中國, 韓.中關係

一変した米中海洋戦力パワーバランス、中国軍が米空母を沈める4つの方法

이강기 2022. 12. 23. 18:48

一変した米中海洋戦力パワーバランス、中国軍が米空母を沈める4つの方法

 
日本が無責任な感情的中国脅威論に与してはいけない理由
 
 
JB Press, 2022.12.22(木)
 
                                米海軍の空母ロナルド・レーガン(資料写真、出所:米海軍)
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 第2次世界大戦で日本軍を打ち破って以降、アメリカ海軍の主戦力は空母艦隊になった。現在に至るまで太平洋からインド洋にかけての戦域では空母艦隊こそがアメリカ軍事力が世界最強であることを象徴している、と多くの米国民や米軍関係者は自認しているし、日本を筆頭にアメリカ軍に頼り切っている国々でもそのように信じられている感が強い。

 

 実際に、今から四半世紀も以前になるが、中国が台湾の独立を志向する動きに対して軍事的圧力をかけたいわゆる第3次台湾海峡危機(1995~96年)に際しては、空母艦隊2セットを台湾周辺海域に派遣したアメリカ軍に対して、中国側はなんら抵抗の姿勢を見せることなく沈黙せざるを得なかった。

 この事件は、国際社会に米国の軍事力の強大さを再確認させるとともに、中国の軍事力の弱体ぶりをさらけ出してしまうこととなった。

 

 

海洋戦力の強化に邁進した中国、手が回らなくなった米国

 だが、この出来事をきっかけとして、中国は海洋戦力(海軍力、航空戦力、長射程ミサイル戦力など)を中心とした接近阻止戦力(アメリカ軍が中国沿岸海域に接近してくるのをできるだけ遠方海上で撃退するための戦力)の強化に邁進した。

 とりわけ中国が努力を傾注したのは、太平洋やインド洋から中国の“前庭”にあたる東シナ海や南シナ海に侵入してくる米空母艦隊を撃破する戦力の整備であった。とはいっても、1990年代後半の中国海軍や航空戦力はいまだに自衛隊にも対抗し得ないほど脆弱なものであり、米軍と衝突することなど思いも寄らないレベルであった。そのため、まずは近代的艦艇や航空機の取得や開発に着手し、海軍と空軍の強化に全精力を傾けた。

 

 一方のアメリカは、冷戦でソ連を打ち破り軍事的には国際社会における“一強”状態になっていたため若干の奢りが生じ始めていた。それに加えてイスラム系テロ組織とのいわゆる国際テロ戦争に突入したため、中国との戦闘で主戦力となる海洋戦力の強化には手が回らなくなった。

 

 20年にわたるテロ戦争にアメリカが敗北し、米軍部隊がカブールから惨めな逃亡劇を演じた2021年夏頃には、米軍に対する接近阻止戦力強化を躍起になって推し進めた中国軍と、地上でのテロリスト部隊を相手とした近接戦闘に精力を集中せざるを得なかったアメリカ軍との海洋戦力のバランスは、アメリカ側が予想している以上に米軍にとって不利な状況となってしまっていた。

 

 

感情論が先行している現状の危険性

 もっとも、本コラムでもしばしば取り上げてきたように、米海軍情報局や一部シンクタンクなどの中国海軍情報分析専門家たちからは、中国海洋戦力の強化状況に対する警告が常に発せられ続けてきた。しかし、政治家やメディアを含めた多くの米国民やほとんどの軍首脳でさえ、そのような海軍関係者たちからの純軍事的な中国脅威論に対しては冷ややかな反応が多かった。

 

 その一方で、アメリカの世界覇権維持にとって障害となり目障りな存在であるという意味における感情的な中国脅威論は、新型コロナウイルスが中国発という宣伝と相まって、幅広く広まるに至った。

 さらにロシアによるウクライナ侵攻が勃発したため、ロシアと中国をアメリカの主敵に据えたバイデン政権は、感情的な中国脅威論を煽り立てて米国内の目をアメリカや民主主義の敵に向けさせるとともに、NATOやオーストラリアや日本などにも「アメリカの敵=民主主義の敵=国際社会の敵」という論理を押し付けることにも成功した。

