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米中の間で揺れる韓国 - 世論調査から見る対中認識

이강기 2015. 10. 31. 17:03

米中の間で揺れる韓国

 

世論調査から見る対中認識

 

 


 

 
江口由貴子 (えぐち・ゆきこ)  防衛省防衛研究所研究員
 

 

2007年慶應義塾大学総合政策学部卒、09年同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2013年、韓国延世大学大学院政治学科修士課程修了。2010年より2012年まで外務省在韓国日本大使館勤務を経て、2013年より現職。専攻は日韓関係、韓国の外交安保政策。

韓国の「読み方」

(写真:アフロ )

 

 

2014年7月、韓国アサン政策研究院が発表した報告書『北東アジアの秩序と韓中関係の未来:競争と協力の間』(韓国語)(“South Korean Attitudes on China”(英語版))は、韓国国民の対中認識を知る上で一つの手がかりとなる。

 

 巷では、現在の中韓関係が、国交正常化以降最も良好な関係を築いていると言われるが、韓国外交は同盟国である米国と、協力パートナーシップを掲げる中国との狭間で揺れ動いている。同報告書は、1.韓国人の対中認識、2.中国の脅威に対する韓国人の認識変化、3.文化協力と中韓関係に分け、各分野関連項目に関する世論調査を行い、まとめたものである。同報告書の内容を紹介しつつ、東アジア地域で展開される米中の外交ゲームを韓国はどのように見ているのか、中国の何にどれほど脅威を感じているのか、考えてみたい。

 

 同じく、同研究院が今年4月に発表した報告書『韓米関係の挑戦と課題:韓米関係と北東アジアにおける米国の役割に対する韓国人の認識』(韓国語)(“South Korean Attitudes on the Korea-US Alliance and Northeast Asia”(英語版))は、米韓同盟が直面する課題と、北東アジアにおける米国及び中国の役割に対する韓国の評価などが含まれており、韓国の米中関係に対する見方を理解する上で役に立つため、こちらも参考にする。(これら報告書は全てhttp://asaninst.org/で閲覧可能)

 

※世論調査の概要:毎年行われる年次調査は、民間世論調査会社に委託し、1500名~2000名の成人男女を対象に、電話調査及びオンライン調査によって実施。その他、各イシュー別に1000名の成人男女を対象に定期世論調査を実施している。

中国は競争相手か?協力相手か?

 同研究院が毎年(2013年以降は毎月)実施している国別好感度に関する世論調査の結果をみると、米国が平均して5点台という最も高い好感度を維持していることは想像に難くないが、次いで中国に対する好感度が高いことは注目に値する。2011年から2012年にかけて中国の好感度は3点台にとどまったが、それ以降着実に上昇しており、直近の調査では5点台に逼迫している。

 

 2013年はじめの調査では、中国を「競争相手」とみなす人と「協力相手」とみなす人の割合は半々であった。しかし2013年の中韓首脳会談後、中国を「協力相手」としてみる傾向は強まり、2014年6月時点では全体の約60%を占め、競争相手とみなす割合の32%を大きく上回っている。現在韓国では、中国を競争相手としてではなく、協力の対象としてみる国民が圧倒的に多いことがわかる。

 

 

 

中国の安全保障上の脅威に対する韓国人の認識

 

 しかし中国を協力の対象として認識する一方で、安全保障上の脅威とみなす人は全体の66%を占めている(図3)。前述内容と矛盾するようだが、これが韓国の現実なのだろう。興味深い点は、2012年に実施した同じ調査では、73%の人が脅威とみなしていたことに比べると、2年間で約10%低下している点である。

 

 

 

 

 この背景を理解する上で、近年の中国と北朝鮮の関係を振り返る必要がある。韓国は、中国の北朝鮮に対する姿勢や政策を、常にそして静かに観察しているのである。報告書でも指摘されているとおり、韓国が中国を安保上の脅威としてみなすか否かは、北朝鮮問題と大きく関わってくる。図4は「朝鮮半島で有事が起きた際に、中国が北朝鮮を支援するために介入してくると思うか」という質問に対する回答である。2011年には72.1%の人が「北朝鮮を支援するために介入してくる」と答えたにもかかわらず、2014年には34.9%にまで低下している。中朝関係と、韓国の対中安保脅威認識は比例の関係にあることが読み取れる。

 

 

 

 

 一例を挙げてみたい。2010年、北朝鮮は韓国に対して2度の軍事挑発を行った。「天安」艦沈没事件では46名の韓国兵士が犠牲になり、延坪島砲撃事件では2名の兵士と2名の民間人が犠牲になった。この二つの事件に対し、中国が北朝鮮の肩を持ったことは、韓国国民の対中感情悪化に影響を与えたであろう。

