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韓国、「まずまずの経済成長」のウラで「資金流出」が大きな懸念になっている理由

이강기 2022. 5. 13. 17:14

 

 

韓国、「まずまずの経済成長」のウラで「資金流出」が大きな懸念になっている理由

 

「交易条件の悪化」という問題

まずまずの成長を記録した、しかし…

4月26日に、韓国の2022年1~3月期の四半期GDPが公表された。季節調整済前期比で0.7%増という結果が出た。年率に直すと3.0%であるが、韓国の潜在成長率が現在は2%台後半であることを勘案すれば及第点ともいえる成長であった。

 

韓国の2022年1~3月期は新型コロナウィルスの感染が爆発的に拡大した。月間の累計の新規感染者数は、1月は12.5万人、2月は228.9万人、3月は996.2万人であり、2021年10~12月期の月平均である10.7万人と比較してきわめて多くなっている。新型コロナウィルスの感染急拡大のコロナウィルス半期GDPがどのように変化するのか興味深いものであったが、まずまずの成長を記録できたといえる。

 

しかしながら、需要項目別にみるとそれほど楽観できない状態である。そこで今回は2022年1~3月期の四半期成長率について、需要項目別にその動きを追うとともに、GDPからは読めないデータも使って、韓国経済が抱えている問題を検討していきたい。

                                      ソウルの路地〔PHOTO〕Gettyimages
 

 

まずは個人消費である。個人消費はマイナス0.5%であり、成長率への寄与はマイナス0.2%、すなわちGDPを0.2%引き下げた。個人消費は2021年、7~9月はマイナス0.2%となったものの、その他の3四半期は1%を超えるプラスであった。よって、今期の個人消費は不振と言わざるをえない。

 

内訳をみると娯楽や飲食宿泊を中心にサービスが個人消費の足を引っ張っており、コロナウィルス感染拡大の影響を受けたことがうかがえる。

 

次に設備投資が、マイナス4.0%で、成長率への寄与はマイナス0.4%であった。設備投資は2021年上半期にはプラスであったが、下半期からマイナスに転じ、2022年1~3月は2021年下半期より大きなマイナスとなった。これは、アメリカの金利引き上げや、原材料価格の上昇により企業において先行き不透明感が増していることなどによる。

 

実際、企業の業況判断を示す指標である韓国銀行の「企業景気実査指数(BSI:Business Survey Index)」は2022年1~3月に低下している。現在の景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いて100を加えたBSIの季節調整値を見ると、2021年12月は94であったが、2022年3月には83にまで低下した。

 

外需は好調

さらに建設投資であるが、マイナス2.4%で、成長率への寄与はマイナス0.3%であった。個人消費、設備投資、建設投資が総崩れとなり内需は散々であったが、そのなかでも成長率がプラスになった理由は外需が好調であったことによる。輸出は4.1%で成長率への寄与は1.8%のプラスとなった。

 

ただし韓国は経済構造上、輸出が増えるとその分、輸入も増える傾向にある。輸入が増加すると成長率への寄与はマイナスになるため、輸出の寄与から輸入の寄与を引いた外需の成長率への寄与はそれほど大きくならないことが多い。

 

しかし今回は輸入のプラスは0.7%にとどまり、成長率への寄与はマイナス0.3%にすぎなかった。よって外需は1.5%のプラスとなった。これは内需の不振を相殺しても余りあるものであり、全体の成長率はプラスとなった。

 

2022年1~3月のGDP成長率は、内需は不振であったが好調な外需のおかげで及第点をとれる程度となったわけであるが、好調な外需の裏には今後成長率を引き下げかねない問題点が潜んでいる。

 

GDP統計では輸出は順調に増加している一方、輸入はそれほど増加していない。つまり相対的に輸出が伸びており、外需がプラスとなっている。しかし、関税庁が公表している貿易収支、すなわち輸出額-輸入額は黒字で推移していたが、2021年12月にはマイナスに転じ、2022年1~3月期にも赤字基調で推移している。貿易収支が赤字になったということは、相対的に輸入額が増えているということであり、GDP統計とは異なった動きをしている。

 

価格が反映されていない

このような差は、GDP統計の輸出入は輸出入価格の変化が反映されない数量ベースである一方、関税庁が公表した貿易収支の輸出入額は輸出入価格の変化が反映される金額ベースであることにより生じている。

近年、原油価格をはじめとする原材料価格の高騰や穀物価格の高騰により、輸入価格が総じて高まっている。よって輸入数量はそれほど増えていなくても、輸入金額は大きく増加することとなり、GDP統計の輸入は増えていなくても、関税庁が公表している輸入額は大きく増加する状況となっている。

 

輸出物価指数を輸入物価指数で割ることで算出する交易条件という指標がある。これが下がると、輸出価格に比して輸入価格が高まっていることを意味するが、交易条件は2021年中盤からマイナスとなり、2022年1~3月にはさらに下がっている。

 

交易条件は貿易での稼ぎやすさを測ることができる指標であり、下がれば貿易で稼ぐことが厳しくなる。韓国では輸入価格が相対的に高まることにより、稼ぎにくい経済構造となっているわけである。

 

GDP統計には輸出入価格の変化が反映されず、2022年1~3月は外需のおかげで経済が成長しているように見えるが、実際には輸入価格が相対的に高まることにより、韓国に入ってくる金額より出ていく金額のほうが多くなっている。交易条件が下がっている場合の問題点としては、総じてみて国内から資金が流出することで、マクロでみた企業利益が減ってしまい、企業の設備投資が鈍化することがあげられる。

 

GDP統計では外需のおかげで経済成長が維持されているようにみえるが、実際はその外需で儲けられない状況に陥っており、ひいては設備投資や個人投資といった内需の萎縮が懸念される状況になっているのである。2022年1~3月期の四半期GDPでみた経済成長率は及第点であるが、GDPからは読めないデータからは、韓国経済がそれほど楽観的ではないことがわかる。