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ウクライナ危機 カギは西側先進国の結束

이강기 2022. 2. 25. 14:10

ウクライナ危機 カギは西側先進国の結束

西川恵・毎日新聞客員編集委員

每日新聞, 2022年2月25日

        戦闘に備えるウクライナ軍の兵士たち=ウクライナ東部で2022年2月20日、AP

 

ウクライナ危機はロシアのプーチン政権にとって中長期的には打撃となるのではないだろうか。

 

 危機を演出したことで、西側先進諸国をかつてなく結束させる機会となり、自由主義体制VS権威主義体制の構図をより明確にした。

 

 それまでギクシャクしていた先進国は差異を横において一つにまとまりはじめており、国際政治は新しい位相に入ったように思う。

 

 この稿が読者の目に触れるころにロシア軍の軍事行動がどのような展開をみせているか不明だが、数カ月にわたる危機が西側先進国の結束に大きく寄与したことは間違いない事実だ。西側先進国が米国を中心にこれほどまとまったのは、2001年9月の米同時多発テロの時期を除いてちょっと記憶がない。

 

求心力を回復したNATO

 この結束を象徴するのが、米欧の安全保障の枠組みである北大西洋条約機構(NATO、加盟30カ国)の求心力回復である。

 

 昨年8月のカブール陥落で、米国とともにNATOはみじめな撤退を余儀なくされた。

 

 しかしロシア軍の脅威の前にNATOは「加盟国防衛」の基本に立ち戻り、ポーランド、ルーマニア、バルト3国など東欧の加盟国に兵員を含む軍事支援を陸続と行っている。

 

 非加盟国のウクライナにも、対戦車ミサイルなどが加盟国から相次いで提供されている。ロシアの脅威が現実となったスウェーデンとフィンランドもNATO加盟に関心を寄せる。

 

 昨年末に危機が顕在化してからのバイデン米大統領の外交手腕も結束の上で見逃せない。米露首脳会談でも、バイデン氏はその結果を詳細に欧州主要国に伝えるなど意思疎通を密にし、「欧州の頭越しに大国間で取引している」との疑念を生まないようにしてきた。当初、欧州を無視して米国と直取引を試みていたロシアも、途中から仏独を対話のコマとして使わざるを得なくなった。

 

欧州内の対立を横においた協調

 欧州主要国の間でも、それまでの対立を横に置いて危機に臨んでいる。英国のトラス外相は2月中旬、ウクライナの首都キエフを訪問し同国のクレバ外相と会談した際、「英国は欧州連合(EU)を含む友人、パートナー、同盟国と緊密に連携していく」と述べた。ブレグジット(EU離脱)以降、EUを半ば無視してきた英国としては珍しい言及だった。トラス外相はEU欧州委員会の幹部とも頻繁に情報を交換している。

 

 またブレグジット以降、英仏間では漁業権をめぐる係争が首脳レベルの非難の応酬にまで発展していた。加えて昨年9月には豪州がフランスと結んでいた潜水艦共同開発計画を破棄し、米英との新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」に乗り換えたため、英仏の関係は極度に悪化していた。しかしいま、両国はこれらの問題を差しおいて危機に対処している。

 

 この西側先進国の結束はこの先どうなるだろう。危機が一過性で終わらず、中長期にわたるであろうことはプーチン大統領のウクライナに対する執拗(しつよう)なこだわりから想像できる。

 

 ウクライナに軍事的圧力をかけながら領土をサラミ戦術のように切り取っていくか、一気に軍事侵攻して首都キエフを支配下に置くかは不明だが、西側の裏をかきながら手練手管を繰りだしていくだろう。西側先進国としても、やすやすと結束を緩めるわけにはいかない。

 

自由主義体制VS権威主義体制

 もう一つ、結束を維持しなければならない理由、それは自由主義体制と権威主義体制の対立の構図がより鮮明になってきたことだ。

 

 北京冬季オリンピックの開会式(2月4日)で、プーチン氏は各国首脳の中では国賓として最高の待遇を受けた。開会式前の中露首脳会談を踏まえて発表された共同声明で、特に注目されたのが、ウクライナ危機におけるロシアの主張を中国が支持した次の2項だ。

 

 一、NATOのさらなる拡大に反対する

 一、NATOの東方不拡大を法的に保証することを柱にした欧州安保に関するロシアの提案を中国が理解、支持する

 中国はこうした地域紛争に対しては距離を置いてきたが、従来の立場を捨ててロシア支持に大きく踏み込んだ。

 

 プーチン氏は前日3日、中国国営新華社通信への寄稿で「中露は(ドルを介さない)両国通貨決済を拡大してきた」とし、22年には2国間貿易額を前年の4割増し以上の2000億ドル(約23兆円)にすると述べた。プーチン氏の訪中にはエネルギー相や資源関係企業の幹部も同行し、天然ガスを中国に供給する契約を結んだ。

 

 同時進行するウクライナ危機とあいまって、プーチン氏の訪中が政治、経済面で二つの権威主義国の共闘体制の構築を象徴するものとなったことは否めない。

 

中露共同声明に対するEUの厳しい認識

 ミュンヘン安全保障会議が2月20日までの3日間開かれたが、EU外相に当たる外務・安全保障政策上級代表のボレル氏は、中露共同声明について「長年の(中露の)主張の頂点を画すものだ。(国際秩序に対する)公然たる挑戦であり、明らかな修正主義者のマニフェストである。国際秩序を見直そうというマニフェストだ」と批判した。

 

 EU欧州委員会委員長のフォンデアライエン氏も「国際システムのルールを書き直そうという露骨なたくらみだ。既存の国際秩序を彼らの言う新時代で置き換えようとしている」と述べた。EU首脳が国際会議でここまで厳しい口調で中露を批判するのは初めてだ。

 

 中露共同宣言が出てからEUは宣言内容を詳細に検討して…

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