韓国側、破棄の理由は「ホワイト国除外で環境変化」「国益に合致せず」
【ソウル=豊浦潤一】韓国大統領府は22日、国家安全保障会議(NSC)の常任委員会を開き、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。24日の更新期限までに、外交ルートを通じ、日本側に通知するという。韓国人元徴用工問題に端を発した日韓関係の悪化は輸出手続き厳格化を巡る経済分野から、安全保障協力にも拡大した。
韓国側によるGSOMIAの破棄で、短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返している北朝鮮の核・ミサイル情報の共有への影響が懸念される。
NSC終了後、国家安保室の
金次長は破棄の理由について、日本政府が今月2日、輸出手続き簡略化の優遇措置を受けられる「グループA(ホワイト国)」から韓国を除外する政令改正を閣議決定したことを挙げ、「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらしたと評価した」と説明した。
その上で、金次長は「このような状況で、安保上敏感な軍事情報交流を目的に締結した協定を持続させることは、韓国の国益に合致しないと判断した」と語った。
大統領府関係者によると、
日韓GSOMIAについて米国は、北朝鮮の核・ミサイルに日米韓の3か国で連携して対処するとの立場から、「我々の共同防衛において鍵となるものだ」(エスパー米国防長官)として、継続を支持する立場を明確にしていた。22日のNSCに先立ち、訪韓中の米国のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表は
日韓の間では、文氏が今月15日の光復節の演説で「日本が対話と協力の道へと進むならば我々は喜んで手を取る」と対日批判を抑えたことを受け、好転するとの観測もあった。韓国政府関係者は22日、北京市郊外で21日に行われた日韓外相会談で「日本の態度に変化がみられなかった。日本は(韓国側の)外交的な努力に応えなかった」とし、今回の破棄決定に影響したとの見方を示した。