 

 

 

 「天安」艦沈没事件後、国連安保理の場で北朝鮮に対する議長声明が全会一致で採択された。しかし韓国の要求に反して中国は、北朝鮮を名指しで非難することや謝罪を求めることに反発したため、結果としてこれらは議長声明に反映されなかった。対抗措置として韓国政府が北朝鮮に対して行った経済制裁措置(5.24経済制裁措置)にも中国は協力しなかった。延坪島砲撃事件の例では、砲撃事件の翌週に米韓両軍が西海で合同軍事演習を実施したが、演習に先立ち中国政府は、同演習が北朝鮮を刺激しかねないとして正式に反対を表明してきた経緯がある。

 

 

 

 このように、中国が北朝鮮を擁護する姿勢をとったことで中韓関係は悪化し、結果として2011年から2012年まで中国に対する不信感や脅威認識が高まったといえよう。

 

 

 

しかし、習近平体制発足以降、中国は韓国との関係強化に力を入れ、韓国もまた李明博政権で悪化した中韓関係を改善しようと朴槿恵大統領は中韓関係の発展に力を入れてきた。一般的にしばしば指摘されるが、両国の経済関係の進展が、韓国の対中認識変化に多大な影響を与えたことは間違いないだろう。昨年、韓国の経常収支黒字は799億ドルで史上最高値を記録したが、このうち70%の556億ドルを中国との交易で獲得している。以下のグラフを見てもわかるとおり、韓国の対外貿易は中国なしには語れない。

 

 

 

 

「中国は朝鮮半島統一を望んでいない」

 

 2013年2月の北朝鮮による第3回核実験に対し、中国はこれを強く批判した。前述の政権交代に伴う関係転換期とも重なり、これは韓国の対中不信を和らげ、北朝鮮の核問題における中国の役割を期待する向きが高まった。「韓中の指導者がとりくむべき事案は何か」という質問に、53.6%が北朝鮮の核問題を挙げている。また北朝鮮の核問題解決において主導的役割を果たすべき国家として、34.3%が中国と答えた。これは韓国(33.7%)という回答と同程度で、米国(22.5%)より高い。

 

 

 

 統一に関しては、「中国が北朝鮮を緩衝地帯とみなしている」という認識が韓国では一般的であることが明らかになった。「中国は統一を望んでいない」という意見が70%にも達する背景は、かかる認識に基づくものなのかもしれない。地政学上の構造的関係や、そこから派生する不信感は、経済関係や指導者間の友好関係の強化をもってしても克服しがたい。一方で「朝鮮半島の統一に中国の支援が必要である」と考える人の割合は82.4%にのぼり、北朝鮮問題で中国といかなる形で協力できるか韓国の迷いが見受けられる。

 

 

 

地域情勢安定は米国頼み

 

 「戦争が起きたら米国が助けてくれるだろう」という回答は89.7%で、大部分の人は米国を代替できない同盟国として認識していることがわかる。韓国では、時の政権による程度の差こそあれ、基本的に米韓同盟が重要であることに異論はない。以下の表からわかるように、安全保障の面では中国よりも米国との関係強化を選択する傾向が強いが、それでも中国との安保協力を選択する国民が約3割いることは、決して少ないとは言えないだろう。

 

 

 

 

 今年6月にCSISが発表した報告書“Power and Order in Asia―A Survey of Regional Expectations”は、アジア太平洋地域11カ国(豪州・ミャンマー・中国・インド・インドネシア・日本・シンガポール・韓国・台湾・米国・タイ)の国際関係に精通した専門家を対象に、地域秩序に関する評価や予測について調査し、その結果を分析したものである。同報告書では、韓国の専門家の86%の人が、「10年後の韓国にとって最も重要な経済パートナーとなる国は中国」であると予想している。また、同じく8割以上の人が、「10年後の東アジアにおける秩序の変動に関し、引き続き米国の強いリーダーシップが維持される」と予測している。一見矛盾するようだが、これが韓国人の描く地域秩序と自国の関係なのではないか。

 

 

 

 後者の予測は、他国の専門家による予測と比較した場合、総合的な国力として米国のリーダーシップ維持を予測する回答者の割合が最も高かった国が韓国であり、これは同国が、引き続き米国主導の地域秩序を期待していることの表れであると筆者は考える。現時点で韓国は、安全保障と経済分野において米中の戦略的活用を分けているものの、中国は機会を捉えて韓国を「試し」ている。たとえば、安全保障分野では、米国が進める地上配備型のターミナル段階高高度地域防衛(THAAD)の韓国国内への配備に反発し、経済分野では中国が推進するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への韓国の参加を要請するなど、韓国への揺さぶりをかけている。

 

 

 

中国の経済的浮上と脅威

 

