呉氏の入国拒否 韓国は納得のいく説明を
산케이신문 2013.7.30 03:49
[主張]
韓国出身の評論家で日本国籍をもつ呉善花・拓殖大教授が明確な理由を告げられず、韓国への入国を拒否された。 呉氏は歴史問題などをめぐって、韓国に厳しい評論活動で知られる。入国拒否の理由について、韓国当局に納得のいく説明を求めたい。 呉氏によると、ソウルで行われる親族の結婚式に出席するため、27日、韓国・仁川空港に着いたところ、パスポートの詳細な確認を受け、入管職員に「入国は許可できない」と言われた。理由を尋ねても「上からの命令」などと答えるだけだったという。 しかも、夕刻の日本行きの便まで待機させられ、その機内で呉氏が着席するまで職員がついてきたという。理解に苦しむ対応だ。 韓国に批判的な呉氏の言論活動が入国拒否の理由だったとすれば、由々しき問題である。 韓国は中国や北朝鮮と違い、自由な言論を尊重しなければならない民主国家だ。どんな批判でも、それがテロなど危険な行為を伴うものでない限り、許容し、入国を認めるべきではないか。 本紙の取材に、入管当局は「プライバシーに関することで回答できない」と語ったが、説明として不十分だ。菅義偉官房長官は「思想信条を理由に入国を拒否されたのであれば、日本国民に対する極めて残念な措置だ」「事実関係を把握した後、適切に対応する」と述べた。当然である。韓国は一昨年、当時野党だった自民党の国会議員3人が竹島に近い鬱陵(うつりょう)島を視察しようとした際も、「公共の安全を害する行動を起こす恐れがある」として、ソウルの空港で入国を拒否した。入管当局は入国目的も聞かず、いきなり不許可を告げた。これも著しく礼を失した対応だった。 また、ソウルで28日に行われたサッカー東アジア・カップ男子の日韓戦で、韓国側応援団が「歴史を忘れた民族に未来はない」と日本を誹謗(ひぼう)する横断幕を掲げた。韓国政府の意向ではないにしても、国際的なスポーツ競技でのマナーに反する行為である。 日本と韓国は、歴史認識や領土問題で対立しても、北朝鮮の核開発や中国の軍拡など安全保障面では協力しなければならない関係にある。経済的なつながりも深い。日本と同じ自由と民主主義を重んじる隣国として、韓国には冷静で理性的な対応を望みたい。
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