北韓, 南北關係

金与正が「太平洋を射撃場に」、北のミサイルが日本上空を乱れ飛ぶ日くるのか

이강기 2023. 2. 20. 15:24
 

金与正が「太平洋を射撃場に」、北のミサイルが日本上空を乱れ飛ぶ日くるのか

東アジア「深層取材ノート」

 
JB Press, 2023.2.20(月)
北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 先週末の2月18日夕刻から深夜にかけて、首相官邸や防衛省は、緊張に包まれた。防衛省はその間、計4回も情報発信を行った。そのうち、18時47分に発信された3回目の内容は、以下の通りだ。

 

<北朝鮮は本日17時21分頃、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については現在分析中ですが、発射された弾道ミサイルは約66分飛翔し、18時27分頃、北海道の渡島大島の西方約200kmの日本海(我が国の排他的経済水域(EEZ)内)に落下したものと推定されます。飛翔距離は約900km、また最高高度は約5,700km程度と推定されます……>

 

 首相官邸と防衛省が緊張に包まれたのは、今回ばかりはICBM(大陸間弾道ミサイル)が、日本のEEZ内に落下したからに他ならない。もしもわずか250kmほど東にずれていたら、北海道を直撃したことになる。

 

 そうしたら、何百何千という死傷者が出ていたかもしれない。函館は25万、青森は27万、札幌に至っては200万都市である。

 

事前計画なしの「奇襲発射訓練」

 当の北朝鮮では、翌19日の日曜日に、朝鮮中央通信が声明を発表した。そこに今回のICBM発射の詳細が語られている。全文は、以下の通りだ。

 

<大陸間弾道ミサイル発射訓練が、2月18日午後に行われた。ミサイル総局が発射訓練を指導し、訓練には大陸間弾道ミサイル運用部隊の中から、発射経験が豊富な第一赤旗英雄中隊が動員された。

 

 第一赤旗英雄中隊は、2022年11月18日に新型大陸間弾道ミサイル「火星砲-17」型を発射した有能な偉勲を持っている軍部隊だ。戦略的任務を担当している軍部隊の中で、最も優秀な戦闘力を示す火力中隊だ。

 

 訓練は、事前の計画なく、2月18日の夜明けに出された非常火力戦闘待機指示と、同日午前8時に下達された朝鮮労働党中央軍事委員会委員長命令書に基づき、不意に組織された。発射訓練命令書には、訓練にミサイル総局第一赤旗英雄中隊を動員し、大陸間弾道ミサイル「火星砲-15」型を利用。不意に奇襲発射訓練を通じて、武器体系の信頼性を再確認し、検証することと同時に、共和国(北朝鮮)の核武力の戦闘準備態勢を刻み込ませ、国家の核抑止力の構想部分の正確な可動性、反応性、信頼性、効果性、戦闘性に対する確信と担保を立証することに対し、詳らかにしたということだ。これには金正恩(キム・ジョンウン)同志の直筆の数表が奉られていた。

 

 

 英雄的な戦闘命令を受けた第一赤旗英雄中隊は、2月18日午後、平壌国際飛行場で、大陸間弾道ミサイル「火星砲-15」型を、最大の射程距離システムで高角発射した。ミサイルは、最大定点高度5768.5㎞まで上昇し、989㎞の距離を4015秒(1時間6分55秒)間飛行し、朝鮮の東海(日本海)の公海上の目標水域を正確に打撃した。「優」の評価を得たのだ。

 

 朝鮮労働党中央軍事員会は、可動的で威力的な反撃準備態勢を揃えた大陸間弾道ミサイル部隊の実戦能力を、高く評価した。

 

 朝鮮労働党中央軍事委員会は、朝鮮半島地域に造成された軍事的環境に対応し、戦略的任務が生じるすべてのミサイル部隊に、強化された戦闘態勢を徹底的に維持することに対する指示を下達した。

 

 アメリカと南朝鮮(韓国)の軍事的威圧行為には看過できない。深刻化している現状においては、不意に進行する大陸間弾道ミサイル訓練は、敵対勢力に対する致命的な核反撃能力を不可抗力的に構築するためのわが共和国戦略核武力の終わりない能力の実証となるのだ。それと同時に、われわれの強力な物理的核抑止力に対する徹底した信頼性の担保となり、疑心なき明確な証となるのだ>

 以上である。

 

 米韓の圧力に対抗するため、「第一赤旗英雄中隊」なる部隊が不意打ちで、平壌北郊の順安空港から日本海へ向けて、ロフテッド方式でICBMの発射実験を行ったとしている。高度、飛翔距離、飛翔時間ともに、防衛省の発表と一致している。