 では、韓国にとって中国の脅威とは何か。2000年代初め、中国の経済成長に対する韓国人の認識は肯定的であった。2006年の調査では、58.5%の人が中国の経済力強化に肯定的であると回答し、40.8%は否定的な見方を示した(図6参照)。しかし2012年には52.7%が「中国が韓国経済と雇用を脅かす」と答え、43.5%が「中国の発展が新しい市場と投資の機会をもたらす」と答えた。この時期、肯定的な見方と否定的な見方の割合が逆転している。そして2014年の調査では、中国を経済的脅威と見なす割合が71.9%と大きく増加した。2008年に北京オリンピックを開催し、2010年には日本のGDPを抜いて世界2位の経済大国に躍り出た中国を、その隣の国は間近に迫った経済的脅威として認識してきた。

 

 

 

 

 経済的脅威となる具体的な懸念要素は何か。中国を経済的脅威とみなすと回答した人にその理由を聞くと、43.6%が「中国と韓国の技術格差が縮まり、競争が激化したため」と答えている。続いて、32.9%は「中国の安い労働力の影響で、韓国の雇用が減少するため」と答えた。「中国産製品の価格競争力が高いため」は18.6%であった。

 

サムソンを追いかける小米(シャオミ)

 

 中国の年間研究開発投資額は2010年に既に韓国の約3倍となり、特許出願件数・科学論文の数も各々韓国の2倍、4倍であるという。両国の技術格差が縮まるのも時間の問題である。

 

 

 

 技術格差の追い上げを懸念する理由は、両国の主要産業が類似しているためである。両国の主要輸出品目は、携帯電話、半導体、精密機械、貨物船、石油製品、携帯電話部品など品目が重なっている。これらは、韓国が得意分野とし、韓国経済にとって大きな比重を占めてきた電子、化学、造船分野に該当する。サムソンを代表とする韓国の電子産業は、これまで部材を中国に輸入し中国を製造拠点として海外に輸出を行ってきたが、中国企業の成長と、自国産業を育成しようとする中国の動きによって、両国の企業が競合する状況になってきたのである。

 

 

 

 現に、中国企業の小米(シャオミ)はサムソンの競合企業として浮上し、中国市場ではサムソンを抜きシェア1位に躍り出た。近年、中国政府が外国人投資企業に対する恩恵を縮小したり、外国企業に対する法人税の優待を廃止したことも、自国企業の保護を目的としたものであろう。世界市場でこれまで韓国企業が占めてきた分野も、中国企業の躍進により浸食されていく傾向にあり、こういった現実が韓国人の経済的脅威となっている。

 

 

 

米国よりも中国と価値観を共有している?

 

 価値観の共有に関する質問の結果は予想外であった。「中国人と韓国人が価値観を共有していると思うか」という質問に対し、32.5%が「共有している」と回答し、64.4%が「価値観が異なる」と答えた。他方、米国と価値観を共有しているという回答は24.2%で、中国より低い結果が出ている。米国に比べ、中国とより価値観を共有しているとの認識には驚いたが、しかし見方によっては、半数以上の人が「中国とは価値観が異なる」と考えていることから、習近平主席と朴槿恵大統領が目指す「中韓人文紐帯」の強化には相当なハードルが存在することを示唆していよう。

 

 

 

 中国のアジアにおけるリーダーとしての役割については、35.9%が肯定的と答え、55.4%が否定的と回答した。アジアにおける中国のリーダーとしての役割については、半数以上の韓国人が否定的にとらえており、地域秩序全体の指導者としての役割は期待していない。

 

米国と中国は、「生存」と「発展」

 

 習近平体制発足以降、韓国が中国に対して抱く安保脅威は低下しつつある。これは中国の北朝鮮に対する姿勢の変化、2013年2月の第3次核実験、「天安」艦沈没事件や延坪島砲撃事件のような大規模な軍事挑発が起きていないこと、中韓貿易量の急増などがその背景に挙げられる。韓国の中国に対する好感度も米国に続き高いが、かといって中国に対する不信が払拭されたわけではない。依然として半数以上の韓国人が中国を軍事・経済的脅威とみなしており、中国の韓国に対する歩み寄りを半信半疑でみている。

 

 

 

 先日ソウルで会ったある研究者は、韓国にとっての米中を次のように表現した。「韓国にとって米国と中国は、『生存』と『発展』である。したがって、『発展』はもちろん重要だが、そのために『生存』を犠牲にすることはない」と。前述した中国と韓国企業の技術格差の縮小に伴う懸念のみならず、脱北者問題、中国による不法漁業問題、FTA交渉など、中国と韓国は潜在的な問題を多く抱えている。韓国の政策選択は今後一層困難を増すであろう。