中國, 韓.中關係

中国が軍事力増強を続ける理由

이강기 2015. 10. 17. 16:23

中国が軍事力増強を続ける理由

 

 

 

 


 

 

    小原凡司 (おはら・ぼんじ)  東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官

 

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’sを経て、13年1月より現職。

チャイナ・ウォッチャーの視点

めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリストや研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。執筆者は、富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)、城山英巳氏(時事通信社中国総局特派員)、平野聡氏(東京大学准教授)、森保裕氏(共同通信論説委員兼編集委員)、岡本隆司氏(京都府立大学准教授)、三宅康之氏(関西学院大学教授)、阿古智子氏(早稲田大学准教授)。(画像:Thinkstock)

 

 

2014年11月10日、2年半振りとなる日中首脳会談(主席との会談は3年ぶり)が行われた。しかし、この会談をもって日中関係が改善したかのような錯覚を覚えるのは危険でもある。首脳会談の実施は、日中の政治関係が当面の間は改善しないという中国の認識に基づくものでもあるからだ。中国は、日中関係の根本的な改善が見込めないからこそ、首脳会談を実施することによって、中国が必要とする協力や危機回避のための各レベルの対話をできるようにしたのである。

(画像:iStock)

 

 中国も日本との軍事衝突は避けたいし、協力できる部分は協力したい。中国にとって、日中関係は米中関係でもある。日中首脳会談は、そのために日中関係改善の素地を整えるものだ。しかし一方で中国は、歴史認識や領土問題で日本に譲歩できるわけではない。日中関係が改善するかどうかは、これからの日中双方の行動にかかっていると言える。

 

 中国は、現在でも、日本に対して、中国が言う「正しい歴史認識」をし、領土問題の存在を認めるよう圧力をかけ続けている。その最たるものが、人民解放軍を用いた対日牽制のための行動だろう。

 

中国海軍艦艇が尖閣諸島に接近

 12月中旬、それまで尖閣諸島の北方200キロメートル付近の水域に常駐していた中国海軍の艦艇2隻が、突如、ジグザグ航行や方向転換を繰り返しながら、尖閣諸島沿岸から70キロメートルまで近接した。

 

 日本の報道は、複数の中国軍関係者の話として、「党中央海洋権益維持工作指導小組」のメンバーが無線やテレビ電話を使って現場の軍艦や監視船に指示していると述べている。「党中央海洋権益維持工作指導」とは、日本政府が尖閣購入を決めた直後の2012年9月に共産党内に新設された組織で、習近平主席がトップを務める。

 

 一方で、海軍の行動も総参謀部の所管である。もし「党中央海洋権益維持工作指導小組」が直接命令するとすれば、新たな多重指揮系統が問題になるだろう。しかし、基本的にはこの新たな組織が持つのは海洋に関する組織間の調整機能である。

 

 今回の、中国海軍艦艇の尖閣諸島接近は、「政治的必要性から海軍が行ったもの」ではないかと言われる。「政治的必要性」とは、2014年に初めて国の記念日とされた「南京大虐殺記念日」に呼応して行動する必要性のことだ。

 

 当然、中国には、日本政府に対して領土問題の存在を認めるよう圧力をかける意図がある。しかし、なぜ12月なのかを考えたとき、歴史認識の問題を抜きに適当な理由は得られない。また、領土問題と言っても、尖閣問題は、中国では歴史問題に深く関わっている。

 

さらに、中国の研究者たちに、中国が言う「日本の右傾化、軍国主義化」の意味を問い質すと、議論は常に「安倍首相の歴史認識」に行き着く。日中政治関係は歴史認識問題にその根があると言っても過言ではない。この意味において、日中政治関係が簡単に改善することは難しいのだ。

 

防空識別圏の監視能力構築を目指す

 しかし、一方で、中国人民解放軍の活動が全て政治的な動機によるものだとは限らない。中国人民解放軍は、習近平主席の「戦える軍隊になれ」という号令の下、軍の本分である交戦能力を向上させる努力を始めている。中でも、党中央の支持を得て2013年末から進められている空軍力増強には注目すべきだ。

 

 中国は、東シナ海の浙江省南麂列島において、軍事拠点の建設を開始した。南麂列島は、尖閣諸島の北西約300キロメートルに位置する52の島から構成される。軍事施設が建設されているのは、その中で最大の南麂島で、面積は7.64平方キロメートルだ。