このような感情論が先行している現状に鑑みて、中国の接近阻止戦力を決して軽視すべきでないと警告を発している対中警戒派の人々は、次のように危惧している。

 

「万一にも中国と米側同志連合軍との戦闘が勃発してしまった場合、中国接近阻止戦力の恐るべき実力を明確に認識しておらず『泣く子も黙る米空母艦隊を、第3次台湾海峡危機より多い3~4セットも東シナ海や南シナ海に送り込めば、中国軍は沈黙せざるを得まい』といまだに信じている多くの政治家や軍首脳は、米軍事力展開の伝統的セオリー通りに複数の空母艦隊を中国に向けて送り出しかねない」

 

 

中国軍が米空母艦隊を攻撃する手段

 このような危惧の最大の理由は、中国軍がこれまで四半世紀にわたってアメリカ空母艦隊を撃破する能力の構築を推進してきた結果、現在、中国軍が手にするに至った米海軍航空母艦ならびに強襲揚陸艦を破壊するための各種手段に対して、米軍側が防御する可能性が極めて低いからである。

 中国軍が手にしている手段は、現時点では3つある。

 第1の手段は地上(移動式発射装置)から発射する対艦弾道ミサイルによる攻撃である。中国ロケット軍はDF-21D対艦弾道ミサイル(最大射程距離1550km)とDF-26弾道ミサイル(最大射程距離4000km)によって、米軍の早期警戒監視の目が行き届かない中国内陸深部から日本列島沖西太平洋上や南沙諸島周辺を航行する米海軍航空母艦を撃沈する能力を手にしている。

 

第2の手段は極超音速兵器による攻撃だ。DF-17弾道ミサイルに装着されるDF-ZF極超音速滑空体は、最大で2500km遠方の航空母艦にマッハ5~10のスピードで突入する。DF-ZFは第1撃が失敗しそうな場合には自ら変針して攻撃目標に再突入することも可能な恐るべき兵器である。

 

 第3の手段はミサイル爆撃機からの超音速ミサイルによる攻撃である。中国海軍H-6Jならびに中国空軍H-6Kミサイル爆撃機に搭載されるYJ-12超音速対艦ミサイルはマッハ3のスピードで目標に突入する。この方法自体は目新しいものではないが、YJ-12は米軍艦が装備している対空防御システムの射程圏外から発射されるだけでなく、YJ-12自体が防御をかわすターンを繰り返しながら突入してくるため、迎撃することは極めて困難と考えられている。

                                    中国空軍のH-6Kミサイル爆撃機
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 さらにこれら3つの方法に加えて、中国海軍は近々「ミサイル魚雷」による攻撃という手段を手にする模様である。

 

 

ミサイル魚雷というのは中国海軍による独創的兵器であり、艦艇から発射したミサイルがまずは高度10000メートルの上空をマッハ2.5で飛翔し、次いで海面すれすれの超低空を超音速で20キロメートルほど巡航した後、攻撃目標手前10キロメートルで着水し、そこからは秒速100メートルのスーパーキャビテーション魚雷として目標に突入する。この攻撃をかわす防御システムは現在存在しない。

 
                            米空母艦隊が中国軍の攻撃を受ける中国のプロパガンダ画像
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焼け野原になるのは日本やフィリピン

 純軍事的な中国脅威論に立脚する対中警戒派の人々は、中国軍がこれらの攻撃手段を擁するがゆえに、アメリカの威信を見せつけるために米海軍空母艦隊を送り出すことに反対している。というよりは、感情的な中国脅威論に流されて中国との軍事対決へ突き進むことに慎重になるべきであると警告している。

 

 たしかに、米側同志連合軍と中国軍の間に戦端が開かれたとしても、現在のウクライナのように焼け野原になり多くの民間人が死傷するのは、最前線の出撃補給拠点となる日本やフィリピンであり、アメリカ領内ではない。

 

 アメリカにとって防波堤、防弾胸壁の役割を担うことになる日本は、このようなコースに向かいつつあるアメリカ政府主導の感情的な中国脅威論を慎重に再吟味する必要がある。

 

 

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