日本, 韓.日 關係

円安、一向に止まらず…それでも「緩和」を続ける日銀で「いま起きていること」

이강기 2022. 7. 20. 15:43
 

円安、一向に止まらず…それでも「緩和」を続ける日銀で「いま起きていること」

日米の違いから考える

 

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)がバランスシートの縮小(金融正常化)に乗り出した。一方、日銀は、金融正常化どころか大規模な緩和策を継続中であり、両行のバランスシートには今後、大きな違いが生じることになる。日銀は大丈夫なのだろうか。

 

3.4兆ドルの資金が市場から消える

FRBは2022年6月から量的引き締め(QT)を開始した。量的引き締めは、中央銀行が保有する国債などの資産を売却し、市中から資金を回収するオペレーションのことを指す。

 

各国の中央銀行はリーマンショック以降、金融危機に対応するため、積極的に国債などの資産を買い入れ、市中に大量のマネーを供給する量的緩和策を実施してきた。

 

米国は量的緩和策が効果を発揮し、経済は成長軌道に戻ったが、量的緩和策には中央銀行のバランスシートが肥大化するという副作用がある。一定の効果が得られたところで、金融政策を元の状態に戻す、金融正常化(いわゆる出口戦略)が必要とされており、そのカギを握っているのが肥大化したバランスシートを縮小させる量的引き締めである。

                                                                FRBのパウエル議長〔PHOTO〕Gettyimages
 

 

FRBは、現在約8.8兆ドルの資産(約1223兆円)を持っており、このうち国債などの債券は5.8兆ドルとなっている。FRBは毎月、最大で950億ドルのペースで資産を縮小する予定となっており、仮にこのペースでのオペレーションが続いた場合、3年間で約3.4兆ドルの資金が市場から回収されることになる。

 

リーマンショック直後、約1兆ドルだったFRBのマネタリーベースは、現在では6兆ドル程度まで膨れ上がっており、約5兆ドルの金額が市中に提供された計算だ。もし3.4兆ドルのマネーが回収されれば、マネタリーベース増加分の多くが消滅することになり、株式市場には大きな影響が及ぶ。

 

当然のことながら、一連の動きは金利の上昇とセットになっている。一連の正常化が行き過ぎた場合、バランスシートの縮小とインフレ抑制は実現できても、景気が失速するリスクもある。ただ、現時点の米国にとってインフレ抑制は最優先課題であり、バイデン政権は景気が悪化しても正常化を望むと予想される。一部からは、FRBの対応は甘すぎるとの指摘すら出ており、量的引き締めは粛々と実施される可能性が高いだろう。

 

日銀のバランスシートは肥大化する一方

こうした動きとは対照的なのが日銀である。日銀はすでに約540兆円の国債を保有しており、日銀当座預金には大量のマネーが積み上がっている。FRBとは異なり、日銀は現時点でも大規模緩和策を継続しており、加えて長期金利を0.25パーセント以下に抑える指値オペも実施している。日銀は0.25%を死守するため、国債の買い入れ額を増やしているので、出口を探るどころか、さらに緩和を加速している状況といってよい。

 

 

先ほどFRBの総資産額は約1223兆円であると述べたが、日銀の総資産額は約730兆円であり、絶対値としては日銀の方が小さい。だが、日本と米国とではGDP(国内総生産)に5倍以上の差があり、GDPの規模が同じと仮定すると日銀のバランスシートは米国より3倍も肥大化していることになる。日銀はFRBと比較して、巨額の国債を抱え込んでおり、仮に正常化するにしても気が遠くなるような道のりだ。

 

金融政策を正常化すれば、必然的に金利は上昇することになる。金利と債券価格は逆方向の動きを示すので、金利が上がるということは債券価格が下落することとイコールである。つまり金利が上がると、中央銀行が保有する国債の価格も下落することを意味している。

                                                                                      〔PHOTO〕Gettyimages
 

 

金利の大幅な上昇によって中央銀行が債務超過に陥る可能性があるという点ではFRBも同じだが、米国と日本とでは決定的な違いがある。それは政府の財政余力である。仮に中央銀行が実質的に債務超過に陥ったとしても、中央銀行が増資で損失分をカバーできる見込みがあれば、通貨の信認が損なわれることはない。米政府には十分な財政余力があり、最悪の場合、税を投入することで債務超過をカバーできる見通しが立つ。

 

 

「日銀が政府の子会社」なら、状況はさらに深刻

ところが日本の場合、そうはいかない可能性が高い。日本政府の債務は世界でも突出した水準となっており、仮に日銀が債務超過に陥った場合、日本政府に日銀を救済する力はない。

 

近年、中央銀行の独立性をめぐって国内では様々な議論が行われており、つい先日も、安倍元首相が亡くなる直前、「日銀は政府の子会社である」と発言して物議を醸したばかりだった。現時点の日銀法では、日銀の独立性が明確に示されているので、法制度上の議論をすれば、安倍氏の発言は不適切だったかもしれない。だが、市場という観点から見れば、日銀が政府の子会社かどうかという議論は、あまり意味をなさない。

 

金融市場では、当初から政府と中央銀行は一体と見なされており、両者の信用がバラバラに評価されることはあり得ない。安倍氏がどのようなつもりでこの発言を行ったのかは、今となっては知る由もないが、もし安倍氏の主張する通り、日銀が政府の子会社であるならば、日銀の健全性はさらに危ういと言わざるを得ないだろう。その理由は、親会社である日本政府の財政が限界を迎えており、日銀の信用が毀損した際に、政府が日銀の健全性を担保できないからである。

 

以前、日銀と政府を一体として考えれば諸問題が解決するという、いわゆる統合政府論が喧伝された時期もあったが、同じ理屈で考えれば、これも無意味な議論であることがお分かりいただけるだろう。市場では当初から政府と日銀は一体のものと見なされており、両者が一体であることを前提に、信用低下が危惧されているからである。

 

一部の論者は、日銀の信用が著しく低下していることから、日本円が紙くずになる可能性もあると警告を発しているが、実際のところ、日銀の信用はどの程度、毀損しているのだろうか。筆者は日本円が紙くずになる可能性は極めて低いと考えているが、以前として比較して日銀(あるいは日本円)の信用が下がっているのは間違いなく、これが円安の要因になっている可能性は極めて高い。

 

先にも触れたように、日銀は低金利を維持する必要性から大規模緩和策を継続している。日米の中央銀行のバランスシートの違いは明白であり、相対的に日本円の価値は下がりやすい。現在の政策が変更されない限り、日銀の信用低下は、過度な円安という形で顕在化する可能性が高いだろう。

 

日本経済は低金利に依存した状況であり、現実に金利の引き上げを実施するのは難しい。したがって当面は、緩和策を継続せざるを得ないと考えられる。だが、金融正常化についての方向性を何も示さない状況では、円安リスクをすべて引き受けてしまう。為替の安定のためにも、日銀は、正常化の道筋について何らかのアナウンスを行うべきだろう。