「桜の起源は韓国」に中国参戦 「起源は中国。広まったのは日本。韓国は何の関係もない」
近年、春を迎える度に、一部の韓国メディアによって「桜の起源は韓国」との主張が繰り返されている。今年は桜の原産地どころか、「花見」も韓国の文化という暴論が出現したようだが、案の定、日韓の論争に中国が「歴史」を掲げて割り込んできた。(北京 川越一、写真も)
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広東省の地元紙、南方都市報(電子版)によると、中国桜花産業協会の何宗儒会長は3月末、広州市で開いた記者会見で「桜の真の発祥地は中国だ。日本の権威ある桜の専門書も、それを証明している」と述べ、桜の起源について「日韓両国とも資格がない」と主張した。
何会長が中国起源説の根拠としているのは、1975年に日本で出版された桜の専門書「桜大鑑」。その中に、「桜の原産地は中国で、日本の桜は中国のヒマラヤ山脈から伝来した。その時期は唐の時代だった」との記述があるという。
中国植物学会植物園分会の張佐双理事が同紙に語ったところでは、桜の野生種は世界中で約150種存在し、そのうち50種以上が中国で確認されている。サクラ属の野生祖先種約40種のうち、33種が中国原産だという。
何会長は日韓の論争への“参戦”の理由について、「日韓と争いたいのではなく、事実を述べる必要がある。多くの歴史資料が、桜の起源が中国にあると示している。中国人として、この歴史をより多くの人々に知らせる責任がある」と述べている。
ただ、歴史認識で韓国と対日共闘姿勢を取っている中国にあって、桜論争については様子が違う。韓国メディアは「ソメイヨシノの原産地は韓国済州島であり、花見も韓国の文化だ」とうそぶいているが、何会長は「簡単に言うと、桜は中国を起源とし、日本で大々的に広まった。韓国は何の関係もない」と韓国の主張を一蹴している。
中国としては、ソフトパワーとしての日本の桜文化を、ある程度認めているようだ。在上海日本総領事館の統計によると、3月に中国人に発給した観光ビザは過去最多の14万6千件。買い物に加え、「花見」をするために日本を訪れているとみられている。
中国にも桜の“名所”はある。たとえば北京市内の玉淵潭公園。北京市観光局によると、約140ヘクタールの敷地の一部に設けられた25ヘクタールの「桜園」には、ソメイヨシノや山桜、八重桜など約2千本の桜が植えられている。清明節の5日、同公園は散りゆく桜を愛でる市民でごった返していた。
同公園の桜は「1973年の春、北海道の山のふもとに植えられてあった180の桜が日中友好の記念として中国に贈られた」のだという。近年の中国での桜人気は、いわば日本から“逆輸入”されたもの。ネット上に掲載された青森県弘前市の桜の写真に「絶対に一度は行ってみたい」との声が挙がるように、中国人観光客にとって日本の桜は憧れとなっている。
中国のネット上では、東京・上野公園に「花見のマナー」に関する中国語の看板が設置されていると伝えられている。在日本中国大使館も、花見に日本を訪れる中国人観光客に「木に登ったり、枝を折ったりしないように」などと、マナー順守を求めたとされる。
何会長は「(桜の)起源として、さらに多くの中国人に桜を理解し、桜を観賞してほしい」と望んでいる。ただ、いくら中国が起源とアピールしても、「桜=日本」という中国人観光客の印象を変えるのは難しそうだ。
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