。
それでも通信設備、ディスプレー部門などを合わせた全社で10~12月期に4兆3100億ウォンの営業利益を上げたのはさすがだが、減益幅があまりに大きかった。
2月1日には半導体専業のSKハイニックスが10~12月決算を発表した。
営業赤字が1兆7012億ウォンという内容だった。前年同期には4兆2195億ウォンの利益を上げていたが、大幅赤字転落となった。
SKハイニックスが四半期決算で赤字になったのは2012年7~9月期以来10年ぶりだ。この時の赤字額は240億ウォンで、今回は巨額の赤字になってしまった。
問題は、半導体メモリーの在庫解消にどのくらいの期間がかかるのか見通せないことだ。
「上半期(1~6月期)の間、半導体事業は厳しい」(IT関連企業役員)との見方が強く、それだけ韓国経済への影響も残る可能性がある。
不動産下落で内需も期待薄
では内需はどうか。牽引役だった不動産市場が冷え込んできた。
過去5年ほど一本調子で上昇していた韓国のアパート価格は、金利上昇の影響が効いて、2022年から価格が下落に転じている。
最近は、ソウル近郊でもアパートの新規分譲に応募者が集まらない事態が続出している。
売買価格の下落だけでなく、金利上昇で不動産ローンの支払いに問題が生じる例も増えてきた。
電気、ガスなど公共料金やタクシー料金、さらに食料品などの値上がりが深刻だ。
金利の上昇に加えて、物価の急激な上昇が続き、内需が景気を牽引するなどとても期待できない状況だ。
ある財閥の役員は、「いま、韓国の産業界で威勢の良い話題は自動車用バッテリー分野くらい。今年は事業計画などあってないようなものだ」と話す。
IMFは2024年には韓国経済は2.6%の成長をすると予想したが、一部では「経済危機にならないのか?」という超悲観論さえある。
韓国経済の先行きに不安はないのか?
IMF幹部は、韓国メディアに対してこう答えた。
「韓国経済のファンダメンタルズは強い。通貨・財政政策もこれを支えている。外貨保有高もGDPの25%の水準で、悪い材料が発生しても対応できる政策余力は大きい」
「不動産関連の家計負債が大きいが、住宅価格の下落が銀行システムなど全般的な危機に発展する可能性は低い」
経済危機説を一蹴したが、ではどういう回復の道をたどるのか?
シンクタンクのエコノミストはこう話す。
「半導体の回復は今年後半までかかるかもしれない。中国経済の回復ペースが速まるという見方も出ており、やはり期待は中国かもしれない」
経済が政治にも大きな影響
韓国紙デスクはこんな指摘もする。
「2024年に政治決戦と言われる国会議員選挙がある。今年の経済動向は政治にとってもとても重要だ」
「1.8%と1.7%と、双方ともに低い水準だが、0.1ポイントでも日本より低いというのは今の政府には大いに気になるはずだ」
尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)大統領も必死だ。大統領は1月31日、ソウル市内で「UAE(アラブ首長国連邦)投資誘致後続措置点検会議」を開いた。
尹錫悦大統領は1月にUAEを国賓訪問し、300億ドル規模の経済協力案件で合意した。
この日の会議は、経済副首相兼企画財政部長官など経済閣僚や大統領室経済首席秘書官などのほか、UAE訪問に同行した企業の経営者など50人を集めた。
これまで、大統領が外遊した際、数多くの「MOU(合意書)」をかわして「外交成果」として発表した。
多くの場合、そのままになって実質的な経済効果がないという批判もあった。
韓国紙デスクは「明るいニュースが少ない経済分野で、UAE訪問の際の多くのMOUに対しては期待も大きい。大統領が直接フォローアップして、きちんと成果を出すという姿勢を見せた」と説明する。
引き続きどんな景気対策を打ち出すのか?
経済は単に経済だけの話では終わらないのだ。
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