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文在寅の大誤算、検察に圧力の法務部長官に悪評紛々

이강기 2020. 11. 25. 15:56

文在寅の大誤算、検察に圧力の法務部長官に悪評紛々

 

支持率や政権運営に悪影響、もはや「法務部長官の解任」しかない

 

武藤 正敏(元在韓国特命全権大使)

2020.11.24(火)

JB Press

韓国の文在寅大統領(左)と秋美愛法務部長官(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 

 

 

 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、政権の優先課題に「検察改革」を挙げ、その推進役として尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長を任命した。任命式の席上、文在寅氏は「生きている権力の顔色をうかがうな」と述べ、分け隔てなく捜査せよと指示した。しかし尹総長が指揮する検察が、文大統領の腹心・曺国(チョ・グク)前法務部長官を起訴し、政権の不正に関する捜査を手掛けるようになると、コロッと態度を転換、文在寅氏は尹総長と対立するようになった。

 

 尹総長率いる検察の独走を苦々しく思った文在寅氏は、与党「共に民主党」の代表をした秋美愛(チュ・ミエ)氏を法務部長官に任命した。秋長官の強力な政治力で検察を抑え込みたいとの思いからであった。

 

 秋長官はその期待に応え、検察幹部を総入れ替えし、捜査を指揮してきた幹部は釜山や済州島などの地検に異動させる一方、文在寅氏に近い人物を青瓦台や与党関係者の捜査担当に任命して、事件のもみ消しをはかった。

 

 秋氏が行使したのは人事権ばかりではなかった。4カ月で3回も捜査指揮権を発動し、尹総長を事件の捜査から手を引かせた。秋長官が指揮権発動の根拠として主張しているのは、「検事及び捜査課に対する不正事実の報告を受けながら、尹総長は徹底した捜査を行わなかった」ということ。しかし尹総長はこれを全面的に否定している。そして一部メディアや世論の中では、「むしろ今韓国で最も腐敗しているのは青瓦台である」との見方が広がっている。

 

 ちなみに、韓国の歴史上、法務部長官が指揮権発動をした事例は、過去に1回あるのみだ。秋長官がいかに突出し、意図的に捜査を妨害しているかが分かるだろう。

 

 

秋美愛長官による「検察への圧力」の副作用

 

 しかし、秋氏のこうした強引な検察への介入や尹総長への圧力に、多くの検事や国民は反発した。それは文在寅政権への支持率の低下、尹検事総長を次期大統領候補と押す国民の声の上昇、秋長官への辞任圧力、検察改革の停滞という状況を招いている。

 

 秋長官は来年のソウル市長選挙への与党の有力な候補と言われてきたが、「その目はなくなった」との評価も出ており、この対立で一番損をしたのは秋長官とも言える。

 

今後、法務部長官と検察の対立を抑えるためには、秋長官の解任しかないだろう、との見方が韓国では広がっている。と同時に秋長官の顔を立て、長官辞任の道を切り開くためにも、尹検事総長を先に辞任させるのではないかとの見方も浮上している。

 

 文在寅政権になってから国内政治上の対立は激化しており、法務部と検察の対立はそれを象徴するものである。その実態について改めて分析してみたい。

 

検察との対立を決定づけた、尹事務総長に対する監察調査

 

 法務部は18日、監察官室の検事2人を最高検察庁に送り、尹総長に対する監察調査の日程を19日午後2時とすると書かれた文書を渡そうとした。それまで数回にわたって事情調査の日程を調整しようとしたが、最高検察庁がこれに応じなかったためだという。これに対し、最高検察庁政策企画課長は、「手続きに則って説明を求められれば書面で答弁する」という立場を伝え、法務部から派遣された検事を追い返した。総長宛ての面談要求書も突っ返したという。

昨年7月25日、大統領府で検事総長の任命状を授与した尹錫悦氏と、並んで記念撮影する文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 

 

 法務部監察担当の一般検事が総長との面会を申し出たことに対し、検察庁の一般検事から、「検事総長に対する露骨な侮辱行為」との声が上がっている。法務部は「訪問調査予定書を渡すため」の訪問としているが、こうした対立が生じること自体、法務部と検察との間に感情的な対立まで生まれている証左である。検事総長に対する史上初の監察であるだけに、事前に綿密な調整が必要であるが、法務部はそのような過程は省略し、強引に監察を進めようとしているとして検察庁サイドの不満が爆発したものである。