 

 中国の報道によれば、南麂島には既に最先端のレーダーが設置されており、ヘリ・スポットが修復されている。また、早ければ2015年には、南麂島或は近隣の島に、滑走路の建設も開始されるという。

 

 中国が、現段階で、尖閣諸島獲得のために軍事力行使を意図しているとは考えられないが、軍事力増強を進めていることは事実である。そして、そのことが、特にアジア地域における中国の影響力拡大につながることは間違いない。

 

 現在、中国にとって焦眉の急は、東シナ海に設定した防空識別圏の監視能力の構築である。日米軍用機の活動に対応する必要があるからだ。最先端のレーダーの設置はこの目的に合致する。

 

 中国は、防空識別圏における監視能力の低さを自ら暴露してしまっている。2013年11月28日、中国空軍の申進科報道官は、「中国空軍は早期警戒機(KJ-2000)1機とSu-30やJ-11など主力戦闘機数機を出動し、中国の東シナ海防空識別圏でパトロール任務を遂行した」と述べている。

 

 しかし、通常、戦闘機は防空識別圏のパトロールには使用しない。緊急発進できる態勢を整え、必要に応じてスクランブル対応をとるのが普通である。そのためには、防空識別圏内の目標識別が実施でき、その情報を部隊と共有し、スクランブル発進する能力を有していなければならない。中国にはこうした能力が欠如しているために、戦闘機によるパトロールを実施しなければならないと考えられているのだ。

 

広い防空識別圏内の飛行体を探知するためには、まず強力な監視能力が必要である。中国は、2014年11月の珠海航空ショーにおいてKJ-2000を外国メディアに公開したが、それは、自らの空中監視能力を誇示したかったからだろう。しかし、中国の現有装備で東シナ海防空識別圏を有効に監視することはできない。中国は、今後とも、レーダー・サイトや空中警戒管制機の整備を進めることになる。

 

「中国には、アテネのような好戦的な遺伝子はない」

 こうした中国の軍事力増強の動機は自国の安全保障であり、アジアにおける米国の軍事プレゼンスに大きく関係している。ただ、中国の安全保障は、単に現状を守ることに止まらない。中国は台頭しつつある大国なのだ。ここに、対中関係の難しさがある。

 

 台頭する大国と既存の大国との間の相互不信と、それに基づく相互過剰反応が軍事衝突を引き起こす状況は、古くはギリシャ時代から見られるものである。「ツキディデスの罠」とも呼ばれる、新興大国アテネと既存の大国スパルタを中心とする両陣営の戦争に至る経緯がそれだ。

 

 実際、習近平主席は、2014年1月に、「日中関係は、『ツキディデスの罠』に陥ってはならない」と述べている。日本をスパルタ、中国をアテネになぞらえたものだ。その上で、「中国には、アテネのような好戦的な遺伝子はない」と述べている。

 

 しかし、中国は経済発展を止めることはできない。所得分配の不平等さを示すジニ係数を見れば、中国の経済格差は既に危険水域をはるかに超えている。それでも、既得権益を完全に破壊できない以上、国内の富の再分配は限定的である。低所得者の所得を向上させるためには、中国の経済規模を拡大しなければならないのだ。

 

 中国政府系シンクタンクの研究者は、「『中国の夢』とは、歴代王朝と同等の経済規模を回復することだ」と言う。そして、「同等の規模」とは、世界のGDPの四分の一を占めることだと言うのである。

 

 問題は、世界経済の発展速度が中国経済の発展速度にはるかに及ばないことだ。中国が自らの夢を追求することは、他国の経済規模を侵食することにもつながる。米国を始めとする既存勢力は、これを許さないだろう。米国が、中国の軍事的意図に対する警戒を解くこともない。

 

 一方の中国は、中国の発展を妨げようとする米国に対抗する必要を感じている。中国の安全保障は、その発展をも保障するものでなければならないのだ。中国の理想は、中国の発展を妨害する米国の軍事的影響力を、地域から排除することだろう。

 

 米中両大国が過去の戦略的対立を基調とした大国関係とは異なった関係を築けるかどうかは、極めて難しい問題である。日中両国が歴史認識の問題を克服して相互信頼を築くこともまた難しい問題だ。しかし、軍事衝突は避けなければならない。難題であっても、各国は相互不信を克服する努力を継続する必要がある。