2月27日、国会において「共に民主党」(以下“民主党”)代表李在明議員の逮捕同意案の表決が行われ、賛成票が出席議員の過半数(149票)に達しなかったことから、逮捕同意案は否決となった。文在寅政権を支えた民主党の崩壊がはじまった…。
前編『韓国・文在寅政権を支えた民主党の結束が「大崩壊」した決定的な理由』に続き、その真相に迫っていく。

すべてが「自己都合」
李在明氏の逮捕容疑は、特別経済犯罪加重処罰法上の背任、利害衝突(利益相反)防止法違反、腐敗防止法違反、特別経済犯罪加重処罰法上の贈賄罪、犯罪収益隠匿規制法違反である。
検察によれば、李氏は城南市長時代の都市開発のうち、大庄洞事業で超過利益の扱いに関し決定権を行使し、2014年8月から今年1月までに城南都市開発公社に4895億ウォン(約510億円)の損害を与えた疑いがある。
また、側近を介して城南市や都市開発公社の情報を流すことで、民間事業者に7886億ウォンの利益を得させたと見られている。
城南市のサッカークラブ、城南FCを巡っては、オーナーを務めた2014年10月から16年9月まで、斗山建設やNAVERなど大企業4社に133億5000万ウォンの後援金を出させ、見返りに建築の許認可や土地の用途変更など便宜を供与した疑いが持たれている。
韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官は、この日の表決に先立って、李代表の犯罪疑惑を一つ一つ説明したうえで、これらの容疑は、「罪質と犯行の規模の面からして、1件だけでも拘束に値する重大犯罪」だと指摘した。
これに対し李代表は、今回の「令状の容疑内容は非常に強引だ」、「法治の仮面をかぶった政権の退行に、議員の皆さんは厳重な警告を送ってほしい」と述べて、否決することを求めた。
李在明氏は大統領選挙で不逮捕特権の放棄を公約していたが、選挙後捜査が自分に向かうと、大統領選挙3か月後には国会議員に当選し、不逮捕特権を確保した。その2か月後に党代表選に出馬し、起訴された場合には党職を離脱するという党憲までも変えた。
公約を守らず、側近が次々逮捕拘留されているにも関わらず、自分だけを守ろうとする李在明氏を心底から守ろうとする議員はどれほどいるのだろうか。
案の定、民主党主流の国会でも、李在明代表の言い分に留保をつける結果となった。
ショックを隠せない民主党
民主党は表決を控えて、議員総会などを通じて逮捕同意反対に総意を集め、「圧倒的否決」に自信を持っていた。しかし、所属議員169人全員が本会議に出席したにも関わらず、反対票は138票に留まった、棄権票などでかろうじて否決することができた。
民主党とその系列の議員は175人に上る。民主党系議員は、逮捕同意案に反対すると目されていた、国民の力、正義党、無所属議員は122人であり、これに民主党議員17人が賛成票を投じて賛成が139人となったと分析される。
民主党議員の中にはそれ以外にも、無効票や棄権票で政治的意思を示して議員が20人いた。

今回の表決結果を金振杓(キム・ジンピョ)国会議長が発表すると、議場の最後列に座っていた民主党執行部は当惑を隠せなかった。李代表は目を閉じたまま頭を後ろにそらしていた。
こうした投票結果はこれまでなかったものである。
民主党が強引に弾劾に持ち込んだ李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官の場合には179人が民主党の党論に従った。昨年9月の朴振(パク・ジン)外交部長官の解任決議案でも168人が賛成に回った。
ただ、李在明氏の逮捕同意案を巡る民主党内の立場は揺れていた。非李在明系の趙応天(チョ・ウンチョン)議員はラジオのインタビューで「逮捕同意案の否決を党論とすることに私は決然と反対する」「逮捕同意案に対して賛成を暗示する議員も少なくなかった」と述べた。
明知大学のキム・ヒョンジュン教授は「李代表体制での世論調査を見ると、民主党の支持率は下落し、李代表拘束を要求する比率もはるかに高い」「民主党議員が『李在明防弾』から抜け出すべきだという声を出したということだ」とのべた。
李在明氏は今回逮捕から免れたとはいえ、民主党にとって利益のない李在明氏防衛だったのではないか。

李在明への「不信任」
今回の国会での逮捕同意案否決で逮捕状請求は自動的に棄却された。しかし、今後柏ヒョン洞土地用途変更、サンバンウル事件などで改めて第2、第3の逮捕状が請求され可能性が高い。逮捕同意案を全て否決しても、結局法廷で裁判を受けなければならない。
今回の結果について専門家らは「李在明リーダーシップの崩壊」と分析した。
「圧倒的否決」に自信を持っていた党内から、30~37票の離反が出たことで、李代表はリーダーシップに相当な打撃を受けることになった。衝撃に陥った民主党内部では、李代表の進退をめぐる悩みも深まると見られる。
李代表はかろうじて逮捕同意案の否決に成功したが、民主党の離脱票を考慮すると、党内の掌握力は顕著に弱まる可能性がある。そして、李在明氏を守ろうと奮戦した民主党に対しても世論の離反という代償が伴うことになりそうである。

民主党は、今後ますます李在明氏を検察から守る(『防弾』)に力を入れざるを得なくなるだろう。
そうなれば、尹錫悦政権が今年の施政目標とする、年金・教育・労働改革の妨害に力を削ぐことは難しくなるのではないか。
尹政権としては、国民の力と民主党との世論支持率の差を広げ、目標とする政治に力を注ぐことができるようになるかもしれない。
検察は尹政権の下で、李在明氏に対し第2、第3の逮捕状を請求し、揺さぶりをかけるだろう。韓国の国内政治が新たな局面を迎えた瞬間である。
さらに連載記事『「結婚しない」、「南北統一は望まない」…、韓国の若者が文在寅の「反日」に付き合えなくなった決定的なワケ』では、国民の決定的な変化について詳報していく!
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