 

 最高検察庁は「監察規定上、対面調査に必要な相当の根拠と理由を提示すれば、それを見て協力する」としている。

 

 

「尹検事総長にさっさと辞めてもらいたい」が法務部の本音

 

 これを受け、法務部は対面調査の日程をひとまず取り消したが、これは尹総長の辞任を求めるものではないかとの解釈がある。監察が正式に始まれば辞表を出すことができない状況となるのでその前に辞任を求めるという意図があるとの見方が出ている。

 

 法務部は対面調査の日程をひとまず取り消しながら、「今回の事案に関連し、捜査や不正の監察は地位の上下は問わず、聖域があり得ないため、法務部は今後も法と原則にのっとり、手続きを進行する」と説明しているためである。

 

 尹総長への監察に関し、「中央日報」は社説で「類例のない総長監察推進の意図が尹錫悦総長を追い出してこそ任期末と退任後の安全が保障されるという青瓦台・与党の判断のためであることは国民全員知っている。検察を政権の忠犬にするという陰険な意図を今や隠そうともしない」と批判している。

 

 中央日報はさらに、「監察手続きも慣行に合わない水準を越えて違法に近い。(中略)法務部監察規定によると、監察時に検察の独立性を損なってはならない(第3条)。同じ条項には所属機関長と関係者の意見を取りまとめて、十分に準備する時間を与えなければならないとの手続きが明示されている。また、不正があったと認めるほどの相当な理由がある場合に限り調査するように(第15条)、監査要件を明記している」と批判。そのため、法務部側は今回監察を任せようと緊急に選出した部長検事を選出したそうだが、その検事が「違法な監察として拒否」したという話もあると報じている。

 

 この中央日報の社説の結論は、「この非正常的な状況を収拾する責任は大統領にある。法務部を違法部にしている秋長官をとめなければ検察と秋長官はもちろん、大統領も危なくなる。熱血支持層だけで政権を永久に維持することができると考えるならば、同じ道を歩んだトランプの末路を参考にしてほしい」と文在寅大統領の責任を厳しく追及している。

 

 秋法務部長官は尹総長ばかりでなく多くの一般検事も敵に回してしまっている。秋長官は、「検察改革は失敗した」として秋長官を批判した一般の検事に対し、「このようにカミングアウトしてくれるなら、解決策は(検察)改革しかありません」とFacebookに書き込んだ。

 

 これに対し、200~300人の一般検事が、「一般の検事に対する公開批判」は内部批判を抑圧する非常に不適切な行動だという趣旨で秋長官に反発している。秋長官の批判を契機に、執拗な人事権行使、指揮権発動や公開監察の指示などで累積した内部の不満が爆発した形だ。

 

 

秋長官の強引な手法が文政権の重荷に

 

 秋長官の検察との対立が文政権のレームダック化を助長しかねない状況を生んでいる。

 

 韓国の世論調査会社、「リアルメーター」が19日に発表した文大統領の支持率は前の週より1.8%下落した42.5%で、曺国前法務部長官の不正発覚後に続く2番目に低い水準であった。不支持率は2.3%上がって53.3%となり、その差は10.8%で、不動産政策に対する批判が高まった8月の9.3%を上回った。この支持率の下落の要因として、秋長官と尹総長の対立などが指摘されている。

 

 一方、世論調査会社「ハンギルリサーチ」が7日から9日にかけて行った次期大統領候補として予想される人物に対する調査では、尹検事総長が24.7%と、与党系の李洛淵(イ・ナギョン)与党代表22.2%、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事18.4%を抜いてトップに躍り出た。

 

 後者の2人とは異なり、尹検事総長はこれまで大統領選挙に意欲を示したことがないにも関わらずこの高い支持率なのだから、その人気ぶりは驚くべきである。もっとも、それだけ野党系にはめぼしい大統領候補がいないことの裏返しでもあるのだが・・・。

 

 尹検事総長の支持が高まった背景には、秋長官の執拗なバッシングを受けながら、ひたすら耐えて職務に精進しているとの姿勢に対する評価があると考えられる。そしてそれは秋長官に対する批判でもある。仮に、尹総長が辞任に追い込まれることがあれば、韓国人の気質からして尹総長に対する支持は一層高まると思われる

