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「擁護はできないが、統一協会への恨みは理解できる」元信者が弁護士会見で明かしたこと

이강기 2022. 7. 14. 16:06

「擁護はできないが、統一協会への恨みは理解できる」元信者が弁護士会見で明かしたこと

山上容疑者の「心の闇」

                                                                               事件後の銃撃現場 (c) 現代ビジネス

 

なぜターゲットが安倍氏にすり替わったか

 

世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会・統一教会)への恨みが、安倍晋三元首相殺害の動機となったと供述している山上徹也容疑者(41歳)──。

 

事件直後から捜査関係者談という形で、次のような山上供述が伝えられた。

 

「教団トップの殺害を計画したものの難しく、(標的を)安倍元首相にした。ただ、(安倍氏の)政治信条に恨みがあるわけではない」

 

意味不明だ。なぜ教団トップが安倍氏にすり替わるのか。テロは論外にせよ、政治家としての信条への異議申し立てなら腹を据えての対応もできよう。だが、これでは“とばっちり”である。

 

11日に記者会見を開いた一教会の田中富広会長も戸惑っていた。

 

「教会に対する恨みや、そこから安倍元首相の殺害にいたるには、とても大きな距離があって、私たちもその理解に少し困惑しております」

 

しかし、事件から5日が経過し、統一教会に対する山上容疑者の恨みが、どれだか深いかが明らかになってきた。

 

本サイトが《【独自】実家や会社の土地も続々…山上徹也の母親が統一教会に寄付していた「5000万円資産」の中身》(7月12日配信)で伝えたように、山上容疑者の母親は多額の寄付を繰り返したあげく2002年に破産。生活は困窮して一家離散、山上容疑者は自衛官となり、病を患った兄は自殺、妹は自活した。

 

同時に、統一教会と安倍氏との関係の深さも明らかとなった。

 

統一教会との関係は、祖父・岸信介元首相の代からで、1960年代半ばのまだ信者数が数千人であった時代、統一教会の本部は渋谷区南平台の岸邸の隣にあり、教会幹部が岸家に足繁く通う仲だったという。また、教会が68年、政治団体「国際勝共連合」を立ち上げた時には、岸氏は「反共産主義」という同じ立ち位置で設立を支援した。

 

そうした関係は女婿の安倍晋太郎元外相に引き継がれ、晋太郎氏は74年、統一教会の教祖である文鮮明氏が帝国ホテルで開いた晩餐会に出席するなどした。その祖父・父との関係を安倍氏は引き継ぎ、官房長官時代の2006年5月、統一教会の友好団体である天宙平和連合(UPF)が開いた日韓の男女2500組による合同結婚式(後述)には、祝電を送っている。

 

安倍事務所に送られていた抗議文

また、21年9月12日、UPFがオンラインで開催した「THINK TANK2022希望の前進大会」で、安倍氏は5分間にわたってビデオメッセージを送った。UPFは05年、文教祖と妻の韓鶴子氏が創設したが、文氏が12年に死去した後は韓氏が総裁を務めており、安倍氏はメッセージのなかで、「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価します」と語っていた。そこは安倍氏の保守的な家庭観と一致しているということだろう。

 

                                                                       安倍氏のオンラインメッセージ

 

このビデオメッセージに、反教会派で構成される全国霊感商法対策弁護士連絡会は激しく反応した。5日後の9月17日、議員会館と地元・下関の安倍事務所にあてて、「公開抗議文」を送っている。

 

《安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます。》

 

このビデオメッセージの動画が、山上容疑者に「安倍氏殺害」を決意させた。宗教団体トップの殺害を企て、武器製造に入ったのが21年春で、それを安倍氏に切り替えたのが昨年秋。「動画を見て、殺害を決めた」と、奈良県警に供述している。

 

つまり、山上容疑者には統一教会に家庭を崩壊させられ、自分の人生を滅茶苦茶にされたという積年の恨みがあった。そのふつふつとした思いが心に滞留、それが一気に吹き出て、まず教団トップ、次にそこと親しい大物政治家を狙うという発想になったのではないか。

そのあたりの背景を前述の全国霊感商法対策弁護士連絡会が、7月12日、記者会見を開いて説明した。同連絡会は、二次被害者ともいえる「親が統一教会に資産を注ぎ込んで苦境に立つ子供たち」の実態にも詳しい。

 

最初に読み上げた「声明文」のなかで、事務局長の川井康雄弁護士はこう述べた。

 

「多くの元信者やその家族、二世信者の苦悩や葛藤、生活の困窮などに接してきた当会としては、かねてよりこのような実情について心から憂いていたことであり、その意味で、山上容疑者の苦悩や教会に対する憤りも理解できます」

 

「サタンが取りついている」

会見には、匿名で40代の元女性信者も出席した。

統一教会は、文教祖の指名で男女をマッチング、「合同結婚式」をあげさせる。21歳の時、信者となった母に強制的に入信させられた女性は、2歳年下の韓国人男性と結婚。

 

夫の暴力に耐えかねて離婚するものの、韓国人男性と「再祝福(再婚)」させられて韓国に移り住む。そこで10年の極貧生活を送った後の2013年、文教祖の死によりマインドコントロールが解けて離婚、子供を連れて帰国したという。

                                                                                     高校時代の山上容疑者

 

女性は山上容疑者についてこう語った。

 

「事件は擁護できませんが、人生を教会に破たんさせられた人間として、教会への恨みは理解できます」

 

統一教会が社会問題化したのは1960年代後半からだった。まず統一教会の学生組織である原理研究会が大学構内で布教活動を行い、学生を洗脳した。原理とは文教祖が唱える教義の「統一原理」を意味し、学業を放棄して原理運動に飛び込む学生が続出した。

運動へののめり込みは献金を伴うもので、布教が浸透すると「山上母」のように資産をすべて投じ、家庭を崩壊させる信者も現れて、後に数多くの訴訟が起こされた。「呪われている」「サタンが取りついている」と、不安を煽って印鑑、壺、多宝塔、高麗人参などを販売する霊感商法も問題になった。さらに合同結婚式は、「洗脳した信者を自在に操るカルト集団」として批判を集めた。

 

母親が信者となって資産を注ぎ込み、02年に破産となった前後の山上容疑者の“地獄”は想像に難くない。02年の海上自衛隊への入隊は、高校時代、応援団に所属したという気質もあるが、安定した生活を求めてのことだろう。

 

05年、任期満了で自衛隊を退職して以降の生活は、まだ掴み切れていない。20年京都府の工場に勤務してフォークリフトの作業を担当しており、その作業員生活のなか、武器の製造に入った。人の命を奪うという怒りの爆発までに、そのぐらいの歳月が必要だったのだろうか。

 

格差社会は「貧富」を生み、貧しさと連動する孤立、孤独、疎外の進行が、他人を巻き込む「拡大自殺」という昨今の事象にもつながっている。山上容疑者がそうだったと決めつけるつもりはないが、人との接触を避け、ワンルームマンションに閉じこもる孤独の日々が、「心の闇」を深くしていったのは確かだろう。

 

その怒りの矛先がどうして安倍晋三氏だったのかは、何度でも問わねばならず、それには「闇」をこじ開けて解明するしかない。