 

 

悪辣な言葉が並ぶ金与正副部長の談話

 北朝鮮では今回、この発表ともう一つ、「金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会副部長の談話」を発表した。そこには、さらに詳細にICBM発射実験に関する主張が、与正氏の悪辣な言葉で述べられている。

 

<心から朝鮮半島地域の情勢を憂慮し、平和と安定を望むならば、すべての国々が国際平和と安全保障の重大な責任を持つ国連安全保障理事会において、極悪な対朝鮮敵視政策の実行機関に成り下がっているアメリカの強権と専横を、絶対に許してはならない。

 

 もしくは合法的な主権国家の自衛権を放棄させようとするアメリカとその従属勢力どもの虚弱な行為を、黙認していてはダメである。それが無駄な努力であることを思い知らせなければならないのだ。

 

 

 今回もわれわれの敵対相手どもは、根拠もなく共和国(北朝鮮)の自主権に対する露骨的な侵害行為を敢行した。

 

 昼夜、何やかの脅威に対抗するという口実を作り上げ、拡大抑止、連合防衛態勢だのと騒ぎ立て、アメリカと南朝鮮(韓国)の者どもが、朝鮮半島地域で軍事的優勢を獲得し、支配的位置を占めようという危険千万な野心と意図を露骨にしていることが、各々の地域の安定を破壊し、情勢をさらに危うくさせているのだ。

 

 

「われわれは南朝鮮の者どもを相手にするつもりない」

 アメリカは世界を欺き、朝鮮民主主義人民共和国に対して敵対的ではなく、対話の門を開いているとウソの声を張り上げ、ダイアログの時間稼ぎを行うという幼稚な窮策を放棄しなければならない。わが国家の安全を脅かす一切の行動を中止しなければならない。共和国の映像に触れようとせず自己の全盲的な安全のためとはいえ、常に熟慮していかねばならない。

 

 南朝鮮の者どもにしても、いまのようにたとえ「勇敢無双」一辺倒でアメリカに捧げても認めてもらえないという従属状態で、果てはどんな腹を立てることになるか考えてみるがよい。

 バカ者たちの眠りを覚ましてやるため、大陸間弾道ミサイルでソウルを狙おうというのではない。われわれは依然として、南朝鮮の者どもを相手にする意向はない。

 

 委任を受けて、最後に警告しよう。敵の行動の一挙手一投足を注視している。われわれに対して敵対的なことに一つ一つ反応して、非常に強力な圧倒的対応を実施していく>

 

 このように、やはり米韓による北朝鮮を想定した演習などが原因だというわけだ。

 
 
 

「太平洋にミサイル打ち込む頻度は、米軍の行動次第」

 

 だが米韓も、今回の北朝鮮のICBM発射実験を受けて19日、北朝鮮が最も嫌がるB1爆撃機を含む編隊飛行訓練を、急遽実施した。この後、22日に北朝鮮の核の脅威を想定した図上演習を、3月中旬には大規模な合同軍事演習を予定している。

 

 これらに北朝鮮が再び、猛反発するのは必至だ。そうは言っても、北朝鮮は金与正副部長が述べているように、ソウルを火の海にするのではなくて、おそらく日本海へ向けてミサイルを打ちまくるのである。そうなると、最も危険に晒されるのは日本ということになる。

 

 実際、20日朝にも、北朝鮮は日本海へ向けて3発のミサイルを発射した。

 

 さらに、金与正副部長は同日、再度の声明を発表し、その最後には予言めいたことが書かれている。

<最近、朝鮮半島地域でのアメリカ軍の戦略的打撃手段の動きが活発になっているのを、われわれははっきり知っている。

 

 われわれは、それがわが国家の安全に及ぼす影響を緻密に検討しており、直接的もしくは間接的な何らかの憂慮があると判断した時には、相応の対応に乗り出す。そのことを、この機会に改めて既定事実化しておく。

 太平洋をわれわれの射撃場に活用する頻度は、アメリカ軍の行動の性格にかかっている。情勢を激化させる特段の狂信者らに、その代償を払わせる意志に変わりがないことを、再度確言しておく>

 

 このように、日本海ばかりか、太平洋上空を越えたミサイル実験を行うことを予告している。

 

 万が一、日本国内にミサイルが撃ち込まれてからでは遅い。日本がリーダーシップを発揮し、日本海を「平和の海」にすることはできないものか。日本にとって「いまそこにある危機」は、尖閣諸島だけで十分である。

 

 

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