 

 秋長官は検察改革への障害となってきている。秋長官が一般の検事が検察改革に批判したのを受けこれを逆に公開批判したことに対し、10~15%に当たる一般検事が反発し、その意思をネットで明らかにした。

 

 これだけ強い反発を招いている秋長官が検察改革を断行しようとすれば、一層の抵抗を招くだろう。それは、文政権への支持率の一層の低下につながりかねない。それ以上に仮に今後尹総長を大統領候補として推す雰囲気が高まり、尹氏が大統領に当選すれば文政権にとって最悪のシナリオとなろう。

 

 

 尹検事総長への圧力行使で自らへの批判を高めてしまった秋長官だが、ほんの数カ月前までは、来任春に行われるソウル市長選挙の有力候補者とされていた。だが今回の一連の流れでその可能性は消えつつある。現在のようなことを繰り返すのは、秋長官の政治生命を絶つことになりかねない。

 

 もちろんそれは文政権にとっても極めて好ましくない状況だ。強引に尹総長叩きを進めることは、もはや政権にとって得策ではなくなっている。

 

秋長官解任の時期は間近?

 

 文政権が検察改革を断行しようとするならば、秋長官を解任することが必要に思われる。

 

「東亜日報」は、「差し迫った年末改閣、失敗した長官を全員入れ替え政策基調を大転換せよ」との記事を掲載している。

 

 その記事の中で入れ替えるべき長官(=大臣)とされている人物には、過去4年間、不動産対策を20回以上打ち出しても、住宅価格どころか家賃市場まで混乱に陥れた金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官、存在感を失い、事実上「影の長官」に転落した康京和(カン・ギョンファ)外交部長官などがいる。

 

 その中に、「実力者」と評価されていながら、名を挙げられているのが秋美愛法務部長官である。記事は同長官について、「人事権と捜査指揮権の乱用で一線の検事まで反発する非常事態に直面している。秋氏の一方通行のリーダーシップによって、スムーズに進まなければならない検察改革は検察内戦に拡大する危機を迎えることになった」と、厳しい評価を下している。

 

 これほど評判が悪化した法務部長官は、政権運営の足かせにしかならない。さすがに与党内からも、秋長官を退かせるべきとの声が上がりはじめているようだ。

 

 19日に文在寅氏と面会した李洛淵「共に民主党」代表が、文氏に秋長官に対する世論の見方を伝え、同長官を交代させる必要性を建議したという話が出ている。李氏はこの説を否定しているが、李洛淵氏が文在統領と会っただけでこうした話が出るほどまで事態はひっ迫しているということでもある。

 

 他方、「共に民主党」の兄弟党である「共に市民党」の共同代表を務めた崔培根(チェ・ベグン)建国大学教授は、Facebookに「秋美愛長官は、民主共和国を拒否して『検察共和国』を維持しようとしている検察に対する改革に身を捧げている」「こうした秋美愛長官の交代を口にする人々はまさに土着倭寇やその協力者だ」と投稿した。都合が悪くなると親日批判を繰り返す、革新系の人々の典型的言動である。

 

 その秋長官自身はどのように考えているのか。実は秋長官もまた自分のFacebookに現在の心境を綴っている。

 

「毎日のように、事案の本質はともかく、検察総長との確執浮上や、最近では長官の進退を集中的に取り上げて世論に絡める保守系メディアなどを見ると、我慢できない痛みやトゲに刺されているような痛みを感じない時がない」

『文在寅の謀略―すべて見抜いた』(武藤正敏著、悟空出版)

 

 

 こうした発言を見る限り、秋長官では検察と法務部との対立、それによる政権運営の停滞を克服することはできそうにない。さりとて、文在寅大統領としては、秋長官を簡単に切るわけにはいかない。

 

 そこで考えられるのは、年末に文在寅政権最後の閣僚人事を行い、それに合わせて秋長官も解任するというシナリオである。これであれば、秋長官へのダメージはいくぶん減じることができるだろう。

 

 注目すべきは、そのときの尹検事総長の処遇だ。秋長官の解任と同時に、尹検事総長も「秋長官への不服従」を理由に解任するとのシナリオが取りざたされている。

 

 果たして文在寅大統領はどうような決断を下すのか。年末までの動きは、任期があと1年半ほどになった文大統領の終盤戦を大きく左右することになるだろう。