丸山和也参議院議員の差別的発言が国会で問題視されています。丸山氏は一連の発言の中で、日本が米国に吸収されるというとんでもないたとえ話も披露していますから、失言をしやすいタイプの議員といってよいでしょう。これまでも多くの政治家が失言を行い、場合によっては政局を動かす原因にもなってきました。過去の政治家による失言を振り返ってみることで、政治のひとつの側面を知ることができるかもしれません。
丸山和也参議院議員の差別的発言が国会で問題視されています。丸山氏は一連の発言の中で、日本が米国に吸収されるというとんでもないたとえ話も披露していますから、失言をしやすいタイプの議員といってよいでしょう。これまでも多くの政治家が失言を行い、場合によっては政局を動かす原因にもなってきました。過去の政治家による失言を振り返ってみることで、政治のひとつの側面を知ることができるかもしれません。
「ナチスの手口に学んだらどうかね」
失言が多いことで有名な政治家といえば、近年では麻生太郎副総理の右に出る人はいないでしょう。麻生氏は2013年、憲法改正をめぐって「ナチスの手口に学んだらどうかね」と発言し、撤回に追い込まれました。世界でもっとも民主的といわれたワイマール憲法を有名無実化したナチスのように、こっそりと憲法改正を進めればよいという意味に受け取られかねませんから、これは完全に失言といってよいでしょう。
麻生氏はこのほかにも、日本と中国の価格差について「アルツハイマーの人でも分かる」、「医師には社会的常識が欠落している人が多い」「金がないなら結婚しない方がいい」、終末期医療について「さっさと死ねるようにしてもらわないといけない」など、数多くの失言記録を持っています。勢い余って言ってしまったというパターンが多く、見方によっては多少ユーモラスなものもあります。
「あの子、大事なときには必ず転ぶ」
森元首相も失言が多いことで有名です。フィギア・スケートの浅田真央選手について「あの子、大事なときには必ず転ぶ」と発言し、多くの国民の顰蹙を買いました。また首相時代には「日本は天皇を中心とした神の国」と発言。最終的にはこれが内閣支持率の低下にまでつながり、森内閣は解散に追い込まれています。
ちなみに森内閣は、e-Japanという壮大なIT戦略を実施した内閣でもあるのですが、森氏はIT革命のことを「イット革命」と説明し、皆の爆笑を誘ったこともありました。また小泉政権当時、缶ビールの缶を握りしめ、小泉氏の説得に失敗したという芝居を行って党内を翻弄するなど一流役者としての側面もあります。森氏の場合には、どこまでが計算で、どこまでが本気なのかよく分からない部分があるのが特徴といってよいでしょう。
「最後は金目でしょ」
石原伸晃氏。経財相就任にあたって失言を心配する声が出たとも言われている(ロイター/アフロ)
金銭スキャンダルで辞任した甘利経財相の後任大臣となった石原伸晃氏も失言が目立つ政治家です。党内からは経財相就任にあたって失言を心配する声が出たとも言われています。石原氏は、福島原発事故に伴う中間貯蔵施設の建設をめぐり「最後は金目でしょ」と発言し、福島県知事らに謝罪する羽目になりました。
また、テレビ出演した際に生活保護を「ナマポ」と言ったり、社会保障費削減の話に絡めて尊厳死について言及するなど「軽さ」があるのが特徴です。自民党の幹事長でありながら「総裁を支えるためにやってきたわけではない」と言い放ち、すぐに撤回したこともあります。
石原伸晃氏。経財相就任にあたって失言を心配する声が出たとも言われている(ロイター/アフロ)
政治家失言暴言録(2)「黒人は知能が低い」
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「黒人は知能が低い」
米国の人種差別問題については、実は過去にも何度か政治家が失言しており、一部は国際問題に発展しています。中曽根康弘元首相は1986年、「黒人は知能が低い」という趣旨の発言を行って大問題となりました。
日本の国際的な地位は今よりずっと高く、要人による発言は世界も注目していました。中曽根氏の発言は米国で非難の的となり、日系企業には抗議の電話が殺到。米国の主要紙には意見広告が掲載されました。その2年後、渡辺美智雄元副総理も「黒人は破産することなど何とも思わずアッケラカーのカーだ」と発言してやはり問題となっています。
中曽根氏は弱小派閥出身であるにもかかわらず長期政権を実現した名総理ですが、失言の多さもトップクラスです。日米安保に関連し「日本は米国にとっての不沈空母」と発言し国会で問題となったこともありましたし、広島を訪れた際、入院している被爆者と面会し「病は気から」と発言し、被爆者の怒りを買ってしまいました。励ましのつもりだったことは間違いないでしょうが、勢い余って言ってしまうという点では麻生氏と近い部分があるかもしれません。
渡辺氏は中曽根氏を上回る失言の多さなのですが、栃木弁を駆使した漫談風のしゃべり方のせいなのか、それほど問題視されることはありませんでした。当時、中国は今よりもずっと貧しく、渡辺氏は「中国の山西省あたりでは穴を掘って住んでいる人がたくさんいる。それは政治が悪いからだ」と発言し問題となりました。
これは上から目線の発言ということになりますが、その是非はともかく、当時の日本は政治的・経済的にかなり余裕があったことが分かります。「公平・公正ばかり言っていると、金持ちや、優良企業は外国に逃げてしまう。貧乏人ばかり残って粥(かゆ)でもすすって暮すのか」と爆弾発言を行ったこともありました。
かつての政治家は、よい意味でも悪い意味でも豪快な人が多く、話題には事欠きませんでした。1984年には自民党本部が放火された事件がありましたが、パフォーマンス好きで知られたハマコーこと浜田幸一衆議院議員はテレビを意識してか陣頭指揮に立っていました。それを見た住栄作法相(当時)は「マッチポンプ(自分で付けた火を自分で消しているという意味)だ」と発言。怒った浜田氏はその場で住氏を平手打ちするという「事件」を起こしています。今なら大問題かもしれませんが、当時はお互いやり過ぎたということで、仲直りしたようです。ちなみに浜田氏は日本共産党のドンといわれた宮本顕治氏について「人殺し」と発言し物議を醸したこともあります。
(The Capital Tribune Japan)
渡辺氏は中曽根氏を上回る失言の多さなのですが、栃木弁を駆使した漫談風のしゃべり方のせいなのか、それほど問題視されることはありませんでした。当時、中国は今よりもずっと貧しく、渡辺氏は「中国の山西省あたりでは穴を掘って住んでいる人がたくさんいる。それは政治が悪いからだ」と発言し問題となりました。
これは上から目線の発言ということになりますが、その是非はともかく、当時の日本は政治的・経済的にかなり余裕があったことが分かります。「公平・公正ばかり言っていると、金持ちや、優良企業は外国に逃げてしまう。貧乏人ばかり残って粥(かゆ)でもすすって暮すのか」と爆弾発言を行ったこともありました。
かつての政治家は、よい意味でも悪い意味でも豪快な人が多く、話題には事欠きませんでした。1984年には自民党本部が放火された事件がありましたが、パフォーマンス好きで知られたハマコーこと浜田幸一衆議院議員はテレビを意識してか陣頭指揮に立っていました。それを見た住栄作法相(当時)は「マッチポンプ(自分で付けた火を自分で消しているという意味)だ」と発言。怒った浜田氏はその場で住氏を平手打ちするという「事件」を起こしています。今なら大問題かもしれませんが、当時はお互いやり過ぎたということで、仲直りしたようです。ちなみに浜田氏は日本共産党のドンといわれた宮本顕治氏について「人殺し」と発言し物議を醸したこともあります。
(The Capital Tribune Japan)