韓国の「お家芸」製造業、いよいよ「大崩壊」してきた…!
失われた20年、30年へ…
外交評論家
現代 BUSINESS, 2022.02.28
文在寅が自画自賛してきた韓国経済が足元から崩れ落ち始めている。前編記事『韓国の「生活の質」指数が、まさかの「世界42位」に大転落していた…!』では、そんな韓国の生活の質ランキングが大きく転落している様などを紹介したが、それだけではない。これから失われた20年、30年に突入しかねない深刻な危機にいま直面しているのだ。その最新事情を徹底レポートする。
韓国経済「1日1000軒が廃業」のリアル
文在寅氏の看板政策は所得主導成長路線である。
文在寅政権は、国民の所得を増やし、支出を増やすことで経済を成長させるという所得主導成長を経済政策の基本とし、最低賃金を5年間で2倍に増加させることを目指してきた。
そして最初の2年間で最低賃金を29%引き上げた。しかし、企業がその負担に耐えられなくなり、3年目には2.9%の上昇に抑えざるを得なくなった。それでも、5年間の最低賃金引き上げ率は42%である。
しかし、労働生産性をあげない最低賃金の引き上げは、中小企業や自営業者の経営を直撃した。コンビニなどの自営業はアルバイトを解雇し、無人店舗や家族労働で対応せざるを得なくなった。賃金が労働生産性の伸びを上回れば競争力は落ちるので、企業は雇用を減らして対応する。
そうした時に新型コロナが襲った。飲食業関係者などに営業自粛を求めたがそれに対する補償は日本の10分の1程度であった。その結果、営業自粛に耐えられなくなった自営業者は1日1000軒が廃業したが、そのベースには最低賃金の無理な引き上げがある。
自営業者の廃業は総数では50万軒を超えている。
「韓国の生命線」製造業が苦境に
文在寅政権の経済政策は成長よりも分配を重視するものである。しかし、健全な経済では成長の果実を分配し、低所得層を豊かにしていくことが基本であろう。文在寅氏の政策は韓国経済の成長を阻害しているようである。
韓国経済の柱は製造業である。その製造業が苦境に陥っている。
国策シンクタンク産業研究院によれば、商品の販売などによる収益で利払いもできない上場製造業者の割合が昨年7-9月に39.1%に達し、IMF危機当時を上回った。製造業の40%は企業の売り上げの両軸である内需と輸出のいずれかが減少している。これは企業の成長潜在力が損なわれ始めたシグナルだ。
製造業の就業者も5年前と比べて約18万人減少したという。これはサムスン電子と現代自動車の国内社員を足した合計とほぼ同じである。これは良質な雇用の減少を意味する。反面、韓国企業の海外法人の現地雇用は42.6万人(29.4%)増加している。いかに国内の事業環境が悪化しているかを示しているのだろう。
ちなみに韓国の半導体をはじめとする6大主力製造業の営業利益率は5.4%であり、世界2000大企業(9.4%)の半分である。
こうした中、不実企業を延命させる政府支援で延命しているケースが増えている。
韓国は製造業の投資を行う環境にない
韓国製造業の苦境は文在寅氏の労働組合寄りの政策に起因している。
韓国の過激な労働組合民主労総(全国民主労働組合総連合会)は、単なる労働問題を越えて政治化・既得権化している。
文在寅政権は韓国経済が事実上財閥の支配下にあることから労働組合を使って企業経営に口を挟もうとしている。最低賃金を時間当たり1万ウォンまで引き上げようとした政策は民主労総の主張を反映している。
文在寅政権が、民主労総の意向で導入した典型的な悪法が「重大災害処罰法」である。
同法は、ガス窒息死など産業災害による死亡事故、加湿器殺菌剤事件など市民災害による死亡事故が発生した場合、事業主と経営者責任などに対し、懲罰的な損害賠償を命じ、懲戒刑などを課す厳しいものである。
しかも、処罰の基準があいまいであり、外国企業ばかりでなく、韓国企業からも懸念の声が上がっている。これが韓国企業、外国企業の韓国投資への逆風となっている。
雇用の改善は「インチキ失業率」がもたらした効果
韓国政府には「大韓民国雇用状況版」というウェッブサイトがあり、そこには労働・雇用の指標が並んでいる。
○雇用率……67.2%(1.5ポイント上昇)
〇就業者……2768万人(67.1万人増加)
〇失業率……2.7%(0.9ポイント下落)
〇青年失業率……5.4%(3.5ポイント下落)
〇非正規職の割合……38.4%(比較の表記なし)
文在寅大統領はこうした希望的な指標だけを見て自画自賛しているのだろう。しかし、これは事実上トリックと指定されても仕方のない数字である。
比較対象の前年同月は、コロナ禍で最も雇用の減少していた時である。
この中で最も実態に近いと思われるのが比較のされていない「非正規職の割合」である。これは前年同期比1.3ポイントの上昇、実数は約806万人で史上最大の数字である。
しかも、20~30代の30.1%(243万人)の比率は60代よりも高い。ハンギョレ新聞によれば、昨年増加した64万人の非正規職のうち22.8万人が「政府の高齢者雇用事業の影響を受けた保健・福祉サービスの従事者」で年齢層も60歳以上が27万人と最も多くなっている。
合計出生率が1.0人を割った国は韓国だけ
雇用が増えてもそれは「質の悪い雇用」「仕方のない雇用」である可能性が高い。
より実情を示すとされる若者の「体感失業率」(失業者+正規の就職を望んでいるが得られていない短時間労働者+公務員試験などの準備生+就職口が得られず大学院等に通う学生)は25%を超える高止まりが続いている。
文在寅大統領は10月25日の国会施政演説で「9月の雇用が(新型コロナ)危機前の水準の99.8%まで回復した」と述べたがその質には触れていない。
製造業の不況によって良質な雇用が奪われ、政府が用意した財政支出による、短期の低賃金労働などが増えているのである。
死亡者が出生児を上回る「デッド・クロス」の幅はさらに大きくなった。昨年の出生児数は26万500人で1年前より4.3%減少、20年前の55万9934人の半数にも満たない。人口減による経済停滞が目前に迫っている。
婚姻件数も過去最低
合計出生率の減少は2016年から6年連続である。
特に文在寅氏が大統領となった17年に初めて30万人を下回り、18年には初めて1.0人を割り込んだ。
国連の人口統計によると、2020年基準で198か国のうち、韓国の合計出生率が最も低く、1人に満たない国は韓国しかなかったという。
女性の平均出産年齢も高くなっている。結婚年齢と結婚後に子供を持つまでの期間が増えたためだ。35歳以上の産婦の割合が35%で過去最多であった。そのため第2子以降の減少傾向は一層顕著であった。
出生児数の先行指標となる婚姻件数も過去最低で18万2509組。初めて20万組を下回った。
こうした現象は、文在寅氏が自画自賛する韓国経済の好調の中では決して起きない現実だろう。
文在寅氏が自画自賛し、現実を直視しないままに韓国の経済・社会の現実は厳しいものになってきた。そのしわ寄せを食っているのが20代、30代の若者世代である。
日本の失われた20年、30年以上の停滞
出生数の急激な低下は、韓国社会の活力を奪い、経済規模の縮小を招く。
世界10位の経済大国になっても、この低い出生率が続くのであれば、日本の失われた20年、30年以上の停滞が待っているだろう。
自画自賛に終始し、適切な対応措置を取らず、長期停滞の基盤を構築したのが文在寅氏であるとして後世にその名を残すことになりそうである。
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