文在寅が「嫌がらせ」で、韓国・新大統領がさっそく直面する「新たな試練」
武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)
現代 Business, Yahoo Japan
3/21(月) 16:02配信
韓国では文在寅政権の「最悪の5年間」が終わり、大統領選では与党「共に民主党」が敗北する結果となった。前編記事『文在寅は「永久に追放」…韓国中枢でいま「文在寅・大論争」が盛り上がるワケ』では、そんな韓国与党内でさっそく文在寅批判が飛び出し、党内で反文派・親文派の論争が起きている様子をレポートした。
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一方で、そうした与党内の内部分裂は、次期大統領となる尹錫悦氏との円滑な政権引き継ぎの障害となる気配を醸し出している。いったいいま韓国中枢で何が起きているのか――最新レポートしよう。
権力と役職にしがみつく「民主党主流派議員」
文在寅政権は、公共機関長を文在寅人脈で占めることで、尹錫悦氏の実務を縛り付けようとしている。(文在寅政権にとっての人事の意味については拙書「さまよえる韓国人」を参照願いたい)
文在寅氏と尹錫悦氏新旧大統領の政権引き継ぎのための最初の会談が3月16日予定されていたが、延期となった。
その理由については明らかにされていないが、一つの重要な要因が文在寅政権の残余の任期における公共機関の長などの任命問題を、文在寅氏が尹錫悦氏と相談なく独善的に進め、人事で尹政権を縛り付けようとしている問題であると見られている。
大統領が直接・間接に機関長などに対する任命権を行使できる公共機関は、昨年の時点で350機関。その内訳は電力公社・仁川国際空港公社・鉄道公社などの公企業36、国民年金公団・国民健康保険公団・住宅公社などの準政府機関が96、その他の公共機関が218である。
しかし、文政権が任期後半にこれらトップや幹部に対する任命権を積極的に行使したことから、3分の2を超える234か所の機関長は任期が1年以上残っており、2年以上残っているものも151か所(43.1%)ある。
そうした機関長に任命された多くの人々は当該公共機関の業務に関係する経歴はなく、文政権や与党の関係者である(韓国では「落下傘人事」と称している)。
特に、重要な人事が今月末に任期満了となる韓国銀行総裁である。
文在寅は「人事」で尹錫悦政権を縛ろうとしている
また、今年は景気が不安定の中で金利を引き上げていかなければならない。中銀と政府・財政当局との緊密な連携が不可欠である。与党サイドでは「現在青瓦台が進めている人事はない」と述べているが、今後4年間を共にする総裁は新政権が任命するのがふさわしいだろう。
公共機関の長が文在寅政権に近い人で独占されれば、尹錫悦政権の行政の実務能力が阻害されるのは不可避である。 青瓦台は当初、「尹氏に協力する」との立場だった。
しかし、尹氏側が人事問題などを昼食会の議題として取り上げると、青瓦台は「人事権は現職大統領の権限で」とする強硬な立場に転じた。
会談の性格をめぐっても、青瓦台は「初めての会合は祝賀と挨拶の席だ」と述べたが、尹氏側は「青瓦台側とコロナ補正予算編成、青瓦台・官邸の移転、人事協力など国政全般について幅広く話し合うべきだ」と異なる認識を示した。今後、さまざまな問題について緊密に連携していくのであれば、最初の会合を祝賀と挨拶だけに絞る必要はないのではないか。
文在寅政権がどこまで新政権との円滑な引き継ぎ応じる意思があるのか、新政権に協力するというが、人事問題などで縛られたくないとの意思が明白である。人事で独裁政権を確立してきた文在寅政権、人事で尹錫悦政権を縛ろうとしていると勘ぐられてもやむを得ないだろう。
「大統領執務室の移転」はどうなる…?
尹錫悦氏は3月17日、政権引き継ぎ委員会の委員との会議を開き、大統領執務室の移転先の候補を外交部が入居している光化門近くの政府総合庁舎別館と龍山区に国防部庁舎の2か所に絞り込んだ。
委員らは18日に2か所の現場調査を行い、今週末ごろ最終的に決定する予定である。移転先としては龍山区の庁舎の可能性が高いという。
尹氏側関係者は、龍山に大統領執務室を設置し、在韓米軍から返還された龍山基地の敷地に公園を造成し、ホワイトハウスのように市民が大統領と参謀の執務室を見ることができる韓国型プレジデンシャルエリアも設ける」構想だという。
文在寅氏は大統領選挙期間中に「光化門時代を作る」「約束を守る大統領になる」と述べていたが、青瓦台を温存し、しかも国民とはより遠い大統領府を作ってしまった。
尹錫悦氏も選挙運動中「光化門時代」を作ると公約していた。龍山区に移れば光化門ではなくなるが、警護問題や企業の密集するところの電波妨害問題を考慮すると龍山区が現実的選択肢かも知れない。
尹錫悦氏は新しい執務室の1階にホワイトハウスのような記者室とブリーフィングルームを設置して国民と意思疎通し、尹氏が公約した各分野最高の専門家が仕事をする官民合同委員会事務室も用意する考えだとも明らかにした。
青瓦台の首席秘書官を半分に
文在寅氏は、青瓦台の密室に引きこもることで、国民との距離を置き、独善的・自画自賛の大統領となってしまった。大統領執務室の移転は象徴的な行動に過ぎないかも知れないが、そこには大統領制の在り方を変えていこうとする尹錫悦氏の意向が反映されているように思う。
尹錫悦氏の関係者は、中央日報との電話で「青瓦台の従来の首席秘書官の半分ほどをなくす計画だ」と明らかにした。
現在の青瓦台には、大統領秘書室長の下に政務・国民疎通・民情・市民社会・人事の5人、政策室長の下に雇用・経済・社会の3人の首席秘書官がいる。そうした首席秘書官が間に入ったことで、大統領と国民の距離は一層遠のいたと言えよう。
大統領府改革の「一丁目一番地」
首席秘書官は「帝王的大統領制」の弊害を指摘する際あげられる代表的問題である。首席秘書官は次官級であるが、実際には長官よりも大きい権限を行使することが多かった。
尹錫悦氏は「各政府部署が引き受けた業務の最終責任を担い、大統領室は政府全般が円滑に作動するシステム管理に集中すれば、自然に責任首相制が定着するはず」「大統領室は大統領だけが担うことができる全体の国家的、部処的事案に集中できるスリムな戦略組織に再編される」と説明した。
廃止することが指摘されているのが民情首席であり、大統領府の監査機能は廃止する。 大統領府の改革は、韓国の帝王的大統領制を改革するための一丁目一番地である。
韓国の大統領制が民主化されれば、韓国社会は変わってこよう。文在寅政権の再来は防がなければならない。
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