「万里の長城」の侵略

「万里の長城」の侵略
ソウルからヨボセヨ　「万里の長城」の侵略   2012.6.9 03:02 ［外信コラム, 産經新聞   　中国が「万里の長城」の長さを拡張し発表したことに韓国は歴史歪曲（わいきょく）だといって怒っている。２００９年の発表より２倍以上の長さで、東は黒竜江省牡丹江から西は新疆ウイグル自治区ハミまで約２万キロに及ぶ。韓国はこれを“歴史領土拡張”として反発している。 　韓中は近年、朝鮮半島の北に存在した古代国家の高句麗や渤海の歴史をめぐって“歴史戦争”を展開中だ。中国は「中国史の一環」と主張しているのに対し韓国は「わが民族の歴史」という。 　古代史を現在の国家とその領土意識の延長線で考え、お互い「オレのモノだ」といって争っているのだ。今回の発表では「万里の長城」の東端は中露国境に近い牡丹江にまで達しているが、これだと朝鮮半島は長城の南に位置し、すっぽり“中国の支配圏”ということになりかねない。 　高句麗は７世紀、渤海は１０世紀に滅んだ。現在の韓国・朝鮮とのつながりは依然、学術研究の範囲だが、韓国人にとっては大陸への郷愁を感じさせられる歴史だ。韓国もまた国力増大を背景に“歴史拡張”に走っている。それにしても韓国マスコミが「牡丹江」を漢字抜きの中国語発音だけで「ムダンジャン」と表記しているのは不思議だ。民族意識でいえば韓国語発音の「モランガン」じゃないのかな。（黒田勝弘）